ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

高熱作業に対応した溶湯の重量計測システム導入によるコスト削減

株式会社 特殊製鋼所

この事例のポイント

  • 溶湯は約1,600℃と高温で通常の計測器が使えず、取鍋内の残量を目視で判断するため、溶湯が不足すると鋳型への注入時に不良品となるリスクがあった。
  • 2基のクレーンの構造を変更せずに設置できる、メンテナンス性の良いイコライザーシーブピン型ロードセル方式の重量計測システムを導入した。
  • 重量計測システム導入後、鋳型注入時の溶湯不足に起因する不良品は現在発生していない。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 特殊製鋼所
所在地高知県 高知市
業種鉄鋼業
技術分野材料製造プロセス,測定計測
従業員数109人
資本金6,300万円
設立1956年

事業の背景

船舶を中心に大小様々な鋳鋼品の製造を手がけてきた。長年培った鋳物技術を活かし、橋梁部品などの土木・建設業や自動車プレス等の産業機械へ供給分野を広げている。製造可能な最大製品単重は17トンである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度溶湯は約1,600℃と高温で通常の計測器が使えず、取鍋内の残量を目視で判断するため、溶湯が不足すると鋳型への注入時に不良品となるリスクがあった。
  • コスト・採算溶湯量を正確に把握できないため、不足を避けるために余った溶湯を廃棄し、後日再溶解する余分なコストが発生していた。

やったこと

2基のクレーンの構造を変更せずに設置できる、メンテナンス性の良いイコライザーシーブピン型ロードセル方式の重量計測システムを導入した。ロードセルには防熱板を取り付け、周辺のケーブルを耐熱化することで、約1,600℃の溶湯の重量計測に対応させた。運転室内には取鍋内の溶湯残量の重量表示計と、品目ごとの必要溶湯量を記録するプリンターを備えた。外部には大型の電光表示盤を据え付け、周囲の作業者も一目で重量を確認できるようにした。

検査測定ピン型ロードセル(イコライザーシーブピン型)
その他電圧電流変換器
その他耐熱化ケーブル・防熱板
検査測定運転室内重量表示計
その他必要溶湯量記録用プリンター
その他大型電光表示盤

事業の効果

重量計測システム導入後、鋳型注入時の溶湯不足に起因する不良品は現在発生していない。溶湯量が基準値を下回った回数は導入前とおよそ半減した。湯じわ発生時の研磨などの後加工の時間とコストも削減でき、溶湯の廃棄量は導入前と比べて3.3%減少した。作業者全員が瞬時に溶湯量を把握できるため、意思疎通が明確になり時間のロスがなくなって、労働時間の短縮と職場環境の改善にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組との一貫性は書かれていないが、船舶中心の鋳鋼製造で培った鋳物技術を基盤にしている点はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    受注拡大や競合他社より価格面で優位に立つ狙いは書かれるが、市場動向の分析は示されていない。

  • 課題の認識と解決5

    溶湯不足で廃棄される課題を明示し、廃棄溶湯の溶解コスト年間30%削減など数値目標つきの改善計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    溶解コスト30%削減、補修コスト5%削減、売上高5%増加と具体的な目標値が示されている。付加価値額の目標は明記されていない。

  • 事業を進める体制2

    実施内容は書かれるが、事業を遂行する人材や事務体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    造船・産業機械・土木向けの販売計画の数量が示され、顧客ターゲットと需要が具体的に読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    今後の活動予定として、廃棄量削減や高難度材質への取組が書かれるが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    高温溶湯の重量計測という分野での高付加価値化を目指す記述はあるが、普及度や高価格化の裏付けは薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    橋梁などの土木や船舶向けの供給に触れるが、雇用創出や波及効果への言及は限定的である。

  • 費用対効果4

    廃棄溶湯の減少、補修コスト5%削減、基準値割れの半減など、導入効果の数値が複数示されている。補助金額は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタルによる必要量算出や電光表示盤の導入は書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知県高知市に立地する企業であることは読み取れるが、地域の特性を活かした成長効果の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業を基に溶湯の廃棄量をさらに削減し、溶解コストを下げることで競合他社より価格面で優位に立ち、受注拡大につなげていく。溶湯不足や湯じわによる不良をゼロに近づけ、今後は難易度の高い形状や特殊鋼など高い技術を要する鋳鋼製造にも取り組み、高品質な鋳鋼製造技術を確立することを目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。