ものづくり補助金平成25年度製造業高知県

クレーンの制振制御技術の高度化による競争力の強化

有限会社 上田電機

成果荷揺れ幅 900mm→10mm

この事例のポイント

  • 県外の大手クレーン製造業者と価格中心の競合が激しくなり、受注量は維持できても利益拡大は望めない。
  • 吊上げ荷重2.8トンの実証実験用専用天井クレーン本体と、ベクトル形インバータを用いたクレーン制御盤を導入し、春野工場で組立・上架、設置、全体試運転調整を行い、設計どおり稼働するこ…
  • 荷揺れ幅 900mm→10mm。制振制御機能付きクレーン制御盤により吊荷の荷揺れを大幅に抑え、クレーン運転の熟練者不足による事故や災害の発生を減らすこ…

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 上田電機
所在地高知県 高知市
業種その他の製造業
技術分野機械制御
従業員数7人
資本金300万円
設立2003年

事業の背景

昭和58年の創業以来、クレーンの製造、現場取り付け、保守メンテナンスまでを一貫して行ってきた。近年は産業機械向けの制御盤の設計・製作やプログラム構築にも力を入れている。県外大手との価格競争が一段と激しくなり、生産・管理体制の効率化や部品供給業者との見直しで低価格高品質の製品を生産し受注を増やしてきたが、利益拡大にはつながっていない。主にメンテナンス・サービス業務を通じて、熟練者の退職や老朽化による荷揺れ増加を感じている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算県外の大手クレーン製造業者と価格中心の競合が激しくなり、受注量は維持できても利益拡大は望めない。
  • 人手・技能近年は熟練者の退職やクレーンの老朽化、運転スピード増に伴う荷揺れの多発があり、それによる災害も増えている。
  • その他高知県内に多い小規模事業所は複数台のクレーンを持てず、事故でメンテナンスが必要になると事業所の全業務が止まってしまう。
  • 新製品・新技術既存の制振制御システムは高価で複雑なため中小零細企業が導入しにくく、汎用インバータによる低速始動・減速停止だけでは安全性と運搬時間短縮を両立できない。

やったこと

吊上げ荷重2.8トンの実証実験用専用天井クレーン本体と、ベクトル形インバータを用いたクレーン制御盤を導入し、春野工場で組立・上架、設置、全体試運転調整を行い、設計どおり稼働することを確認して検収した。制振制御機能なしの場合は高さと吊荷の重さを変えて測定し、900mm程度の荷揺れが発生することを確認したうえで、揺れ幅測定装置を改良した。協力会社の三菱FA産業機器と福岡で打ち合わせ、制振制御の必須係数、吊荷高さ、吊荷の重さ、トロリ重量、制振広さ、制振深さの係数値を求めてインバータに入力した。実際に横行、走行、二方向複合の運転で制振効果を検証し、三菱電機のインバータ設計者に名古屋から来てもらい、揺れ幅をさらに抑えるための係数値を検討した。制御盤は縦800mm×横1000mm×高さ300mm、重量30kg前後である。

その他2.8トン吊実証実験用専用天井クレーン本体
その他ベクトル形インバータを用いた制振制御機能付クレーン制御盤

新しい製品・サービス:制振制御機能付クレーン制御盤

事業の効果

  • 荷揺れ幅 900mm→10mm

制振制御機能付きクレーン制御盤により吊荷の荷揺れを大幅に抑え、クレーン運転の熟練者不足による事故や災害の発生を減らすことを目指している。メンテナンス不要の製品として顧客の維持コストを下げることも狙う。制御盤はクレーン本体より小さく軽いため、高知県のような遠隔地でも運送費の影響を受けにくく、制御盤ユニット単体で販売できる。すでに大手企業も強い関心を示しており、大口納入先となる可能性が極めて高い。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のクレーン製造・保守と制御盤設計の蓄積を背景に制振制御へ取り組む流れが読み取れるが、経営戦略上の位置づけの明記は限定的。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県外大手との価格競争激化を背景に、制振制御による付加価値で差別化する方針と、熟練者不足や荷揺れ事故という市場課題が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    荷揺れ900mm程度の発生を実測し、制振制御機能で課題に対応する方針と、低価格化・メンテナンス不要化の目標が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値増加や賃上げの数値目標は示されておらず、販売時期の目安や大口納入の可能性が書かれるにとどまる。

  • 事業を進める体制3

    社員7名の体制や協力会社(三菱FA産業機器)との打ち合わせ、メーカー設計者の訪問など外部連携が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    荷揺れ10mm以下の性能、県内既存顧客へのテスト導入、大手企業の関心など、製品の価値と顧客ターゲットが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    実証実験の手順を①から⑦まで段階的に示し、今後の検証計画や平成29年春のテスト導入目処が明示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    荷揺れを抑える制振制御付きクレーン制御盤は普及が限定的な分野で、大手との差別化を図る製品として位置づけられている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    クレーン事故や熟練者不足による災害の増加、事業所全体の業務停止リスクへの言及があり、社会的意義は示されているが、波及効果の定量的記述は少ない。

  • 費用対効果2

    既存制振システムの高価さが課題とされ低コスト化を目指すとあるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    制御機器の技術蓄積を活かし機械制御と製造技術を融合する点は示されるが、地域やサプライチェーン全体への貢献は具体的でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    産業機械の制御分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及3

    高知県内の小規模事業所に多い課題に触れ、地域の中小事業者の設備事情を踏まえた製品提供が示されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

平成29年春を目処に県内の既存顧客へテスト導入し、現場実験を重ねて改良したうえで商品化する。第三者機関による客観的な数値評価を得て販売力を強化し、その後は新規受注の新設クレーンに導入し、最終的には既存・新設、自社製・他社製を問わず取り付け可能にする。顧客の状況に応じた価格帯の製品ラインナップも提案できるようにする。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。