ものづくり補助金平成25年度製造業和歌山県

次世代印刷物となるIT技術と連携した「動画と連動するAR印刷」の創造計画

井手印刷株式会社

成果同時印刷色数 2色→4色

この事例のポイント

  • 従来機種は1色または2色しか1度に印刷できず、多色表現では何度もインク交換して機械に通して色を重ねるため、位置ズレが生じる可能性があった。
  • HUV技術を搭載した多色刷り印刷機と、それに伴うシステムを導入した。
  • 同時印刷色数 2色→4色。4色同時印刷とデータによる色管理により、リピート注文でも前回と同じ色を何度でも再現できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名井手印刷株式会社
所在地和歌山県 和歌山市
業種印刷・同関連業
技術分野情報処理
従業員数14人
資本金1,000万円
設立1954年

事業の背景

1946年(昭和21年)創業の老舗印刷所で、品質重視の大量印刷が可能なオフセット印刷から、少部数で短納期に対応するオンデマンド印刷、フォトブック・作品集まで幅広く手がけている。地域産業と連携したオリジナル焼印による食べられる印刷の受注もある。地元密着の小回りを強みとしている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来機種は1色または2色しか1度に印刷できず、多色表現では何度もインク交換して機械に通して色を重ねるため、位置ズレが生じる可能性があった。
  • 品質・精度色の管理がオペレーターの目と経験によるため、品質の均一化が難しかった。
  • 納期・工程インク交換や印刷後の乾燥に時間がかかり、次の工程へ移るのは翌日以降になるのが通例だった。

やったこと

HUV技術を搭載した多色刷り印刷機と、それに伴うシステムを導入した。導入機は4色同時印刷が可能で、印刷物にスマホやタブレットをかざすと動画や音声が再生されるARコンテンツにも対応できる。導入機の大きさに合わせて工場を新設した。データによる色管理に加え、オペレーターの経験による微調整を組み合わせ、リピート注文でも前回と同じ色を再現できるようにした。UV装置による速乾性で、印刷開始から最短3日間かかっていた納品が導入後は15時間で完了するようになった。

加工機HUV搭載多色刷り印刷機
ソフト色管理システム

新しい製品・サービス:ARと連動する印刷物

事業の効果

  • 同時印刷色数 2色→4色
  • 納品までの時間 72時間→15時間

4色同時印刷とデータによる色管理により、リピート注文でも前回と同じ色を何度でも再現できるようになった。UV装置による速乾性で納期が大幅に短縮され、仕上がりの綺麗さも高い水準を保っている。近隣のライバル会社にない設備を得たことで競争優位に立ち、新規顧客の開拓や事業展開を進められるようになった。ARコンテンツでは誤認識が格段に減り、読取マーカーがデザインを妨げないため要望どおりの制作が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の印刷事業に加え、地域産業と連携した食べられる印刷の受注など過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    導入機で3日必要だった納品が15時間になり、近隣のライバル会社にない武器を得たと、競争優位が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    色の不均一や位置ズレ、乾燥待ちといった課題を明示し、UV装置による速乾と4色同時印刷で解決する流れが示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。納期短縮の実績はあるが、数値目標の設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    社内一貫体制で印刷物を管理し、工程管理やトラブル対応の体制も述べられているが、人材や事務処理能力の具体的な記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ARコンテンツを使った学校案内や園だよりで大きな反響を得て、商談や提案の幅が広がったと、顧客ニーズの裏付けが述べられている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として他府県進出やネット活用に触れているが、スケジュールや課題の解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    4色同時印刷やデータによる色管理で高品質化を図り、近隣に例のない次世代印刷物への展開をめざす点が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域産業との連携や地元密着の小回り対応は書かれているが、経済波及効果や雇用創出の数値や記述はわずかしかない。

  • 費用対効果2

    納期が3日から15時間に短縮された点は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    デジタル色管理やARとの連動で印刷物の新たな価値を生み出し、地域の顧客や業界への広がりを示している。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    次世代印刷物やARを活用した印刷物への展開を進めており、印刷業の構造転換の方向性はうかがえるが、市場成長の裏付けは薄い。

  • 地域経済への波及3

    和歌山市での地元密着型の事業として、地域産業と連携したオリジナル焼印の受注など、地域の特性を活かした取組が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ARを活用した印刷物は学校案内や園だより等で大きな反響を得ており、商談や提案の幅が広がっている。ライバル他社や他府県の同業種からの印刷依頼も増えており、ネットを活用して他府県へも進出している。完全ネット受注までは目指さないものの、ネット印刷の「低価格・低品質」のイメージを打破し、「高品質・適正範囲の低価格・短納期」を実現していく方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。