ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

伝統の和紙製品の品質向上の為の改良。その増産を目的とした機械設備の導入。

内外典具帖紙 株式会社

成果最薄紙の厚さ 6g/m2→3g/m2

この事例のポイント

  • 既存の機械は旧式で生産効率が悪く、人手を多く要する。
  • 釜を蒸気釜に更新し、薪による火の管理が不要になった。
  • 最薄紙の厚さ 6g/m2→3g/m2。新たな設備により、厚い製品から超極薄の製品まで幅広く商品開発ができるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名内外典具帖紙 株式会社
所在地高知県 吾川郡いの町
業種パルプ・紙・紙加工品製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数4人
資本金1,000万円
設立1958年

事業の背景

創業以来、特殊紙を中心に表具の裏打ち紙や文化財の修復紙を製造販売してきた。近年は和紙の需要が減少している。市場では品質や高級感があり庶民性のある商品が主流になっており、和紙は原料が高いため安く売ることができない。看板商品の耳付き特殊紙(土佐まき和紙)は大量生産に向かず、大手メーカーが製造しにくい紙である。そのため問屋には卸さず、独自のルートで販売している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存の機械は旧式で生産効率が悪く、人手を多く要する。
  • 新製品・新技術引き合いのある新製品を製造できず、商機を逃している。
  • 品質・精度仕上げ工程の能力が抄紙工程に追いつかず、微調整が利かないため不良紙が多く発生していた。
  • 品質・精度厚手の紙はボイラーの温度が一定以上に上がらず、乾燥が不十分なまま次の工程に進むことがあった。

やったこと

釜を蒸気釜に更新し、薪による火の管理が不要になった。蒸気の力で薬品が原料全体に染み渡り、ムラなく煮られるようになった。原料カゴを導入し、煮上がった原料をフォークリフトで運べるようにしたことで、半日がかりだった人力での移動が不要になり、作業者も削減できた。ナギナタビーターは国内楮の灰汁を抜く作業を不要にし、長い繊維を痛めずに叩解できるようにした。蒸気ボイラーとドライヤーの導入によりドライヤー温度を上げられるようになり、厚手の紙の乾燥が十分にできるようになった。新型のスリッターにより、仕上げの能力不足を解消し、超極薄の紙も巻き取れるようにした。設備は新工場へ移し、平成28年4月より全て稼働している。

加工機釜
加工機原料カゴ
加工機蒸気ボイラー
加工機ナギナタビーター
加工機打解機
加工機ドライヤー
加工機スリッター

新しい製品・サービス:模様入り紗で漉いたインテリア用和紙、高密強化紙など

事業の効果

  • 最薄紙の厚さ 6g/m2→3g/m2

新たな設備により、厚い製品から超極薄の製品まで幅広く商品開発ができるようになった。不良紙が減ったことで、環境負荷と生産コストが下がり、品質と生産性の向上の見通しが立った。生産量や納期の支障も解消され、新規の引き合いや注文に応えられるようになった。原料を煮る作業や原料の移動も省力化され、作業者を削減できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の特殊紙製造を基盤に、旧式機械の更新と新商品開発を計画しており、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大量生産に向かない耳付き特殊紙やニッチ分野を攻める方針、海外既存顧客からの引き合いなど、強みと市場動向が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    旧式機械で引き合いを断っていた課題を認識し、新設備で新商品開発と生産性向上を図る点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    現在の2倍以上の売り上げ目標は示されているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    従業員4名で新工場稼働を進めた経緯はうかがえるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    最薄紙の半分以下となる約3g/m2の製造成功や海外からの引き合いなど、製品価値とニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    海外ターゲット拡大、国内販売層拡大、人材育成など取組の方向は示されているが、スケジュールや課題解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    手漉き技術を活かした極薄の典具帖紙や高密度強化紙など、同分野で高水準の高付加価値化を図る内容が具体的に書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    伝統文化である土佐和紙の継承や官民連携の啓発活動にわずかに触れるが、波及効果や雇用創出の具体的な記述は少ない。

  • 費用対効果3

    不良紙の削減、生産コスト削減、現在の2倍以上の売上目標など効果は示されるが、投入額に対する費用対効果の数値は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    土佐和紙という地域の伝統的特性を活かす点は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

第1に海外のターゲットを広げ、和紙の利用拡大を図る。第2に国内での販売層を拡大し、顧客の意見を収集して製品の改良と新商品開発につなげる。社員の研究や研修への参加を促し人材育成にも力を入れる。これらにより現在の2倍以上の売り上げを目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。