ものづくり補助金平成25年度製造業福岡県

高炉スラグ加工砂を利用したローコスト施工可能な高耐久性速硬断面修復材の開発

二瀬窯業株式会社

成果マクロセル腐食試験での腐食量を10mg/cm2以下とする著しい腐食抑制が可能になった

この事例のポイント

  • モルタルは気温によって硬化時間が変動し、冬季は硬化が著しく遅くなるため、補修作業が長期化して人件費などの修復コストが増加する。
  • 同社独自技術の高炉スラグ加工砂を用いた一般建築用モルタルをベースに、道路橋等の断面補修に適合する補修剤を試作した。
  • マクロセル腐食試験での腐食量を10mg/cm2以下とする著しい腐食抑制が可能になった。外気温に依存せず概ね1時間で硬化するモルタルが実現し、現場での利便性が向上した。

事業者のプロフィール

事業者名二瀬窯業株式会社
所在地福岡県 飯塚市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数94人
資本金1,300万円
設立1934年

事業の背景

昭和9年の創業以来、特殊セメントを製造し、プレミックスモルタルの製造では40年余の実績を持つ。天然珪砂の代わりに製鉄副産物の高炉スラグを骨材に使う製品群を開発し、建築学会からも評価されエコマーク認定製品となっている。道路橋などのコンクリート構造物では鉄筋腐食によるコンクリート剥落事故が多発し、断面修復工法による保守工事が行われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力モルタルは気温によって硬化時間が変動し、冬季は硬化が著しく遅くなるため、補修作業が長期化して人件費などの修復コストが増加する。
  • 品質・精度道路橋などの断面修復工事では補修部周辺の鉄筋がマクロセル腐食を起こし、補修を繰り返す必要が生じる。
  • 品質・精度従来のモルタルでは、マクロセル腐食の抑制、硬化時間の制御、高耐久性を同時に満たす断面修復材が困難であった。

やったこと

同社独自技術の高炉スラグ加工砂を用いた一般建築用モルタルをベースに、道路橋等の断面補修に適合する補修剤を試作した。試作品は外気温に応じて遅延剤を加えることで硬化時間を制御できるようにし、マクロセル腐食、ストレス耐性、耐中性化を評価した。評価には補助金で導入したストレス試験設備機と中性化促進試験設備機を用いた。

検査測定ストレス試験設備機
検査測定中性化促進試験設備機

新しい製品・サービス:高炉スラグ加工砂を用いた断面修復用モルタル(補修剤)

事業の効果

  • マクロセル腐食試験での腐食量を10mg/cm2以下とする著しい腐食抑制が可能になった
  • ストレス試験を10,000回以上クリアした

外気温に依存せず概ね1時間で硬化するモルタルが実現し、現場での利便性が向上した。マクロセル腐食を著しく抑制でき、10,000回のストレス試験をクリアして強い耐ストレス性を示した。耐中性化もFC=24N/mm2の一般コンクリートと同等を実現した。これにより補修コストの抑制効果が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のプレミックスモルタル40年余の実績と、スラグ骨材の研究継続が書かれ、事業との一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    断面修復市場の課題(硬化時間・マクロセル腐食)と独自の高炉スラグ加工砂という強みを対比し、競争優位が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    硬化時間の変動、マクロセル腐食、修復の長期化という課題を具体的に挙げ、新製品で解決する計画になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    マクロセル腐食10mg/c㎡以下、ストレス試験10,000回クリアなど数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    金沢工業大学との共同研究や従業員94人の記載はあるが、補助事業を遂行する体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客は断面修復工事業者、NEXCO、公共団体などと明示され、施工性や耐久性という選ばれる理由が書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    販路の開始、論文発表やPRによる普及といった今後の進め方は書かれているが、スケジュールは明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    天然珪砂の代わりに高炉スラグ加工砂を使う独自技術で、断面修復材の高付加価値化が具体的に示されている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    道路橋の剥落事故防止や天然資源の代替による環境貢献、エコマーク認定など、国が支える公共性が具体的に示されている。

  • 費用対効果3

    補修期間の短縮と鉄筋腐食抑制によるトータルコスト抑制が期待されると書かれているが、数値的な費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高炉スラグ加工砂の活用は述べられているが、先端的なデジタル技術やサプライチェーンへの波及は記載がない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    道路橋の長寿命化や橋梁点検・修繕計画の全国的推進に触れており、社会的な需要の拡大がうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    飯塚市の工業団地に立地することは書かれているが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

断面修復材の需要拡大が見込まれ、現在の断面修復工事業者への販路から販売を開始する。土木学会での論文発表やNEXCO、国交省、公共団体などへのPRを通じて関係業界への認知と実用化、販路拡大を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。