ものづくり補助金平成26年度製造業宮城県

極細繊維化による、高々断熱性能を持つグラスウールの開発

株式会社ワンワールド

この事例のポイント

  • 繊維径を細くし密度を高めた、従来品より高性能な断熱材の開発が求められていた。
  • 熱伝導率を短時間で測定できる新たな熱伝導率測定装置を導入した。
  • 新しい測定装置とマイクロスコープの導入により、1件あたり数日かかっていた熱伝導率の測定が2時間程度に短縮され、試作品を短時間で評価して何種類もの試作を繰り返せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ワンワールド
所在地宮城県 栗原市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野材料製造プロセス,測定計測,複合・新機能材料
従業員数84人
資本金1.681億円
設立1985年

事業の背景

株式会社ワンワールドのテクノファイバー事業部は、栗原市若柳の専用工場で住宅用グラスウール断熱材を製造している。製品はほとんどが大手住宅メーカー、建材問屋、一般工務店などに納入され、特に住宅メーカーでは高断熱仕様住宅に多く導入されている。納入先は東北一円が中心だったが、近年は鉄道コンテナ輸送のコストメリットから関西方面にも販路を広げていた。住宅業界では2020年に住宅の省エネ基準の義務化が予定されており、住まいの断熱性能の向上が必要不可欠になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術繊維径を細くし密度を高めた、従来品より高性能な断熱材の開発が求められていた。
  • 生産能力再生原料であるガラスカレットの供給不足が続いており、少ない原料で高い断熱効果を得られる製品の開発が急務だった。
  • 新製品・新技術試作品の熱伝導率を評価する装置は測定に時間がかかり、多くのデータを蓄積するにも膨大な時間が必要で、開発スピードが遅れていた。

やったこと

熱伝導率を短時間で測定できる新たな熱伝導率測定装置を導入した。あわせて、試作品の繊維径などの構造を検証するためにデジタルマイクロスコープを導入した。これにより試作品の評価体制が整い、繊維径の極細化と高性能化を進めることができた。その結果、最大で熱伝導率0.035W/(m・K)、繊維径3㎛の試験体の製造に成功した。さらに、従来品以上に安全性を重視したノンホルムアルデヒド対応の断熱材の開発にも着手し、良好な結果が得られている。

検査測定熱伝導率測定装置
検査測定デジタルマイクロスコープ

新しい製品・サービス:熱伝導率0.035W/(m・K)、繊維径3㎛の高性能断熱材(高断熱グラスウール)と、ノンホルムアルデヒド対応の断熱材

事業の効果

新しい測定装置とマイクロスコープの導入により、1件あたり数日かかっていた熱伝導率の測定が2時間程度に短縮され、試作品を短時間で評価して何種類もの試作を繰り返せるようになった。その結果、開発スピードが格段に上がり、最適な製造条件を素早く見つけられるようになった。従来品と同程度の密度でさらに高性能化した新製品を開発し、販売にこぎつけた。また、関西方面への販路も着実に広がっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    独自製造装置の開発とガラスカレット再利用など従来からの取組が読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ガラスカレット供給不足や東北・関西への販路拡大など外部環境と、独自技術・コンパクト装置という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ガラスカレット不足という課題に対し、少ない原料で高断熱を得る製品開発と評価時間短縮の計画が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    熱伝導率0.035W/(m・K)、繊維径3㎛の試作成功や評価時間の数日から2時間への短縮など数値で成果が示されている。売上・付加価値の目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    開発担当や若柳工場次長など担当者の役割は示されるが、人材や事務処理体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    住宅メーカー中心の納入先、高断熱仕様住宅での採用、シックハウス対策への要望対応など顧客とニーズの裏付けが書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    ノンホルムアルデヒド断熱材が製品化の目途、関西圏への販路拡大方針などの方向性はあるが、スケジュールの詳細は少ない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来のハイレベル品(熱伝導率0.038)を超えるスペックの製品を目指し、ノンホルムアルデヒド対応という高付加価値化が書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    次世代省エネ住宅の普及や環境保全、資源有効活用への貢献が書かれ、社会的意義はうかがえるが、雇用創出などの波及効果は明示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金で開発スピードが上がったとの記述はあるが、投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    リサイクルガラス利用や使用後グラスウールの再利用、東南アジアでの廃棄物削減への貢献が書かれているが、先端デジタル技術の活用は記載がない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    省エネ基準義務化や省エネ機運の高まりに触れ、海外展開を述べているが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    宮城県栗原市の専用工場で製造し、東北一円や関西へ販路を広げるなど、地域の特性を活かした事業であることが具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は関西圏へも販路をさらに広げるとともに、省エネの機運が高まる東南アジアを中心に海外へ製造技術を提供していくことを検討している。原料にリサイクルガラスを使う製造装置の導入によって、廃棄物の削減と住宅の省エネ化への貢献も期待している。

事業者の声

従来は測定に1件あたり数日かかっていたのが、新しい装置では2時間程度に短縮することができました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。