ものづくり補助金平成25年度製造業島根県

安心・安全且つ物流リスク回避のための高齢者施設向け食品製造への真空調理法導入

モルツウェル株式会社

成果生産性 1倍→3倍

この事例のポイント

  • 介護施設厨房は調理員の採用確保が厳しく、必要最小人員で食事提供できるビジネスモデルが求められている。
  • 消費期限を7~21日程度に延伸し流通温度管理のリスクを回避できる真空調理法を導入した。
  • 生産性 1倍→3倍。真空調理法の導入により食品の安全性、特に物流工程でのリスクが軽減された。

事業者のプロフィール

事業者名モルツウェル株式会社
所在地島根県 松江市
業種食料品製造業
従業員数80人
資本金1,000万円
設立1997年

事業の背景

モルツウェル株式会社は介護施設厨房向けに完全調理済み真空調理食事キットを全国に販売している。盛り付け洗浄だけの必要最小人員で食事提供できる同社のビジネスモデルにより、顧客数、生産数とも増加傾向にある。従来はクックチル調理法で加熱調理した食材を90分以内に0~3℃まで急速冷却し保管流通していたが、消費期限は4~5日間で、流通工程の温度管理に不安を抱えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能介護施設厨房は調理員の採用確保が厳しく、必要最小人員で食事提供できるビジネスモデルが求められている。
  • 納期・工程従来のクックチル調理法は在庫・流通工程での温度管理に不安があり、特にクール宅配便に依存する流通工程の温度管理が不安定だった。
  • 品質・精度食品温度が10℃を超えると3時間以内の使用又は廃棄が義務付けられ、宅配便業者の温度管理の不備がニュースとなる中、事業リスクとなっていた。

やったこと

消費期限を7~21日程度に延伸し流通温度管理のリスクを回避できる真空調理法を導入した。充填工程の労力コストを下げるため自動深絞り真空包装機を導入し、下拵えした食材を調味液とともに真空保存する工程を構築した。顧客施設厨房には自動再加熱機器を設置し、作りたてを再現できるようにした。高温高圧調理殺菌釜は本事業外の設備である。

加工機自動深絞り真空包装機
加工機自動再加熱機器

事業の効果

  • 生産性 1倍→3倍
  • 消費期限 4日→7日

真空調理法の導入により食品の安全性、特に物流工程でのリスクが軽減された。ほぼ無菌状態でパック開封盛付けできるため、現地施設厨房の盛付け工程を前倒しでき、自動再加熱機器にセットすることで厨房労務負担が軽減された。自動深絞り真空包装機により充填工程の時間が大幅に短縮され、生産性が向上した。消費期限の延伸により前倒しの出荷納品が可能となり、災害等による物流の不達リスクも軽減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    クックチルから真空調理法への切替と高齢者食・福利厚生展開が書かれ、事業の延長線上にあると読めるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高齢者食市場の拡大と参入業者増加に触れ、100坪足らずで12,000~15,000食/日を実現する点が強みとして示されるが、競争優位の根拠は限定的。

  • 課題の認識と解決4

    厨房労務負担の軽減、消費期限4~5日から7~21日への延伸、先盛り・自動再加熱による人材確保課題の解決が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性は3倍程度と示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の判断材料が薄い。

  • 事業を進める体制2

    社員80人、食品製造業とは書かれるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は介護施設厨房で、消費期限延伸と温度管理リスク回避という選ばれる理由が整理され、全国販売の実績も示されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展望として新製品開発、福利厚生ビジネス、コンシェルジュサービスの展開が挙げられるが、スケジュールや課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    真空調理と滅菌化による消費期限延伸は、クックチルと比べた高付加価値化として具体的に説明されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    災害時の物流不達リスク軽減や介護施設給食の安全確保への貢献が書かれ、社会的意義は読み取れるが波及効果の数値はない。

  • 費用対効果3

    真空包装機導入で生産性が3倍程度向上したと書かれるが、補助金額や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    自動深絞り真空包装機や自動再加熱機器の組み合わせによる省力化は読み取れるが、サプライチェーン全体への貢献の記述は限定的。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    高齢者食市場の拡大や医療連携の福利厚生ビジネスへの展開が書かれ、構造転換との関連はわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    島根県松江市の本社工場と地方中小企業としての立場は書かれるが、地域経済や雇用への波及は具体的に述べられていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高齢者食市場は今後しばらく拡大が続くが参入業者も増加するため、新製品レシピ開発、既存レシピのブラッシュアップ、顧客が扱いやすい風袋形状の開発を行う。真空調理ロングライフ食品と管理栄養士の栄養指導技術を組み合わせ、企業の福利厚生ビジネスや置き惣菜の展開を進める。

事業者の声

今後も、医療と連携したBtoE福利厚生ビジネスや在宅高齢者向けの置き惣菜ビジネス等への展開を積極的に進めて参ります。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。