ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

現地へ出向き、その場で描いたものをTシャツ等に印刷して提供する事業

株式会社山とし

成果プリンター解像度 600dpi→1,200dpi

この事例のポイント

  • 現在のプリンターは解像度が600dpiと低く、鮮やかな印刷には不向きだった。
  • インクジェットプリンターを2台導入し、そのうち1台は解像度1,200dpiのプリンター、もう1台は黒地に白で印刷できるプリンターとした。
  • プリンター解像度 600dpi→1,200dpi。導入した設備により、以前より高精細な印刷ができるようになり、印刷の質も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社山とし
所在地大阪府 堺市
業種印刷・同関連業
従業員数27人
資本金1,000万円
設立1943年

事業の背景

大阪府堺市は自転車産業が盛んな地域で、同社は戦後、自転車部品のフレーム製造から印刷へと仕事を移してきた。現在は化粧品の容器へ文字やデザインを印刷する仕事が主力で、化粧品関連が売り上げの80%を占める。訪日外国人旅行客の「爆買い」効果で取引先からの注文が増えているが、ブームが続くとは限らない。そのため平成24年から化粧品以外の第2の柱として、一般向けイラスト印刷の「プリントなう」を始めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度現在のプリンターは解像度が600dpiと低く、鮮やかな印刷には不向きだった。
  • 生産能力気温によってプリンターを動かせる条件に制限があった。
  • 生産能力紙に描いたイラストのデータを取り込んで印刷するため、完成までに手間や時間がかかった。
  • 人手・技能印刷する際の設定が難しかった。
  • 集客・繁閑「プリントなう」は評判は良いものの、事業の売り上げが大きく伸びていなかった。

やったこと

インクジェットプリンターを2台導入し、そのうち1台は解像度1,200dpiのプリンター、もう1台は黒地に白で印刷できるプリンターとした。プリンターには温度調節装置を取り付け、夏は氷水を入れた袋で冷やし、冬はドライヤーで温める対策を不要にした。プリンター専用の移動ケースを作り、運搬時の衝撃、インクの漏洩、設備ケーブルの断線を防いだ。絵を描くためのタブレット端末と専用のソフトウェアを導入し、イラストデータの処理を簡単にして試作時間を短縮した。

加工機インクジェットプリンター(解像度1,200dpi)
加工機インクジェットプリンター(黒地に白で印刷できる機種)
その他プリンター温度調節装置
その他絵を描くためのタブレット端末
ソフト専用ソフトウェア
その他プリンター専用の移動ケース

事業の効果

  • プリンター解像度 600dpi→1,200dpi
  • 導入前と比べて4倍の約600万円を売り上げた。
  • イベント出展回数 6回/年→24回/年
  • 平成32年度に会社全体の売上を平成28年度比1.25倍の約2億円にすることを目指す。

導入した設備により、以前より高精細な印刷ができるようになり、印刷の質も向上した。温度や運搬の問題が解消され、プリンターを安定して動かせるようになった。新しいソフトウェアにより試作時間が短くなり、イベント会社や商業施設の要望に応じた提案が以前より増えた。黒地の布への印刷ができるようになったことで、高校の学園祭用Tシャツなどのネット注文も導入前より増えた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    平成24年から新規事業「プリントなう」を始め、化粧品容器印刷が売上の80%を占めると書かれ、事業の流れは読めるが戦略上の位置付けは明確ではない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    黒地の生地への印刷や高精細化、取引先からの注文増が書かれ強みはうかがえるが、市場動向との比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    解像度600dpiや温度・気温による稼働制限など課題が具体的に示され、設備導入で解決する方針と売上4倍の約600万円が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    平成28年度比1.25倍の約2億円、平成32年度に向けた売上目標が数字で示されている。賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社員27名、社長の取り組みは書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務体制についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    子供向けイベントで親からの評判が良いこと、イベント出展回数6回から24回への増加など、顧客と需要の裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    年間100回のイベント参加や東京五輪向けのスポーツイベント展開など今後の方向性は書かれるが、スケジュールや課題の解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    化粧品容器の印刷は同分野で高精細化を図る取組と読めるが、一般的な普及度との比較は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の自転車産業や堺市の事業者との関わりが書かれ、地域性はうかがえるが、国が補助する積極的な理由は示されていない。

  • 費用対効果3

    導入前比で売上4倍の約600万円、出展回数の増加など効果は数字で示されるが、補助金額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    イラストデータの処理を簡単にする新ソフトの導入が書かれるが、先端的なデジタル技術や地域・サプライチェーンへの波及は示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    堺市が自転車産業の盛んな地域であることは書かれるが、地域の特性を活かした雇用や成長への寄与は明確ではない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成32年の東京五輪・パラリンピックに向けてスポーツへの関心が高まると見込み、各地のマラソン大会で完走時間をTシャツに印刷するサービスも検討している。毎週土日にイベントに参加し、商業施設やイベント会社への売り込みを進める方針である。

事業者の声

「実際に絵を描く子供はもちろん、親からの評判も良い」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。