ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

市場にない鋼種で太丸ミガキ棒鋼の量産販売を目的とする消耗具の開発と内作化によるコストダウン

青山シャフト工業株式会社

成果製品の最大外径 100mm→200mm

この事例のポイント

  • 一般的な引き抜き加工では曲がりや精度に課題が残り、外径100mmまでの製品しか作れなかった。
  • 複合NC旋盤を導入し、市場にないS45C-H(調質材)の太径磨き棒鋼の量産化に取り組んだ。
  • 製品の最大外径 100mm→200mm。S45C-Hの太径磨き棒鋼を量産できるようになり、市場にない鋼種を提供できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名青山シャフト工業株式会社
所在地大阪府 大阪市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,複合・新機能材料
従業員数10人
資本金2,000万円
設立1919年

事業の背景

大正8年に「青山鉄工所」として創業し、長尺・太径の切削磨き棒鋼を産業機械の主軸や車輪、ピストンロッド、ラインシャフトなどに販売してきた。直径110〜250mm、長さ6mまでの製品を在庫販売し、最長12mまで受注できる。平成7年の阪神淡路大震災以降は黒字を続けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度一般的な引き抜き加工では曲がりや精度に課題が残り、外径100mmまでの製品しか作れなかった。
  • 新製品・新技術硬いS45C-Hの加工には市販のスローアウエイバイトが歯が立たず、専用のロー付バイトも切れ味が悪く欠けることもあったため、欠けにくい刃物が求められた。
  • 新製品・新技術移動振れ止めは焼け付き(カジリ)が起きており、材質と接触面の改良が必要だった。
  • コスト・採算刃物などの消耗工具を外部のチップメーカーに製作依頼しており、従来工具の内作化によるコストダウンが目標だった。
  • 納期・工程需要家から注文を受けてから納品までの納期がかかっていた。

やったこと

複合NC旋盤を導入し、市場にないS45C-H(調質材)の太径磨き棒鋼の量産化に取り組んだ。刃物はロー付チップを選び、チップの厚み、刃物を研ぐ形、ロー付けする角度、刃持ちなどを試した。移動振れ止めは材質を選定し、NC旋盤でしかできない位置決め精度で内径に止まりの油溝を加工した。刃物と移動振れ止めを自社で内作化し、直径110〜200mmまでのS45C-Hの磨き棒鋼を量産できるようにした。

加工機複合NC旋盤

新しい製品・サービス:S45C-H(調質材)の太径切削磨き棒鋼(直径110〜200mm)

事業の効果

  • 製品の最大外径 100mm→200mm
  • バイト製作期間 1従来比→0.1従来比

S45C-Hの太径磨き棒鋼を量産できるようになり、市場にない鋼種を提供できるようになった。刃物と移動振れ止めの内作化により、チップ製作を外部に頼っていた時代に比べてバイト製作期間が大幅に短縮され、コストダウンにもつながった。熱処理済みの材料を使うため外径加工が短縮され、熱処理から旋盤加工までのリードタイムが最低15日間短くなり、納品までの期間も短くなった。加工が容易になったことで経験の浅い若手の育成にも役立ち、職人不足の解消にも貢献している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として大阪テクノマスター技術の伝承や旋盤加工での難加工対応が書かれ、S45C-Hの新鋼種量産化が今後の戦略として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市場にない鋼種であるS45C-Hの量産に成功し、他社の追従できない鋼種を提供すると述べ、競争優位の根拠が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    一般的な引き抜き加工では外径100mmまでしか作れなかった課題を挙げ、複合NC旋盤導入で直径110―200mmの量産を実現する計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    月2tの販売を軌道に乗せる目標や、リードタイムを最低15日間短縮する効果が書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    人手不足解消のため新たな人材を採用し営業と現場に投入すると書かれ、職人育成の取組も述べられているが、事務処理能力などの体制記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    市販バイトでは歯が立たない需要や、ロボット化の進む自動車部品メーカー等の販路が示され、顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    刃物と移動振れ止めの開発、内作化によるバイト製作期間の10分の1への短縮など課題解決の方法は示されているが、中長期スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    市場にない鋼種であるS45C-Hの太径切削磨き棒鋼を量産する点が示され、高水準の高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    職人不足の解消や若手育成への貢献が述べられているが、経済波及効果や国が補助する積極的理由の記述は限定的である。

  • 費用対効果3

    消耗品の内製化でコストダウンにつながり、刃物のバイト製作期間が10分の1に短縮されたと書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献2

    NC旋盤による位置決め精度や移動振れ止めの改良はあるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献モデルは明確でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    大阪市の本社で技術を伝承し職人不足に貢献すると書かれ、地域の雇用への関わりはうかがえるが、地域特性を活かした具体的記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は新たな鋼種や調質材の製品化に力を入れ、水処理・ゴミ処理施設や製鋼所の圧延ラインなどの分野や短納期部品向けに販路を広げる。人手不足の解消のため新たな人材を営業と現場に投入し、拠点の拡大も考えている。管理職を育てて組織力を強化し、技術の伝承にも取り組む。

事業者の声

「他社のつくれない長尺もの、太径鋼種を提供していく」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。