ものづくり補助金平成25年度情報通信業福岡県

病院の収益改善を実現する「診療報酬加算計算・管理システム」の試作開発

株式会社ヴィンテージ

この事例のポイント

  • 診療報酬の加算計算は要素が多く複雑で、病院の担当者の負担が大きい。
  • 診療報酬点数の内容、計算方法、加算条件などについて、システム上の計算要件を調査・整理した。
  • プロトタイプの完成により、病院は手間をかけずに診療報酬加算分を申請できるようになり、経営の効率化と収益改善が期待できる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ヴィンテージ
所在地福岡県 北九州市
業種情報サービス業
従業員数16人
資本金1,300万円
設立2005年

事業の背景

同社はWEBシステム開発やWEBコンサルティングを展開し、大手企業や行政関係に実績を持つ。社会福祉協議会向けシステムを全国に導入・販売しており、それが同社の大きな柱となっている。福祉業界との関わりから、複数の医療機関より診療報酬加算の課題やシステム化への要望が出ていた。日本の病院は高齢化に伴う入院・外来の増加などにより、7割が赤字だと言われている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能診療報酬の加算計算は要素が多く複雑で、病院の担当者の負担が大きい。
  • 集客・繁閑加算条件を満たしていても気付かずに申請漏れが起きることがあり、経営を圧迫する要因になりかねない。
  • 品質・精度改訂で取消しすべき加算分を誤って申請すると、返金を求められることがある。

やったこと

診療報酬点数の内容、計算方法、加算条件などについて、システム上の計算要件を調査・整理した。画面の設計図は自社開発者が作成し、画面をシステム上で作成する作業は外注先に発注した。試作づくりを進める中で病院の現場から画面や操作性等の感想・助言を受け、デザインや機能の改善等に役立てた。診療報酬加算計算の条件を調査・整理し、ソフトウエア機能として実装したプロトタイプを完成させた。

新しい製品・サービス:診療報酬加算計算・管理システム(サーバ版の試作・プロトタイプ)

事業の効果

プロトタイプの完成により、病院は手間をかけずに診療報酬加算分を申請できるようになり、経営の効率化と収益改善が期待できる。ユーザーである病院へのヒアリングや調査が可能となり、今後の本開発をより精度高く行えるようになった。病院は経営資源を医療技術や患者サービスの向上に投下でき、よりよい医療サービスの提供が加速すると期待される。医療分野が加わったことで、医療・福祉市場に対して総合的に商品を提供するシステム開発メーカーとしての地位を築く可能性も見えてきた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のWEBシステム開発や社会福祉協議会向けシステムの実績が事業の柱とあり、医療分野への展開は一貫性があると読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大手企業や行政・社協向けの実績と、病院の声を取り入れる姿勢は読み取れるが、市場規模や競合との比較など外部環境の分析は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    病院で加算申請漏れや返金が起きる課題を具体的に示し、プロトタイプで申請を簡素化して収益改善につなげる方向性が明確に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、経営効率化・収益改善という定性的な効果のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    自社開発者が設計図を作成し画面作成は外注先に発注する体制が書かれ、従業員16人規模の企業である点も読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    対象は加算要素が多い中規模以上の病院で、地域の中核的病院を主要ターゲットと位置付け、病院の声を反映した点が具体的。

  • 事業化までの道筋3

    プロトタイプ完成後に病院で操作検証し、クラウド版への展開や販売代理店の仕組み構築など次の段階が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    診療報酬加算計算を支援するシステムで、既存の類似サービスの普及度は書かれていないが、加算計算の複雑さという課題の特異性は示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    日本の病院の7割が赤字とされる経営課題に触れ、医療機関の収益構造改善に貢献する点は読み取れるが、経済波及や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果2

    投下資金に対する付加価値増加や費用対効果の数値は書かれておらず、経営効率化という定性的な効果のみがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    診療報酬加算の計算をシステム化し医療機関の業務効率化に貢献する点は読み取れるが、先端技術の活用や地域サプライチェーンへの波及は具体的でない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    医療・福祉市場へ総合的な商品を提供するシステム開発メーカーを目指すとあり、分野進出の方向性はうかがえるが、構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及3

    北九州市を拠点に地域の中核的病院を対象とし、医療機関の業務効率化に貢献する点は読み取れるが、地域経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はサーバ版をベースにクラウド版の開発を手掛けたい。対象は加算要素が多い中規模以上の病院で、地域の中核的病院をメインの対象とする。まずはモデルケースで実証しながら完成度を高め、医療機関の業務効率化と収益構造の改善に貢献していきたい。販売価格は医療機関の声を聞くなどマーケティングを進める中で決定する考えだ。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。