ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

短時間で天然歯のような審美性を実現する新しいレイヤリングシステムの提供

山本貴金属地金 株式会社

この事例のポイント

  • 近年、歯科分野でオールセラミックス材料が普及しているが、ジルコニアディスクに適合する築盛陶材は少なく、高透光性色付きタイプに合う材料を求める需要に応えられていなかった。
  • 既存のメタルセラミックス用陶材の技術とノウハウを活用し、高透光性色付きタイプのジルコニアディスクに合う新たな築盛陶材を試作開発した。
  • 高透光性色付きタイプのジルコニアディスクに合う陶材の製造条件(ガラス組成、熱処理条件、粉砕、整粒)を確立する目処が立った。

事業者のプロフィール

事業者名山本貴金属地金 株式会社
所在地高知県 香南市
業種非鉄金属製造業
技術分野材料製造プロセス,複合・新機能材料
従業員数275人
資本金5,000万円
設立1976年

事業の背景

当社は貴金属地金、貴金属精錬、貴金属加工、歯科材料の4部門を主要業務とし、近年は歯科材料部門に最も注力している。従来の白色ジルコニアディスクに加え、2013年からは高透光性色付きタイプを含む様々なジルコニアディスクを販売している。国内の本分野の市場規模は約3億8千万円で、海外ではその10倍とも言われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力近年、歯科分野でオールセラミックス材料が普及しているが、ジルコニアディスクに適合する築盛陶材は少なく、高透光性色付きタイプに合う材料を求める需要に応えられていなかった。
  • 人手・技能歯科技工士は年々減少しており、将来的に人手不足が予想されるうえ、補綴物の審美性が作業者の技術に左右されていた。

やったこと

既存のメタルセラミックス用陶材の技術とノウハウを活用し、高透光性色付きタイプのジルコニアディスクに合う新たな築盛陶材を試作開発した。ガラス組成、熱処理条件、粉末粒度を決定し、築盛時の操作性や量産化実験を行った。陶材の製造に用いるため、大型ガラス溶融炉、ロールクラッシャー、水冷乾式ボールミル、プログラム焼成電気炉を導入した。これらは開発期間の短縮のため当社への導入実績のある機器を選定した。

加工機大型ガラス溶融炉
加工機ロールクラッシャー
加工機水冷乾式ボールミル
加工機プログラム焼成電気炉

新しい製品・サービス:高透光性色付きタイプのジルコニアディスクに適合する築盛陶材

事業の効果

高透光性色付きタイプのジルコニアディスクに合う陶材の製造条件(ガラス組成、熱処理条件、粉砕、整粒)を確立する目処が立った。開発した陶材と既存製品の高透光性色付きジルコニアディスクを組み合わせれば、エナメル層とステイン層のみもしくはステイン層のみを重ねるだけで自然歯に近い補綴物を容易に作製できる。築盛の工程数が減り、歯科技工士の作業時間短縮と審美性の両立が期待できる。国内外の歯科用CAD/CAM市場の成長を背景に販売を計画している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のジルコニアディスク販売や歯科材料の製造販売が2013年以降の取組として書かれ、過去事業との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高透光性色付きジルコニアディスクへの適合材料が少ないという市場の隙間と、自社開発ディスクの強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    築盛陶材の白色タイプ偏重という課題認識と、開発・製品化の方向性は書かれているが、高付加価値化の定量的な計画は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    歯科技工士の作業時間短縮は述べられているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    主要業務部門と研究開発体制、既存製造ノウハウの活用は書かれているが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    歯科技工士の作業時間削減や審美性、対合歯へのダメージ抑制など顧客ニーズと製品の価値が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ガラス組成・熱処理・粒度・量産化の実験順序と、臨床評価を経た製品化時期が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内市場約3億8千万円、海外はその10倍とされ、高透光性色付きタイプに適合する築盛陶材が少ない点が示されている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    歯科分野の人手不足や金属アレルギー対応などの社会的背景はうかがえるが、国が補助する理由の記述は限定的。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    歯科用CAD/CAMとの連携やデジタル化による人手不足対策が述べられているが、地域やサプライチェーンへの波及は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    歯科分野の成長や市場拡大は述べられているが、日本経済の構造転換に資する記述は少ない。

  • 地域経済への波及2

    高知県香南市の工場での事業実施は書かれているが、地域の雇用や経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内はデンタルショー等の展示会やプロモーション、歯科医院への直接的な働きかけで早期の市場獲得を目指す。海外では韓国や欧州など歯科用CAD/CAMが普及している地域から販売を開始し、既存の取引先や流通経路を活かして展示会で顧客に直接働きかける。製品化は近年中を目処に進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。