ものづくり補助金平成25年度製造業兵庫県

鋼板コイルの船積み時に使用する繊維廃材で出来た固定材の開発

門倉貿易株式会社

成果生産量 1倍→50倍

この事例のポイント

  • 鋼板コイルの固定緩衝材に必要な圧縮強度や摩擦強度など、顧客の求める性能を満たす厚みと表面粗度が決まっていなかった。
  • 鋼板コイルを船で輸送する際に使う固定緩衝材として、リフモの厚みを検証した。
  • 生産量 1倍→50倍。ランニングソーの導入と作業の自動化により生産性が大幅に向上し、生産量は以前の50倍になった。

事業者のプロフィール

事業者名門倉貿易株式会社
所在地兵庫県 神戸市中央区
業種繊維工業
技術分野材料製造プロセス,製造環境
従業員数60人
資本金1,700万円
設立1946年

事業の背景

門倉貿易は兵庫県神戸市でウエスの製造販売、リフモの製造販売、古着の販売と輸出を行っている。家庭から排出される繊維系廃材は年間200万トンにのぼるが、リサイクル率は10%に留まっている。特に化繊などリサイクルが難しい素材が増えており、リサイクルが求められても進んでいない。その中で同社は繊維系廃材を減らすため、100%リサイクル素材「リフモ」を開発した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度鋼板コイルの固定緩衝材に必要な圧縮強度や摩擦強度など、顧客の求める性能を満たす厚みと表面粗度が決まっていなかった。
  • 生産能力船積みには1隻あたり10万個以上の緩衝固定材が必要だが、切断工程がボトルネックとなり想定数量の生産ができなかった。
  • コスト・採算リフモは木材より単価が高く、金額面で木材に対抗することが難しかった。

やったこと

鋼板コイルを船で輸送する際に使う固定緩衝材として、リフモの厚みを検証した。木材の圧縮強度は通常30〜40MPaだが、リフモは最大100MPaまで可能で、対応可能な厚みは3〜30mmの範囲から強度と安全性を考慮して25mmに決定した。コイルの滑りに対する摩擦強度を決める表面粗度を繰り返し検証し、乾燥状態で111BPNの滑り抵抗値となるよう要求水準を実現した。リフモは木材が1度しか使えないのに対し複数回使用できることも確認した。製品サイズは幅50mm×長さ2〜3mで、非常に細かな切断を大量に行う必要があったため、ランニングソーを導入し作業方法も見直して可能な限り自動化した。その結果、生産量は以前の50倍まで向上し、他の受注への対応能力も増加した。

加工機ランニングソー

新しい製品・サービス:鋼板コイル船輸送用の繊維系廃材製固定緩衝材

事業の効果

  • 生産量 1倍→50倍

ランニングソーの導入と作業の自動化により生産性が大幅に向上し、生産量は以前の50倍になった。これにより製造コストが下がり、鋼板コイル用の固定緩衝材として顧客の想定数量に対応できるようになった。顧客の求める圧縮強度や摩擦強度に合わせた性能も実現した。他の受注への対応能力も増え、新たな取引につながる基盤ができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    繊維系廃材の削減とリサイクル率向上という事業背景は読めるが、過去の取組との一貫性や経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    木材やプラスチックの代替品として評価されている点や木材の約4倍の圧縮強度など強みは示されるが、市場動向との対比は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    課題はランニングソーの導入で切断工程がボトルネックだったことと明示され、生産量が以前の50倍に向上した数字も示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量が以前の50倍まで向上したと数字で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数60人と記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的な記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客要望への対応、木材より薄くできる強度、耐水性などの特徴と、鋼板コイル輸送の固定緩衝材用途が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として養生敷板市場への適用が挙げられるが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    100%繊維系廃材のリフモを鋼板コイル固定材として用途開発し、木材より薄い厚み25mmなど高機能化を図っている点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    繊維系廃棄物年間200万トン、リサイクル率10%という社会課題への貢献は示されるが、経済波及効果や雇用創出の数値は薄い。

  • 費用対効果2

    投入額や費用対効果に関する数値は書かれておらず、生産量50倍の効果があったとの記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    ランニングソー導入と自動化は読み取れるが、先端的デジタル技術や新たなビジネスモデルの記述は見当たらない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    木材・プラスチック代替という素材転換は読めるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及3

    兵庫県神戸市の企業であることや養生敷板への展開は読めるが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

養生敷板など1次産業の用途でリフモが代替品になる可能性があり、今後も多くの業界の用途開発を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。