ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

3次元プリント配線基板の製造プロセス確立と実用化

株式会社豊光社

成果数100μm程度のL&S(ライン&スペース)の局面配線基板の作製の可能性が見出せた

この事例のポイント

  • 曲面や立体物にプリント基板の配線を形成する技術が確立されていなかった。
  • 岩手大学の森邦夫名誉教授が開発した分子接着技術を、ライセンス契約により応用して3次元プリント基板の製造プロセスの確立を目指した。
  • 数100μm程度のL&S(ライン&スペース)の局面配線基板の作製の可能性が見出せた。曲面基材に絶縁膜と銅配線パターンを形成できることが確認された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社豊光社
所在地福岡県 北九州市
業種電気機械器具製造業
技術分野接合・実装,表面処理,立体造形
従業員数36人
資本金3,000万円
設立1969年

事業の背景

同社は創業以来46年、プリント基板分野で設計から製作、部品実装、量産、評価まで一貫して担う九州のパイオニア企業である。プリント基板は受注型の産業色が強いなかで、自社ブランドのセンサ事業(Picsor)やLED照明(Solana)にも取り組んでいる。新分野としてプリント基板の立体化に挑んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術曲面や立体物にプリント基板の配線を形成する技術が確立されていなかった。
  • 生産能力従来の立体配線基板は平面基板を組み合わせるため、形状や大きさに限界があった。
  • コスト・採算LED照明や高性能CPU装置では小型化と低コスト化が求められていたが、従来の方式では応えにくかった。

やったこと

岩手大学の森邦夫名誉教授が開発した分子接着技術を、ライセンス契約により応用して3次元プリント基板の製造プロセスの確立を目指した。曲面の基材に密着するフォトマスクを製作し、「3次元フォトマスク」工法を完成させた。この工法を「MARBS(マービス)」と命名した。この工法で「3次元配線照明」と「異形ヒートシンクへの実装/装着製品」の試作を行った。

新しい製品・サービス:3次元プリント基板(分子接着技術とフォトマスク工法による曲面・立体配線基板)

事業の効果

  • 数100μm程度のL&S(ライン&スペース)の局面配線基板の作製の可能性が見出せた

曲面基材に絶縁膜と銅配線パターンを形成できることが確認された。球面上にLED素子を実装できる配線パターンも製作でき、球面に沿った配線により自然な光を作り出せるようになった。今後は試作と改善を重ね、製造プロセスの簡素化と部品数の削減を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来46年のプリント基板事業の延長上に3次元プリント基板を位置付けており、過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    市場や顧客の引き合い・試作依頼に触れるが、競争優位性の根拠となる外部環境分析や自社の強み・弱みの具体的な記述は見られない。

  • 課題の認識と解決3

    曲面基板の製造プロセスの簡素化と部品数の削減という課題と解決方向は示されているが、高付加価値化や成長に結びつく事業計画の数値や段取りは書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    平均年齢30歳代前半の若い技術者集団で設計から量産まで一貫して担う体制が示されるが、補助事業の遂行体制の具体的な配置や事務体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小型化・低コスト化・LED配光向上・放熱性能向上など製品価値と用途が具体的に示され、引き合いや試作依頼を受けている点も述べられている。

  • 事業化までの道筋3

    今後は試作・改善で残課題を解決し製品化を目指すと述べられているが、スケジュールや課題解決の具体的方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    平面基板の常識を覆す世界初の3次元プリント基板で、MARBS工法という独自手法を完成させており、新分野での高付加価値性がうかがえる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    LED照明や高性能CPUの小型化・低コスト化ニーズへの対応が述べられるが、波及効果や雇用創出などの国の補助の必要性を示す記述は薄い。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献4

    分子接着技術と設計・製作・部品実装・量産技術を組み合わせ、樹脂筐体への直接配線など新しい製品開発でイノベーションに貢献しうる内容が具体的に示されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    立体配線や照明など新分野への波及可能性は述べられるが、日本経済の構造転換に資する市場成長の根拠は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    北九州の老舗企業が新分野に挑む点はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

残りの課題を解決して製品化を目指し、曲面配線基板により製造プロセスの簡素化と部品数の削減につなげていく。様々な業界の試作依頼にも応えながら、今までにないモノづくりの可能性を追求していく。

事業者の声

まあるい基板もつくることができ、照明など様々な分野へ波及する可能性を秘めている。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。