ものづくり補助金平成25年度情報通信業長崎県

電子カルテが保持する医療情報システムの院外活用と安全管理

大新技研株式会社

この事例のポイント

  • 電子カルテにバックアップがなく、大規模災害で停電した際に患者の診療データが消失したり、データを早急に利用できなくなった。
  • 電子カルテサーバーと院外バックアップサーバー間でデータを転送する院外バックアップシステムを開発した。
  • バックアップシステムは既に実際の病院システムで実証実験を行い、利用者の意見を聞いてさらに改良を進めている。

事業者のプロフィール

事業者名大新技研株式会社
所在地長崎県 長崎県佐世保市
業種情報サービス業
技術分野情報処理

事業の背景

東日本大震災では広範囲で電力供給が途絶え、病院の照明や各種設備・システムが停止した。電子化が進んだ医療現場では電子カルテのバックアップがなく、診療データの消失やデータの早急な利用ができない事態が多発した。地震に加え、台風や水害のリスクも高まっており、医療データの外部バックアップの必要性が認識されていた。当社の電子カルテシステムの顧客からもそうした声が寄せられていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他電子カルテにバックアップがなく、大規模災害で停電した際に患者の診療データが消失したり、データを早急に利用できなくなった。
  • 新製品・新技術院外でも電子カルテを活用したいという需要が高まっているのに、院外利用に対応する機能がなく、既存客や新規客への商談で提案力が不足していた。

やったこと

電子カルテサーバーと院外バックアップサーバー間でデータを転送する院外バックアップシステムを開発した。災害等の非常時でもバックアップデータの復旧や業務の継続ができるようにした。在宅医療の際に専用端末で院内と同じ環境の電子カルテ操作や訪問スケジュール管理ができる訪問診療・訪問看護システムを開発し、通信環境に左右されず利用できるようにした。病院ごとに異なる固有のデータを出力する標準化データ出力システムを開発し、主に地域連携システムでのカルテデータ公開での利用を想定した。紙の問診票をiPadで入力でき、電子カルテのデータベースに反映できる問診システムを開発した。

ソフト院外バックアップシステム
ソフト訪問診療・訪問看護システム
ソフト標準化データ出力システム
ソフト問診システム

新しい製品・サービス:院外バックアップシステム、訪問診療・訪問看護システム、標準化データ出力システム、iPadを使った問診システム

事業の効果

バックアップシステムは既に実際の病院システムで実証実験を行い、利用者の意見を聞いてさらに改良を進めている。訪問診療・訪問看護システム、標準化データ出力システム、問診システムも含め、従来の自社電子カルテシステムにオプションとして装備できる。そのため既存客や新規導入を検討する先に対して、機能面で他社との差別化を図ることができている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の電子カルテシステムの既存客への追加提案という流れが読み取れるが、過去の取組との関係を具体的に示す記述は少ない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    近年の院外利用ニーズの高まりと、他社との機能面での差別化という外部環境と強みへの言及がある。数値による裏付けはない。

  • 課題の認識と解決3

    東日本大震災時に電子カルテのバックアップがなくデータ消失が起きた課題を認識し、外部バックアップで対応している。成長への定量的な効果は示されていない。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制2

    担当の事業部と担当者名はあるが、開発や事務処理を担う体制の詳細は示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    バックアップ、訪問診療、標準化データ出力、iPad問診の各機能と、既存客・新規顧客・関東以西の医療施設という対象が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    実証実験を行い利用者の意見を反映して改良中で、実証終了後に本格営業へ進む流れが示されているが、時期や期間は不明。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    院外利用ニーズの高まりに言及するが、同分野の普及度や高価格化の水準を示す記述はわずかにうかがえる程度。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    災害時に医療データの継続利用ができない課題や被災地での必要性が述べられており、社会的な意義はうかがえる。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    iPadによる問診の電子カルテへの反映や地域連携システム向けの標準化データ出力が示されており、デジタル活用は読み取れる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療現場の電子化と院外利用という方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換との関係は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    所在地は長崎県佐世保市と記載されているが、地域特性を活かした事業内容や雇用・成長への言及はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

実証実験の終了後は、関東以西の医療施設や病院などに本格的な営業を展開し、電子カルテの既存客の継続・追加利用と新規顧客の開拓を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。