ものづくり補助金平成26年度製造業京都府

量産加工分野から多種少量分野への業態移行新規事業化計画

増錬工業株式会社

成果車両部品の主力受注先への納入比率 90%→70%

この事例のポイント

  • 受注先1社の車両金属精密部品の量産品が全生産量の9割を占めていたが、受注先の海外展開や電気自動車の出現により受注量が年々減少していた。
  • ワイヤ放電加工機と3次元CAD/CAMを導入し、多品種少量の精密加工に取り組む事業を始めた。
  • 車両部品の主力受注先への納入比率 90%→70%。ワイヤ放電加工機と5軸MCを組み合わせて6軸の金属加工機として使えるようになり、曲面加工など従来できなかった加工が可能…

事業者のプロフィール

事業者名増錬工業株式会社
所在地京都府 京丹後市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数22人
資本金2億円
設立1990年

事業の背景

当社は1990年の設立以来、主力受注先1社から車両金属精密部品の量産品を受注生産してきた。その受注量は全生産量の9割を占めていた。しかし受注先企業の海外展開や電気自動車の出現などを背景に受注量は年々減少傾向にあった。京丹後市は丹後ちりめんの織機関連需要から機械加工企業が多く、約100社の中小機械加工メーカーがあり、品質や納期の競争が激しい地域である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑受注先1社の車両金属精密部品の量産品が全生産量の9割を占めていたが、受注先の海外展開や電気自動車の出現により受注量が年々減少していた。
  • 販路・情報発信車両部品以外の他産業分野からの受注品種を増やし、多品種少量生産の態勢を整える必要があった。
  • 生産能力同時5軸MCなどのNC工作機械は保有していたが、精密図面を直接加工データ化する仕組みがなく、設計から加工データ作成までの手作業が多かった。

やったこと

ワイヤ放電加工機と3次元CAD/CAMを導入し、多品種少量の精密加工に取り組む事業を始めた。ワイヤ放電加工機は一般的な金型分野以外の精密部品加工に用い、医療分野や航空機分野など従来の加工機では対応が難しい精密加工分野への進出を図った。3次元CAD/CAMは精密図面をそのま加工データ化するために同時導入し、設計からNCデータ作成まですべて同じシステム内で行えるようにした。ワイヤ放電加工の弱点である加工速度の遅さは、多品種少量生産に用途を絞ることで克服している。従業員は増やし、OJTで多能工化を図った。

加工機ワイヤ放電加工機
ソフト3次元CAD/CAM

新しい製品・サービス:ワイヤ放電加工機を用いた医療分野や航空機分野向けの精密加工品、試作加工品、微細形状加工品

事業の効果

  • 車両部品の主力受注先への納入比率 90%→70%
  • 補助事業装置の導入から約2年半たち、現在では車両部品外の生産が全生産量の7割程度に増えた。
  • 生産品目の増加に伴う工数不足のため、補助装置の導入後に従業員を倍増させた。

ワイヤ放電加工機と5軸MCを組み合わせて6軸の金属加工機として使えるようになり、曲面加工など従来できなかった加工が可能になって加工幅が広がった。医療機器分野や航空機分野などの新規顧客から試作加工品や精密加工品の多品種少量生産が増えた。主力受注先への依存度が下がり、新規受注先が数社出現した。作業のヒューマンエラーが減り、作業効率と製品の高品質化にも寄与している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    受注9割の車両部品量産から多品種少量へ移行し、ワイヤ放電加工機・3次元CAD/CAM導入を経営戦略として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    主力先の海外展開・EV化で受注が減少した外部環境を踏まえ、5軸MCと放電加工の組合せで医療・航空機分野の精密加工に進出している。

  • 課題の認識と解決4

    受注先依存度を9割から7割に下げ、新規受注先が数社出現したと記載。課題認識と事業計画の方向性は明確。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。車両外生産が全体の7割程度という実績のみ記載。

  • 事業を進める体制4

    責任者の専務取締役を置き、従業員倍増、OJTによる多能工化計画を策定して人材育成を行っていると具体的に記載。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    医療・航空機分野向け精密加工や中ロット高付加価値部品ターゲットは読み取れるが、顧客ニーズの裏付けの数値は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    稼働率の上昇や多能工化、ISO取得目標などの方向は示されるが、スケジュールや解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    一般的な金型用途のワイヤ放電加工機を精密部品加工に使う点で、同分野での新たな用途開拓が具体的に記載されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の機械加工集積や雇用増に触れるが、国が補助する積極的理由としての波及効果は具体的に述べられていない。

  • 費用対効果3

    従業員倍増や稼働率向上など効果の記載はあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3次元CAD/CAMで設計からNCデータ作成までを一貫化し、ヒューマンエラー低減を図る点が記載されている。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    車両部品から医療・航空機など成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    京丹後市の機械加工集積の中で事業を展開する地域性は記載されるが、地域経済成長への牽引効果は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は車両部品から新規産業分野の試作加工品、単品加工品、多品種少量生産品へと受注品目の多様化をさらに加速する。中ロットの高付加価値部品の生産もターゲットとし、ISOの取得を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。