ものづくり補助金平成24年度宮城県

ワインを好む有職女性に向けた、新しい味わいの日本酒の研究・開発

萩野酒造株式会社

この事例のポイント

  • 日本酒における新たな消費者層を開拓し、需要増を図る必要があった。
  • ワインを好む女性をターゲットに、フルーティで甘味と酸味が際立つ純米大吟醸タイプの日本酒「萩の鶴 純米大吟醸 試験醸造酒」を試作した。
  • 試験醸造酒は平成26年に8,500本余りを製品化し、うち1,043本を試験的に販売した。

事業者のプロフィール

事業者名萩野酒造株式会社
所在地宮城県 栗原市
業種食料品製造業
技術分野切削加工
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1923年

事業の背景

萩野酒造は1923年設立の清酒製造販売会社で、従業員は10人である。主力の清酒は萩の鶴などで、長年作り続けてきた。日本酒の消費者層を広げるため、ワインを好む有職女性に向けた新しい味わいの製品が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑日本酒における新たな消費者層を開拓し、需要増を図る必要があった。
  • 生産能力仕込みから貯蔵までの工程を改善し、正確・迅速・省力化を進める必要があった。
  • 品質・精度瓶詰め・火入れ・冷蔵貯蔵の工程で起こりうる酒質の劣化を防ぐ必要があった。

やったこと

ワインを好む女性をターゲットに、フルーティで甘味と酸味が際立つ純米大吟醸タイプの日本酒「萩の鶴 純米大吟醸 試験醸造酒」を試作した。宮城県産業技術総合センターの協力を得て、洋食にも合う味わいを考察し、アルコール度数を14度に設定した。酒質は非常にデリケートだったため、仕込みを厳寒時に行い劣化を極力防いだ。試作に併せてアルコール分・総酸度・アミノ酸度を測る成分分析器を導入し、分析の精度向上と省力化を図った。さらに瓶詰め・火入れ・冷蔵貯蔵の劣化を防ぐためプレートヒーターと充填機を導入し、販売店と消費者へのアンケートも実施した。

検査測定成分分析器(アルコール分・総酸度・アミノ酸度)
その他プレートヒーター
加工機充填機

新しい製品・サービス:萩の鶴 純米大吟醸 試験醸造酒

事業の効果

試験醸造酒は平成26年に8,500本余りを製品化し、うち1,043本を試験的に販売した。販売店と消費者へのアンケートでは味・アルコール度数・容量・価格の全てで好評を得て、ターゲットの女性以外の既存消費者からも支持された。同試作品は平成26年にインターナショナル・ワイン・チャレンジとワイングラスでおいしい日本酒アワードで受賞した。分析精度の向上と省力化、劣化防止により酒質が向上し、温度・成分管理に労力と時間を割けるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去に長年作り続けた製品との違いを打ち出す開発とあるが、経営戦略上の位置付けは文章から明確には読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    ワインを好む女性層を狙い、既存消費者からも好評だったと書かれ、顧客ニーズへの対応はうかがえるが強みとの関係は具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決3

    分析機器や瓶詰め・火入れ工程の改善により劣化を防ぐ課題対応は書かれているが、付加価値化の数値的見通しは示されていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    8,500本製品化・1,043本試験販売の実績はあるが、付加価値向上や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員10人の小規模体制と宮城県産業技術総合センターの協力は書かれるが、遂行体制の詳細は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ワインを好む有職女性がターゲットで、アンケートで味・度数・容量・価格の好評が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から試験醸造酒へ発酵時間を延ばす改良などの経過は書かれているが、今後のスケジュールは大まかである。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来品と全く異なるフルーティで甘味と酸味が際立つ日本酒で、金賞やシルバートロフィー獲得の実績が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    新たな消費者層の開拓と需要増を狙うとあるが、地域波及や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果3

    分析機器や充填機の導入で省力化と酒質向上を実現したとあるが、投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    分析データ活用や工程改善はうかがえるが、先端デジタル技術やサプライチェーン貢献の記述は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    宮城県栗原市の蔵元として地域の技術センターと連携している点はあるが、地域経済牽引との関係は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

蓄積した分析データを活用し、初試作時より発酵時間を長く取った試験醸造酒を製造している。柔らかで穏やかな味わいをさらに加えた仕上がりの製品とし、濾過・火入れ・貯蔵の面でも改善を続ける。今後も消費者に驚きを与える酒造りを追求していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。