ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

マグネシウムを使用してのネジ、軸、ナットの一体型ボールナット(直動部品)の試作開発

株式会社富士精機

成果ボールナットの重量 699g→171g

この事例のポイント

  • 従来の鉄製ボールナットは海外企業との競合で、シェア40%以上を台湾メーカーに奪われており、低価格化や短納期化にシフトする必要があった。
  • 安全性に配慮した立型マシニングセンター「VC51」を導入し、東京マグネシウムから最適な素材の供給を受けた。
  • ボールナットの重量 699g→171g。従来の鉄製に比べ、マグネシウム製ボールナットは重量が約4分の1になり、軽量化を実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社富士精機
所在地大阪府 大阪市平野区
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数8人
資本金1,000万円

事業の背景

創業45年の精密部品加工会社で、マシニングセンターやNC旋盤を使い、工作機械や産業装置の位置決め部品であるボールナットを機械メーカーに納品している。従来素材のボールナットは海外企業との競合でシェア40%以上を台湾メーカーに奪われていた。業界であまり注目されていなかった部品の軽量化に着目し、8年前に軽量で振動を吸収する特性を持つマグネシウムで部品を作る事業部を立ち上げた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信従来の鉄製ボールナットは海外企業との競合で、シェア40%以上を台湾メーカーに奪われており、低価格化や短納期化にシフトする必要があった。
  • 新製品・新技術新素材で付加価値が高く、参入障壁の高い商品を開発する必要があった。
  • 品質・精度マグネシウムは発火や変色の危険があり、既存の設備や技術だけでは安全性と精度が不足していた。

やったこと

安全性に配慮した立型マシニングセンター「VC51」を導入し、東京マグネシウムから最適な素材の供給を受けた。万有をパートナーとして試作品の共同開発を行い、各部材の表面処理や耐久・耐食性試験は芝浦工業大学に委託した。ボールは真球度1.5μmの5種類のサイズを製造できるよう、ボール製造機器を新たに設計・製造した。全部材で膜厚30μmの均等な表面処理を確立し、ビッカース硬さ1,000〜1,100Hvを達成した。これにより従来の鉄製ボールナット699gに対し、マグネシウム合金製ボールナットは171gと約4分の1に軽量化した。

加工機立型マシニングセンター VC51
加工機ボール製造機器

新しい製品・サービス:マグネシウム合金製ボールナット

事業の効果

  • ボールナットの重量 699g→171g
  • 製品の付加価値が高いと判断されれば、5年後には約4,000万円の売り上げが想定される
  • 5年後には約8,000本の納品が想定される

従来の鉄製に比べ、マグネシウム製ボールナットは重量が約4分の1になり、軽量化を実現した。表面処理の膜厚と硬度を確立し、球の精度を高めたことで、高付加価値の新製品として量産を目指せる体制が整った。5年後には約8,000本、約4,000万円の売り上げが見込まれている。マグネシウム製品の先駆けとして、技術と人的技術力が強みになっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業45年の精密加工会社が、8年前に業界で注目度の低かったマグネシウム部品へ早くから着目し事業部を立ち上げた経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外競合にシェアの40%以上を奪われた状況を踏まえ、新素材で参入障壁の高い製品を開発したと書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    従来品の699gに対しマグネシウム製は171gと約4分の1に軽量化し、5年後に約8,000本・約4,000万円の売上想定が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    5年後に約8,000本の納品、約4,000万円の売上が想定されると数字で示されているが、達成根拠の詳細は薄い。

  • 事業を進める体制3

    社員8名の体制や大学・東京マグネシウム等との連携が書かれるが、補助事業の遂行体制や事務処理能力の記述は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    軽量で振動を吸収するマグネシウム製ボールナットをターゲットに、耐食性や潤滑性などの選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から量産、企業連携による拡販、展示会参加など段階は示されるが、スケジュールの詳細は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    マグネシウム製ボールナットは同分野で高付加価値を狙う製品と読み取れ、従来品より軽量化し競合の少ない新市場を開拓している。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    水素水関連など地元製造業団体と連携し地域に広める構想が書かれるが、雇用創出の具体的数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や費用対効果の数値は示されず、売上想定のみが書かれていて投入額との比較は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献2

    新素材の加工技術や表面処理の高度化は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    軽量化を通じ新素材分野へ挑戦する点は書かれるが、日本経済の構造転換への言及は具体性が薄い。

  • 地域経済への波及3

    地元の製造業団体『フィールドコア平野』との連携が書かれ、地域の経済成長への寄与は読み取れるが数値は示されない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

既存の取引先企業へマグネシウム製品を提案して拡販を図るとともに、企業総合展や工業フェアに参加する予定である。地元の製造業団体「フィールドコア平野」でも製品と技術を広める考えである。水素水に関連する案件にも取り組み、生成企業や関連製品の製造企業と連携する方向である。将来は分社化も視野に入れている。

事業者の声

「共育(共に育つ)」に取り組んでいます。中小企業の醍醐味は人育て。製造業はそれが唯一できる産業だと信じています。社長と社員の師弟関係は特別で、私自身が育てられた部分も多いです。常に謙虚に、これが一番大切です。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。