ものづくり補助金平成28年度製造業高知県

光学CMM3Dスキャナ導入によるロボット産業向け鋳鉄部品の受注獲得

株式会社トミナガ

成果寸法検査作業にかかる時間が従来の3分の1に大幅に短縮された。

この事例のポイント

  • 複雑で薄肉のロボット向け鋳鉄部品はJIS公差等級CT9が要求されるが、寸法精度の保証は本来困難である。
  • ハンディタイプの非接触式測定機として光学CMM3DスキャナMETRASCAN750を導入した。
  • 寸法検査作業にかかる時間が従来の3分の1に大幅に短縮された。寸法検査作業にかかる時間が従来の3分の1に短縮され、人的な測定ミスもなくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社トミナガ
所在地高知県 高知市
業種鉄鋼業
技術分野測定計測
従業員数87人
資本金5,000万円
設立1962年

事業の背景

当社は1959年の創業時から鋳鉄部品の製造と機械加工を行い、完成パーツとして出荷している。主な取引先は射出成形機、織機、船舶向け設備等のメーカーで、上場企業からの安定した受注がある。ただ、取引先の多くは成熟産業のため大きな市場拡大は望めず、今後の事業継続のためにIoTを活用したロボット産業への参入を決めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術複雑で薄肉のロボット向け鋳鉄部品はJIS公差等級CT9が要求されるが、寸法精度の保証は本来困難である。
  • 品質・精度寸法以外の検査設備はあるものの、寸法精度の保証管理体制が要求レベルを満たしていなかった。
  • 生産能力大型で重量のある鋳鉄品は移動が容易でなく、従来の固定式3Dカメラを使った測定では左右上下の向きを変える作業に工数と時間がかかった。
  • 人手・技能完成品の寸法測定は定規やノギスによるケガキ作業に頼り、測定値の精度にも課題があった。
  • 販路・情報発信主な取引先は射出成形機、織機、船舶向け設備等のメーカーで、成熟産業のため大きな市場拡大が望めなかった。

やったこと

ハンディタイプの非接触式測定機として光学CMM3DスキャナMETRASCAN750を導入した。構成は、CMM3Dスキャナ本体、光学式トラッカー、スキャンデータ修正・編集ソフトである。対象物を動かさずに外側と内側からスキャンし、光学式トラッカーがスキャナの位置を追跡して点の位置情報を読み込み、ポリゴンメッシュデータとして保存する。完成品のCAD図面データと重ねてカラーマッピング表示し、誤差のある部分を一目で確認できるようにした。模型も同様にスキャンして図面との誤差を確認し、試作せずに模型を修正できるようにした。

検査測定光学CMM3Dスキャナ(METRASCAN750)
検査測定光学式トラッカー
ソフトスキャンデータ修正・編集ソフト

新しい製品・サービス:ロボット産業向け鋳鉄部品(アーム型ロボットの台座、アーム部、その他ロボット鋳鉄部品)

事業の効果

  • 寸法検査作業にかかる時間が従来の3分の1に大幅に短縮された。
  • 寸法検査作業時間 1倍→0.33倍

寸法検査作業にかかる時間が従来の3分の1に短縮され、人的な測定ミスもなくなった。製品のポリゴンメッシュデータが保管されるので、納品後でも寸法精度の再確認ができ、クレーム発生時にも迅速に対応できるようになった。模型の寸法精度も保証できるようになり、取引先からの信頼が高まった。新たな部品受注や新規取引先獲得の可能性も高まった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業1959年以来の鋳鉄部品製造の延長として、ロボット産業向け部品へ参入すると明記されており、既存事業との連続性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    上場企業からの安定受注や成熟産業での市場拡大の限界は書かれるが、自社の強みを数値で比較した記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決4

    成熟産業で拡大が望めない課題に対し、ロボット向けの高精度寸法保証で受注を獲得し、2022年度に販売個数・売上の拡大を目指すと書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    寸法検査時間を従来の3分の1に短縮と示され、2022年度の販売拡大目標もあるが、目標値の具体的な数値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    検査設備や試験資格者の配備に触れるが、補助事業を遂行する人員体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    CT9等級の寸法保証が要求されるロボット部品向けに、測定精度と作業の簡便性が選ばれる理由として整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    量産化と取引品目の拡大を進めるとあるが、スケジュールや課題解決の具体的な方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    鋳鉄品は一般にCT10〜12だが、ロボット向けはCT9と高精度化が要求され、同分野で高水準の付加価値化を図る内容と読める。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    ロボット産業は2015年度1.6兆円から2035年に9.7兆円へ拡大見込みと書かれ、新たな雇用や需要の創出に言及がある。

  • 費用対効果2

    投入額や費用対効果の数値は示されず、検査時間短縮の効果のみ触れられている。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dスキャナとトラッカーによる非接触測定とCADとのカラーマッピングで、ロボット産業のサプライチェーンの品質保証に貢献する点が書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出4

    人件費高騰を背景に産業ロボットやIoTへ参入し、ロボット産業が今後拡大すると述べられており、成長分野への進出が読み取れる。

  • 地域経済への波及2

    高知県の地域特性や地域雇用への言及は見当たらず、地域の経済成長への寄与は読み取りにくい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ロボット産業部品の量産化と取引品目の拡大を進め、5年後の2022年度には販売個数・売上ともに飛躍的な拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。