ものづくり補助金平成25年度製造業広島県

アルコール性肝炎を予防する乳酸発酵酒粕を用いた機能性素材の開発

中国醸造株式会社

成果最大生菌数 1倍→3倍

この事例のポイント

  • 乳酸菌の大量培養と獲得に向けた条件の探索が必要だった。
  • 最適発酵条件の探索を行い、植物乳酸菌SN13T株について生菌数109個/mlの獲得を目指した。
  • 最大生菌数 1倍→3倍。発酵の最適条件が決まり、製造装置の導入とpH調整により植物乳酸菌の死滅が抑えられ、最大生菌数が約3倍になった。

事業者のプロフィール

事業者名中国醸造株式会社
所在地広島県 廿日市市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ
従業員数89人
資本金1億円
設立1918年

事業の背景

国内では女性を中心にアルコール消費量が増加し、アルコールに関連した肝疾患が増えている。海外でも中国やインドなど新興国で同様の傾向がある。国内健康食品市場は2015年時点で1.5兆円規模であり、肝機能改善を目的とした既存商品は少なく、新規参入市場として有望とされている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能乳酸菌の大量培養と獲得に向けた条件の探索が必要だった。
  • 品質・精度酒粕は精米歩合や仕込方法によって種類が多く、最適な組み合わせの探索が複雑で困難だった。
  • 生産能力短期間で実生産規模である1,000L以上の製造体制を確立する必要があった。
  • 品質・精度生菌と死菌の形態ごとに肝機能向上への寄与度を把握する必要があった。
  • 新製品・新技術生菌の状態を維持したまま粉末化し、錠剤にする方法を確立する必要があった。
  • 新製品・新技術ヒト臨床試験に向けた準備と展開を進める必要があった。

やったこと

最適発酵条件の探索を行い、植物乳酸菌SN13T株について生菌数109個/mlの獲得を目指した。酒粕の種類や酒粕と乳清の配合比率、pH調整などの最適条件を決定した。1,000Lスケールの製造システムを開発し、高粉砕力と高粘性液体に対応するシャーポンプ、ジャケット構造の発酵タンク、強力な撹拌力と4〜90℃の温度調節、短時間冷却が可能な製造装置を整えた。酒粕粒子は50μm以下で懸濁・均一化を実現した。凍結乾燥法で生菌を維持したまま粉末化し、錠剤型の試作品を開発した。動物実験では生菌のみが肝機能向上に効果を有することを確認し、アルコールと生菌を投与した群で明らかな肝機能向上効果が認められた。

その他シャーポンプ
その他ジャケット構造の発酵タンク
加工機撹拌・温度調節・短時間冷却が可能な製造装置
加工機凍結乾燥機

新しい製品・サービス:乳酸発酵酒粕を用いた肝機能向上を目的とする機能性素材、およびその錠剤型サプリメント

事業の効果

  • 最大生菌数 1倍→3倍

発酵の最適条件が決まり、製造装置の導入とpH調整により植物乳酸菌の死滅が抑えられ、最大生菌数が約3倍になった。配管や電気制御の設計・工事を内製化したことで設備投資費用を抑え、コストダウンにつながった。生菌を維持した粉末化と錠剤化の試作品が完成し、生菌のみが肝機能向上に効果を持つことも確認された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業は大正7年で酒造りが基盤と読めるが、本事業の位置づけが経営戦略上どう明確かは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内健康食品市場1.5兆円規模(2015年)や肝機能改善の既存商品の少なさ、競合比較の優位性が書かれ、強みは紙容器日本酒の開発などに触れている。

  • 課題の認識と解決3

    アルコール消費増加に伴う肝疾患増加という課題認識は書かれているが、事業計画の高付加価値化・成長への道筋は具体的に示されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の増加や賃上げを示す目標値は見当たらず、最大生菌数が約3倍になったなど技術的な数値のみ。

  • 事業を進める体制3

    広島大学との産学連携や備前化成㈱、旭特殊機器㈱など協力体制が示されるが、事務処理能力や人材配置は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    肝機能向上の効果、乳酸菌による整腸機能、競合より価格優位性を持つ点、ターゲットとして女性や健康志向層が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    フェーズ①~⑤の目標・課題・成果が段階的に示され、平成29年9月迄の事業化目標と臨床試験準備の流れが明確。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内の肝機能改善を目的とした既存商品数は少なく新規参入市場として有望と書かれ、酒粕を用いた機能性素材という新規性がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    医療費抑制やアルコール性肝疾患の予防という社会的意義が書かれるが、雇用創出や波及効果の具体的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    設備投資費用抑制によるコストダウンは書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    乳酸菌培養や発酵技術の自社開発、大学との共同研究が書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は触れられていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    健康食品・機能性食品産業の発展を目指すと書かれ、成長分野への進出という点は読み取れるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    広島県廿日市市に所在することは分かるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業の成果を機能性素材として、肝機能向上製品などを製造する健康食品メーカーに供給する。製造技術の水平展開を進め、植物乳酸菌と酒粕などを活用した新たな機能性素材の開発にも取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。