ものづくり補助金平成26年度製造業福島県

硝子表面自動外観検査設備の導入

株式会社吉城光科学

成果設備稼働率 70%→100%

この事例のポイント

  • アルミ成膜の後に検出されるキズ欠陥が8〜15%に達し、品質が不安定だった。
  • 板硝子の表面を自動で検査する硝子表面自動外観検査設備を導入した。
  • 設備稼働率 70%→100%。導入した自動検査により、目視では困難だった微細なキズ欠陥を高精度に検出できるようになり、品質の安定が見込まれる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社吉城光科学
所在地福島県 須賀川市
業種その他の製造業
技術分野測定計測
従業員数110人
資本金4,450万円
設立1969年

事業の背景

当社は板硝子を切断・成形し真空蒸着でアルミ成膜を施した光学部品を、コピー機やレーザープリンターなどのOA機器向けに一貫体制で供給している。成膜後に検出されるキズ欠陥が8〜15%に達し、品質と生産計画の安定が課題となっていた。事務機器メーカーは人件費抑制のため中国など海外から国内生産へ回帰する傾向にあり、欠陥品の流出はこれまで以上に許されなくなっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度アルミ成膜の後に検出されるキズ欠陥が8〜15%に達し、品質が不安定だった。
  • 人手・技能8μm以下の微細なキズを見分ける検査には1年以上の実務経験が必要で、検査スタッフの確保と育成が容易でなかった。
  • 生産能力切断・成形の進行が目視検査を前提に組まれ、加工設備の稼働状況は能力の約70%にとどまり、生産計画の調整と納期対応も課題だった。
  • 品質・精度透過性の高い板硝子では目視で8μm以下のキズを検出するのが非常に困難だった。

やったこと

板硝子の表面を自動で検査する硝子表面自動外観検査設備を導入した。切断・成形された板硝子を1本ずつ検査ラインに投入し、搬送中の表面を500万画素の高解像度CCDカメラで撮影して、解析ソフトで欠陥の有無を判定する。1μmのキズも検出できるよう撮影機器を選定し、搬送用コンベア速度調整器とセンタリング機構で被検ワークの位置と速度を安定させた。ホコリを誤って不良と判定しないよう、自動検査の前工程にホコリ除去機構を追加し、ホコリを検出しない解析プログラムに修正した。NG振り分け機構で不良品を排出し、良品は専用レーンで手元へ届くようにして、切断・成形設備の能力100%に見合う生産数を確保した。

検査測定硝子表面自動外観検査設備
検査測定500万画素の高解像度CCDカメラ
ソフト解析ソフト
その他NG振り分け機構
その他ホコリ除去機構
その他搬送用コンベア速度調整器

事業の効果

  • 設備稼働率 70%→100%

導入した自動検査により、目視では困難だった微細なキズ欠陥を高精度に検出できるようになり、品質の安定が見込まれる。良品を専用レーンで自動的に届けられるため、切断・成形設備の能力100%に見合う生産数を確保でき、稼働率と生産性が上がる。検査作業の人手や熟練者への依存も減り、生産計画の調整と納期対応が進めやすくなる。品質の高さで他社と差別化し、受注拡大につなげる効果も期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    板硝子の成膜・検査工程の課題を解決する設備導入で、以前からの一貫生産の延長にあるとうかがえる。明確な中長期戦略の記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    事務機器の国内回帰傾向と品質に秀でた企業ほど受注で優位という認識が示され、外部環境と自社の強みを踏まえている。

  • 課題の認識と解決5

    アルミ成膜後の欠陥流出8~15%、稼働率約70%という具体的課題を挙げ、500万画素カメラ導入で能力100%に見合う生産性を目指すと記載。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    欠陥検出の精度や能力100%対応など定性的目標はあるが、賃上げ目標や付加価値額の数値目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    検査スタッフの育成が難しい課題は書かれているが、補助事業の遂行体制や人材配置の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    事務機器メーカーの国内回帰という需要の裏付けと品質による選ばれ方は読み取れるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    導入設備の機能は説明されているが、スケジュールや中長期の課題検証の方法はうかがえる程度にとどまる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    光学ミラーの欠陥検出に高解像度カメラを用いる点は特色だが、ジャンルの普及度や高価格化の記述は乏しい。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内回帰による雇用や地域への波及効果がわずかにうかがえるが、国が補助する積極的理由としての記述は弱い。

  • 費用対効果3

    稼働率約70%から能力100%への改善や欠陥流出の抑制が示されるが、補助金額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    CCDカメラによる画像解析で自動検査を行う点は示されるが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内回帰という事務機器業界の動きに連動する点がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及2

    福島県須賀川市の企業とわかるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

事務機器の国内回帰で欠陥品の流出は厳禁となるため、部品供給コストで競争しにくい中、品質に特化して他社との差別化を図り、存在感を高める方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。