ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

品質管理システムのIT化による競争力強化事業

株式会社大陽工業所

この事例のポイント

  • 炊飯ジャーの組立工程は作業が多岐にわたり、品番ごとにチェック項目も異なるため、品質管理に多大な労力を割いていた。
  • 製造現場の品質管理のための記録作業工程をIT化するため、タブレット端末を用いたチェックシートシステムを導入した。
  • 品質管理システムのIT化により、組立から出荷までのリードタイムが短縮され、ペーパーレス化も実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大陽工業所
所在地大阪府 大阪府門真市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野情報処理
従業員数78人
資本金1,000万円
設立1972年

事業の背景

大陽工業所は、国内家電大手タイガー魔法瓶の炊飯ジャーやカセットコンロなどの組立製造を手がける協力工場である。昭和47年に魔法瓶の真空めっき加工で創業し、昭和60年から炊飯ジャーの生産を開始した。国内向けから、アジア、米国、欧州向けの輸出モデルまで幅広い機種の組立を担っている。また、育成したスタッフを外部へ派遣する人材サービスを第二の事業軸として展開している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能炊飯ジャーの組立工程は作業が多岐にわたり、品番ごとにチェック項目も異なるため、品質管理に多大な労力を割いていた。
  • コスト・採算品質の記録作業は紙への手作業記入であり、記録作業に人件費や紙代などの経費がかかっていた。
  • 生産能力書類の保管にスペースを要し、工程チェック表や出荷検査記録などの管理が煩雑だった。

やったこと

製造現場の品質管理のための記録作業工程をIT化するため、タブレット端末を用いたチェックシートシステムを導入した。従来は紙にチェック項目を手作業で記入していたが、タブレット端末に直接入力するスタイルに変更した。入力したデータはサーバー上で管理し、社内のコンピューターやタブレット端末で情報を共有できるようにした。システムは自前でアレンジし、3クリック以内で操作できるシンプルな仕様とし、幅広い年齢層の従業員が抵抗なく使えるよう入力項目を絞った。工程チェック表や出荷検査記録、部材の管理、生産した日付のロット印など、一貫した作業工程を正確に管理できるようにした。

ソフトチェックシートシステム
その他タブレット端末

事業の効果

品質管理システムのIT化により、組立から出荷までのリードタイムが短縮され、ペーパーレス化も実現した。記録作業に割いていた人件費や紙代などの経費は、年間で400万円程度削減できている。入力した品質データは顧客であるタイガー魔法瓶とも共有でき、必要に応じて記録情報を迅速に提示できるようになった。記録にかかる時間とミスが減り、書類の保存場所も省スペース化され、企業イメージや取引先からの信頼度の向上にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の炊飯ジャー組立と人材育成事業から、製造現場のIT化へ連続性がうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    若手従業員の知恵を取り入れる姿勢や外販の方針はあるが、市場動向や自社の強み・弱みとの関係は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の記録工程が課題とされ、品質管理システムのIT化でリードタイム短縮や年間400万円程度の経費削減が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    年間400万円程度の経費削減は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社長が若手従業員と協力して導入したとあり体制の一端はうかがえるが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客であるタイガー魔法瓶と品質データを共有できる点や信頼度向上は書かれるが、ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    ペーパーレス化や検査ラインの刷新を年内に導入予定とスケジュールの一端が書かれているが、課題解決の方法は概略的。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性20%
  • 新しさ・高付加価値1

    公開されている事例からは読み取れません。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の製造業への人材提供や門真・守口地域への貢献がうかがえるが、国が補助する積極的理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    年間400万円程度の経費削減とリードタイム短縮が示されるが、補助金投入額との比較は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    タブレット入力とサーバー管理によるデータ共有が示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    門真・守口地域の製造業に人材を送る事業が書かれ、地域産業への貢献がうかがえるが、経済成長への効果は明示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

炊飯ジャーの保温機能や絶縁性などの品質検査に必要なラインを刷新し、年内にも導入する予定である。炊飯ジャーの検査工程は時間がかかり設備も大型になるため、省スペース化と手間の簡略化を図り、業務効率の改善につなげたい考えである。また、チェックシートシステムを同業他社にも提案し、外販も進める方針である。

事業者の声

「新しいシステムの導入には若い人の力やアイデアが欠かせない。会社の成長のためにも次の世代への投資を重視している」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。