ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

冷凍果物・野菜の鮮度維持の向上と視認性を一新する包装技術の確立

株式会社八ちゃん堂

この事例のポイント

  • 冷凍果物は霜が付きやすく、劣化が進むため、鮮度を保ったまま長期保存できる商品の開発が求められていた。
  • 果物の形状や鮮度が見えて、冷凍による鮮度の長期保持を可能にする真空スキンパック包装の実用化に取り組んだ。
  • スキンパック包装により、果物から離水が出ず霜が付きにくくなり、乾燥も抑えられ、見た目も取れたての果物のような鮮度が保てるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社八ちゃん堂
所在地福岡県 みやま市
業種食料品製造業
技術分野接合・実装,表面処理
従業員数120人
資本金3,000万円
設立1977年

事業の背景

同社はたこ焼きの移動販売で創業し、冷凍たこ焼きなどで新しいことに挑戦してきた。冷凍みかんの「むかん」はヒット商品となった。一方、福岡県は農産物が豊富だが果物の消費が伸び悩んでいる。国内では単身世帯や高齢化の進行により加工済み食品・食材への需要が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術冷凍果物は霜が付きやすく、劣化が進むため、鮮度を保ったまま長期保存できる商品の開発が求められていた。
  • 生産能力果物の真空スキンパックを実施するための設備が同社になく、海外から輸入する必要があった。
  • 新製品・新技術食品を包む専用フィルムがなく、果物の種類や形に合わせた最適な素材と厚さを新たに研究する必要があった。

やったこと

果物の形状や鮮度が見えて、冷凍による鮮度の長期保持を可能にする真空スキンパック包装の実用化に取り組んだ。同社オリジナルのスキンパック設備を海外から輸入し、食品を包む専用フィルムは存在しなかったため、果物の種類や形に応じてフィルムの素材と厚さを試行錯誤して研究した。その結果、みかん、葡萄、パイン、苺など6種類の果物の商品化にたどり着いた。

加工機スキンパック設備(海外から輸入したオリジナル設備)

新しい製品・サービス:果物の真空スキンパック包装による冷凍果物(みかん、葡萄、パイン、苺など6種類)

事業の効果

スキンパック包装により、果物から離水が出ず霜が付きにくくなり、乾燥も抑えられ、見た目も取れたての果物のような鮮度が保てるようになった。透明フィルムで中身が見えるため消費者も安心して購入できる。廃棄ロスの減少やコスト削減にもつながり、地元みかん農家と連携して大手コンビニや流通大手に供給する販路も開拓し、25年度は売上前年比200%UPを達成した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    たこ焼き移動販売からFC展開、冷凍たこ焼きや「むかん」など新しいことに挑戦する風土が記載され、過去の取組との一貫性は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    冷凍果物の不満解消や果物消費の伸び悩みに触れ、冷凍技術のノウハウを活かす強みは書かれているが、競争優位の定量的根拠は乏しい。

  • 課題の認識と解決3

    霜付きや劣化という課題を整理し真空スキンパックで解決する方向は示されているが、事業計画の数値目標は明記されていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売加速や安定的売上増の見通しはあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員120人、資本金3000万円、6種類の商品化、量産化の準備に言及あり。ただし補助事業の遂行体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    霜が付かず鮮度と見た目を保てる点、透明フィルムで中身が見える点、高齢者や給食需要など顧客ターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    量産化、第2期でのスパゲッティやピザへの展開、給食用加工食品の調査など今後の段階的計画は示されている。

  • 財務と資金の調達2

    価格や高級食材の開発要請など売上面の記述はあるが、財務状況や金融機関からの資金調達については書かれていない。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    海外では認知され始めたが国内では真空スキンパックの商品化が進んでおらず、果物での高付加価値化に挑む点が明確に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    単身世帯や高齢化による加工食品需要増、廃棄ロス減少への貢献、地元みかん農家との連携など波及効果がうかがえる。

  • 費用対効果2

    廃棄ロスの減少やコスト削減に触れているが、補助金投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    地元農家との連携や新しい冷凍食品市場の創造はうかがえるが、先端デジタル技術の活用は読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    果物消費の伸び悩みや高齢化への対応として新市場を開く方向性がうかがえるが、構造転換への明示的な記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    福岡県の豊富な農産物を活かし、地元みかん農家と連携して商品化し、大手コンビニや流通大手へ供給した点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は状況を見ながら量産化に向けた動きを加速させる。第2期として導入設備を用いてスパゲッティやピザ等のスキンパック化も目指す。その後は給食用加工食品のマーケティング調査を行い、ニーズの高いスキンパック加工食品を開発する計画である。5年、10年後には新しい食品のスタンダードに育てたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。