ものづくり補助金平成25年度製造業山口県

食の安心・安全や健康志向に応え、甘さを抑えた外郎の開発・生産

有限会社 ほうえい堂

成果糖度 44度→42度

この事例のポイント

  • 低糖度の和菓子は加熱しても死なない耐熱性芽胞菌が増殖し、その毒素が食中毒の原因になるおそれがある。
  • まず、原材料からの芽胞菌汚染を防ぐため、外郎の原液が触れる容器、器具、機械装置などを洗浄液で洗い、温水で濯ぐようにした。
  • 糖度 44度→42度。クリーンルーム化と空気循環、設備の改造により、低糖度の外郎を一年中安定して造れる製造環境を整えた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 ほうえい堂
所在地山口県 下松市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数7人
資本金300万円
設立1975年

事業の背景

当社は昭和50年に菓子小売業として創業し、平成10年に菓子製造販売業へ転換した。主力の外郎は売上の約40%を占め、甘さを抑えて地元の素材を活かした味が特徴である。健康志向の高まりから和菓子にも低糖度化を求める傾向が強まっている。平成26年10月時点の山口県内の外郎の糖度は、当社の44に対し他社6社は45~51(平均48)、賞味期限は当社10~15日、他社7~15日であった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度低糖度の和菓子は加熱しても死なない耐熱性芽胞菌が増殖し、その毒素が食中毒の原因になるおそれがある。
  • 品質・精度低糖度の外郎で賞味期限を長く保つことが難しい。
  • 生産能力温度と湿度が高い6月から8月は芽胞菌が増えやすく、低糖度の外郎を一年中造ることが困難だった。

やったこと

まず、原材料からの芽胞菌汚染を防ぐため、外郎の原液が触れる容器、器具、機械装置などを洗浄液で洗い、温水で濯ぐようにした。次に、空中の芽胞菌などを捕集できるHEPAフィルターを介した空気循環システムにより、クリーンルーム(清浄度クラス10,000)内に常に清浄な空気を送り込むようにした。さらに、調理台、外郎切断機、外郎運搬カートを、芽胞菌や埃を堆積させない構造に改造した。除塵機、手指洗浄消毒機、捕虫器を導入し、異物や菌類の混入を防いだ。クリーンルーム内の箇所は広島県環境保健協会に芽胞菌などの微生物検査を依頼し、合格基準をクリアした。試作は6月から8月の期間中に行い、最も食感評価の高い試作品のレシピを低糖度の外郎の基準仕様とした。

その他クリーンルーム
その他HEPAフィルターを介した空気循環システム
その他除塵機
その他手指洗浄消毒機
その他捕虫器
加工機外郎切断機(改造)
その他外郎運搬カート(改造)
その他調理台(改造)

新しい製品・サービス:低糖度で賞味期限の長い外郎

事業の効果

  • 糖度 44度→42度
  • 賞味期限 10日→20日

クリーンルーム化と空気循環、設備の改造により、低糖度の外郎を一年中安定して造れる製造環境を整えた。糖度は42~43、賞味期限は20~25日となり、所要の目標を達成した。従業員は、クリーンルームでの作業を通じて食の安心・安全の大切さを体得した。また、平成27年5月には有機・無添加食品の通信販売を行うオイシックス㈱と売買基本契約を結び、販路の拡大につなげる見通しを立てた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の手作り・添加物を抑えた和菓子づくりの一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    他社6社の糖度45~51、賞味期限7~15日との比較で、糖度44・賞味期限10~15日の自社優位が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    低糖度外郎で賞味期限を伸ばすという課題を認識し、糖度42~43・賞味期限20~25日の目標達成を示している。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    目標糖度40~42・賞味期限20~25日に対し、試作で糖度42~43・賞味期限20~25日を達成したと数値で示されている。

  • 事業を進める体制3

    従業員全員がクリーンルーム作業を体得したとあるが、人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    地元素材の四季の味、甘さ控えめという特徴と、健康志向・低糖度へのニーズが具体的に説明されている。

  • 事業化までの道筋4

    夏期の試作、芽胞菌検査、クリーンルーム整備など段階的な課題解決手順が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    低糖度の芽胞菌対策を伴う外郎で、従来製品にない甘さを抑えた高付加価値品として糖度と賞味期限が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地元素材の活用や地域の産品の発信はうかがえるが、雇用創出や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果3

    売上約40%の主力製品の改善や新製品売上が約60%になったと示されるが、補助金額対比の費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    クリーンルームや空気循環システムの導入は示されるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    山口の四季の素材を活かした商品で地域の味を全国へ発信する点は読み取れるが、地域経済の牽引効果は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新製品(過去3年間に開発した製品)の売上高は全売上高の約60%まで育ってきた。今後も山口の味を全国に発信し続ける方針である。国内販売は当社が行い、国内と海外の通信販売はオイシックス㈱に委託して販路を広げる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。