ものづくり補助金平成26年度製造業青森県

貴腐ワイン様ブドウ酒の開発と成分分析装置の導入による品質の高度化

有限会社サンマモルワイナリー

この事例のポイント

  • 新規の貴腐ワイン様ブドウ酒を開発するうえで、品質の規格化と管理が課題となっていた。
  • 成分分析の効率化と高精度化を図るため、ワイン分析装置を導入した。
  • 官能評価では、品温30℃の試作品は硫化臭が感じられて評価が低く、15℃の方が評価が高い傾向があった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社サンマモルワイナリー
所在地青森県 青森県むつ市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数12人
資本金300万円
設立2002年

事業の背景

弊社は平成19年に青森県内唯一のワイナリーとして設立され、グループ会社のブドウ園で約32,000本のワイン用ブドウ(ピノ・ノワール等6品種)を栽培し、年間約76,000本のワインを製造している。近年は年間製造量を増やすため、販路開拓と新商品開発に力を入れている。ワイン製造では商品設計や規格化、品質管理に成分分析が欠かせないが、手作業による分析で精度にばらつきが生じていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度新規の貴腐ワイン様ブドウ酒を開発するうえで、品質の規格化と管理が課題となっていた。
  • 人手・技能複数の製造スタッフが手作業で成分分析を行っており、技術習熟度や外部環境によるバラツキが分析精度に影響していた。
  • 人手・技能成分分析作業の省力化が求められていた。

やったこと

成分分析の効率化と高精度化を図るため、ワイン分析装置を導入した。貴腐ワインは貴腐菌を増殖させて水分を蒸発させ、糖分などを凝縮させた原料を用いるが、本事業では貴腐ブドウの代わりに県産スチューベンの濃縮果汁を使い、通常のワインより糖分を増やして低価格で甘味のあるブドウ酒を試作した。濃縮果汁とストレート果汁の混合比を検討し、発酵の品温を赤ワインを想定した30℃と白ワインを想定した15℃の2種として、混合比と合わせて計6種の試作を行った。既存の貴腐ワインの分析値と試作品の分析値を比較し、官能評価も実施して品質を規格化した。

検査測定ワイン分析装置

新しい製品・サービス:貴腐ワイン様ブドウ酒

事業の効果

官能評価では、品温30℃の試作品は硫化臭が感じられて評価が低く、15℃の方が評価が高い傾向があった。6種の試作から最適な濃縮果汁とストレート果汁の混合比を導き出すことができた。既存の貴腐ワインは平均約7,000円(720ml)と高価だが、試作品が製品化されれば低価格での販売が可能になる。分析の高精度化と品質の規格化が実現し、高品質なワインの製造体制が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    前身のワイン製造実績と農商工連携の取組に連続性があり、分析装置導入は増産と品質管理の課題に位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存貴腐ワイン平均約7,000円に対し低価格化を図り、2020年東京オリンピックや和食の無形文化遺産登録を販路の好機として挙げている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業分析のバラツキという課題を挙げ、分析装置導入と6種の試作で最適な混合比を導いたと具体的に示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げの目標値は示されておらず、低価格化による販売可能性の記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    従業員12人の体制と製造スタッフの役割は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    低価格で貴腐ワインのような甘味を持つ点が製品価値として書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋3

    6種の試作と官能評価という進め方は示されるが、今後の製品化スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金300万円は記載があるが、補助事業を遂行する財務状況や金融機関からの資金調達の見込みは書かれていない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    貴腐ワインは既存の高価格品があり低価格化を図るが、ジャンルの普及度や高水準の高付加価値化への言及は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    下北地域の遊休地活用や地域生産者との連携、雇用増加による地域経済への貢献が記載されている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額や付加価値増加などの数値が示されておらず、費用対効果は文章から判断できない。

  • イノベーションへの貢献3

    分析装置導入による品質管理の効率化と農商工連携はあるが、先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの記載はない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    日本経済の構造転換に資する市場成長分野への進出の記述は薄く、和食に合うワインの海外展開は今後の構想にとどまる。

  • 地域経済への波及4

    下北半島の遊休地や地域産業資源活用事業の認定を挙げ、地域の特性を活かした果実加工の拡大を見込んでいる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地域の農商工連携に積極的に取り組み、県産スチューベンなどを用いて製造を続けてきた。下北地域の遊休地でブドウやベリー類の生産が拡大する見込みで、加工ニーズも広がると考えられる。2020年の東京オリンピックや和食の無形文化遺産登録を機に県外・海外への販売拡大が期待でき、将来的には和食に合うワインを開発して海外展開も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。