ものづくり補助金平成25年度製造業島根県

HONDAフィット向けホースバンドのスポット溶接工程自動化の試作開発

株式会社協栄ファスナー工業

成果生産性(1人あたり日産) 850個/人→1,700個/人

この事例のポイント

  • スポット溶接は熟練工の手作業で4カ所を行っており、将来の生産量増加に人手だけでは対応できなくなる見込みだった。
  • 細い板状の材料をリング状に加工し、その片側にプレート状の材料を溶接する工程のうち、4カ所あるスポット溶接の主要な2カ所を自動化することにした。
  • 生産性(1人あたり日産) 850個/人→1,700個/人。全自動化により1人あたりの日産個数が850個から1,700個へ倍増し、生産性が大きく向上した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社協栄ファスナー工業
所在地島根県 雲南市
業種金属製品製造業
技術分野機械制御,精密加工
従業員数30人
資本金3.1億円
設立1996年

事業の背景

株式会社協栄ファスナー工業は、普通自動車の販売ランキングで上位にあるHONDA Fitのエアクリーナー部分に使われるホースバンドを主に製造している。自動車部品は人命に関わるため不良があってはならない一方、メーカーやサプライヤーからはコスト削減を求められている。現在の生産量は月産5万個で、他車種にも使われることから将来は倍以上の生産量になることが決まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力スポット溶接は熟練工の手作業で4カ所を行っており、将来の生産量増加に人手だけでは対応できなくなる見込みだった。
  • 品質・精度熟練工による溶接は信頼性が高いものの、精度の安定を追求することが難しかった。
  • コスト・採算類似形状の部品の依頼があった際にも価格競争力で対応できる必要があった。

やったこと

細い板状の材料をリング状に加工し、その片側にプレート状の材料を溶接する工程のうち、4カ所あるスポット溶接の主要な2カ所を自動化することにした。自動機メーカーと検討した結果、4カ所のうち2カ所を自動化するだけでも大幅な省力化と作業者の疲労軽減になると判断した。当初は溶接位置のずれが生じたが、調整を繰り返して精度を安定させた。従来の自動機をほぼ全自動に改造し、ほぼ完全な自動溶接機が完成した。

加工機スポット溶接の全自動溶接機(ホースバンド用)

事業の効果

  • 生産性(1人あたり日産) 850個/人→1,700個/人

全自動化により1人あたりの日産個数が850個から1,700個へ倍増し、生産性が大きく向上した。作業負荷が軽減され、作業者の負担も減り、職場環境が整備された。精度も調整の繰り返しにより安定し、生産コストの削減につながり、生産量増加にも対応できる体制を強化した。自動化の優先順位を付けるというノウハウも社内に残った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の自動機を全自動に改造する計画で、事業の流れとの一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    Fitのエアクリーナー部品を製造し、他車種にも使われ月産5万個とあるが、市場動向と自社の強み・弱みの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    課題として生産性2倍、不良1%未満、価格競争力を挙げ、日産850個/人から1,700個/人への倍増という数字で実効性が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性2倍の目標に対し、日産850個/人から1,700個/人へ倍増したと数字で示され、達成の見込みが読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    自動機メーカーと検討したとあるが、補助事業の遂行体制や人材、事務処理能力についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    自動車部品の信頼性と価格競争力、類似形状部品への対応が述べられるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的。

  • 事業化までの道筋3

    開発で手直しが度々起き完成が大幅にずれ込んだこと、4M申請の検討中であることは書かれるが、今後の遂行方法とスケジュールは不明確。

  • 財務と資金の調達2

    補助金により苦しい資金繰りの中で助かったと記載があるが、金融機関からの資金調達の見込みは書かれていない。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    自動車部品の製造で、ホースバンドのスポット溶接自動化は従来取り組めなかったとあるが、分野の普及度や高付加価値化の水準は書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    中山間地域の企業として安定した雇用を続けるため、雲南市の地場産業活性化に言及しているが、国が補助する積極的理由としては具体性が薄い。

  • 費用対効果3

    補助金投入額と付加価値の関係は書かれないが、生産性倍増と作業者の負担軽減という効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    溶接の全自動化は述べられるが、先端デジタル技術の活用や新ビジネスモデルへの言及はうかがえる程度に留まる。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    中山間地域の雇用を守り、魅力ある仕事づくりにつながるとして、地域の雇用面での役割が具体的に述べられている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

類似形状部品の生産依頼があった場合も価格競争で負けない要素となる。引き続き自動化の研究を続けてコストの追求を行う。中山間地域の企業として安定した雇用を続けるため、作業負担の軽減は必須であり、魅力ある仕事づくりにもつながると期待されている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。