ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

ハイブリッド印刷を発展させ、ワンストップサービスの差別化を実現

エーアールファクトリー 有限会社

この事例のポイント

  • 家電メーカーの海外進出やカメラ付きスマートフォンの普及で受注が約50%減少した。
  • デジタル印刷への対応として、UV硬化フラットインクジェットプリンタを導入した。
  • インクジェットプリンタの導入により、オンデマンド印刷が可能となり、素早い対応と小ロットの受注ができるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名エーアールファクトリー 有限会社
所在地大阪府 八尾市
業種印刷・同関連業
技術分野デザイン
従業員数12人
資本金300万円
設立1973年

事業の背景

昭和48年に新井製作所として創業し、主に家電製品の組立を手がけていた。平成5年に部品の組立と印刷の同時提供を始め、社名変更後は携帯電話やデジタルカメラへの印刷を主に提供してきた。高感度のカメラ付きスマートフォンの普及と家電メーカーの海外進出の影響で受注が約50%減少したため、他社が断る難易度の高い試作・印刷の受注を狙う方針へ転換した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑家電メーカーの海外進出やカメラ付きスマートフォンの普及で受注が約50%減少した。
  • 納期・工程短納期、小ロット、多色刷りの要求に、製版が必要なアナログ印刷ではコスト面で応えることが困難になっていた。
  • 新製品・新技術デジタル設備を保有していなかったため、断る仕事が増え、売上増加も阻まれていた。

やったこと

デジタル印刷への対応として、UV硬化フラットインクジェットプリンタを導入した。アナログ印刷とデジタル印刷の短所を補い長所を組み合わせ、付加価値の高い製品とワンストップサービスによる差別化を図った。導入後はロゴ入りサッカーボールと犬の散歩用ウンチ袋の試作に取り組んだ。サッカーボールは「優勝」など単色の決まった文言をアナログ印刷、チームのロゴなど異なる文字をデジタル印刷で試作し、5つのサッカークラブに提供した。ウンチ袋は既存のアナログ設備で犬のイラストを印刷し、デジタル設備で自社開発の消臭機能のあるインキを使い動物病院の広告を印刷した。

加工機UV硬化フラットインクジェットプリンタ

事業の効果

インクジェットプリンタの導入により、オンデマンド印刷が可能となり、素早い対応と小ロットの受注ができるようになった。球体への直接印刷技術が評価され、平成29年1月に全国高校サッカー選手権で優勝した青森山田高校から記念ボール30個を2週間で受注し納めた。文具、玩具、小物、3D加飾などにも活用できることが分かった。取引先は家電中心から文具、玩具、日用雑貨にまで広がり、取引社数は平成19年頃の3倍となる約150社に拡大した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    受注が約50%減少したため経営方針を180度転換し、「1個を最短1日」を掲げて難易度の高い試作・印刷へ注力した経緯が明記されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    シルク・パッド印刷の強みを活かし、取引先が家電から文具・玩具・日用雑貨へ広がり、社数が約3倍の約150社になったと数字で示されている。

  • 課題の認識と解決4

    デジタル設備がないため断る案件が増えた課題を明示し、UV硬化フラットインクジェットの導入で付加価値化とワンストップ化を図る流れが書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、受注数や社数の実績はあるものの、今後の目標の実現可能性は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    従業員12名の体制と、従業員2名がイラストレーターの講座を受講していることは書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ボールやウンチ袋の試作で、5つのサッカークラブや飼い主から具体的な評価の声が得られ、顧客に選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の企画・デザイン力向上や自社製品開発への着手が方向性として書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達2

    資本金3,000千円の記載のみで、財務状況や金融機関からの資金調達の見込みはわずかにうかがえる程度である。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    完成品や球体に直接印刷できる技術が評価を広め、記念ボール30個を2週間で納品した事例から、高付加価値な製品分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域やサプライチェーンへの波及効果や雇用創出など、国が補助する積極的な理由は事例からはわずかにうかがえる程度である。

  • 費用対効果2

    補助金の投入額や費用対効果を示す数値は記載がなく、ボール30個や社数の増加のみでは費用対効果の判断は難しい。

  • イノベーションへの貢献3

    UVインクジェットとアナログ印刷を組み合わせたワンストップ提供や、デザイン学生との産学連携が書かれており、新しい取り組みとして読み取れる。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    成長分野への進出という記載はなく、家電から文具・玩具への用途転換にとどまり、日本経済の構造転換への寄与はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは、地域の特性を活かした付加価値や地域経済の牽引に関する記述は読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は同社内での企画・デザイン力の向上に取り組む。平成29年9月から従業員2名をデザインソフトの講座に受講させており、デザインを学ぶ学生との産学連携も始めた。将来的には自社製品の開発にも着手していきたいとしている。

事業者の声

方針転換直後の2年間は失敗続きだったが、そこで培ったノウハウがあるからこそ今がある

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。