ものづくり補助金平成26年度製造業青森県

設備更新による製本事業の生産性と収益性の改善

株式会社田中紙工

成果作業時間 3日→1日

この事例のポイント

  • 印刷物の発行部数の低迷などで製本需要が減る一方、年度末や年度初めには季節的に需要が集中し、受注を断るケースも生じていた。
  • 三方断裁機、マーブル・クロス貼り機、横型プレスカッターの3台の冊子加工機械を導入し、加工作業を機械化した。
  • 作業時間 3日→1日。3台の機械導入により全体の作業時間が4〜5倍速くなり、作業効率と安全性が向上して従業員の作業負担も減った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社田中紙工
所在地青森県 八戸市
業種印刷・同関連業
技術分野立体造形
従業員数7人
資本金1,000万円
設立1998年

事業の背景

当社は印刷会社から持ち込まれた印刷物に無線綴じ、中綴じ、折りなどの加工をして納品する総合専門製本業を営んでいる。紙の仕入れ資金が不要で粗利益率の高いビジネスとして、地域の紙媒体による情報発信を支えてきた。近年はインターネットの普及により書籍・雑誌の発行部数が低迷し、大手印刷企業では綴じ加工の内製化が進んだ。印刷・製本の市場規模も年々減少し、青森県南地域の製本業者は当社を含め2社のみとなった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力印刷物の発行部数の低迷などで製本需要が減る一方、年度末や年度初めには季節的に需要が集中し、受注を断るケースも生じていた。
  • 人手・技能製本作業は手作業が多く効率が悪く、機械設備の形状から危険を伴う工程も多かった。
  • 生産能力生産性を上げられる設備の更新が喫緊の課題だった。

やったこと

三方断裁機、マーブル・クロス貼り機、横型プレスカッターの3台の冊子加工機械を導入し、加工作業を機械化した。三方断裁機は断裁前のサイズを付属のタッチパネルに入力するだけでA4からA6サイズまで自動で天・地・小口の三方断裁ができ、裁ち屑も一か所に集積できる。無線綴じの仕上げ裁ちは一度に5〜10冊単位で行えるようになった。マーブル・クロス貼り機は伝票などの背中の補強テープを自動で貼り、従来手作業だった工程を自動化した。横型プレスカッターは冊子の折り部分を機械で圧力を掛けて潰し、手作業より強く圧縮できて折り部分の仕上がりも良くなった。3台とも作業の効率化と生産性向上を第一に選定した。

  • 加工機三方断裁機マーブル・クロス貼り機横型プレスカッター

事業の効果

  • 作業時間 3日→1日

3台の機械導入により全体の作業時間が4〜5倍速くなり、作業効率と安全性が向上して従業員の作業負担も減った。一人でできる作業が増え、省スペースで各担当者が機械に対応できるようになった。製本物の品質は手作業に劣らず、小ロットの発注にも対応できるようになった。作業時間の短縮により納期が厳しい案件も受注できるようになり、横型プレスカッター導入後は中綴じ冊子の受注も増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    無線綴じ・中綴じ等の製本を長年手がけ、紙媒体の情報発信を支えてきたとあり、既存事業との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    印刷市場の縮小や大手の内製化、地域の製本業者が2社のみという環境認識が書かれ、競争優位は年度末の需要過多への対応力として示唆される程度。

  • 課題の認識と解決4

    年度末・年度初めの需要過多で受注を断るケースがあるという課題を示し、3台導入で作業時間を4〜5倍速にする解決策が書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1人3〜4日の作業が1〜2日に短縮、作業時間4〜5倍速と数字で目標と効果が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員7名、平均年齢35.6歳と体制の概要は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    小ロット対応、短納期、低価格化を目指すと書かれ、顧客ターゲットは中綴じ冊子の取引先印刷会社とあるが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    中綴じ冊子の売り込みや大量ロット価格の見直しなど今後の方針は書かれているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    製本業は市場が縮小しており、高付加価値化や高価格化を図るとの記述はなく、新市場性はわずかにうかがえる程度。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地域の紙媒体による情報発信を支え、青森県南地域の製本業者が2社のみになった状況が書かれ、地域の産業維持の意義がうかがえる。

  • 費用対効果3

    3台の導入で作業時間が4〜5倍速になったと書かれるが、投入額や付加価値額の増加など費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    八戸市を拠点とし地域の紙媒体を支えると書かれるが、地域資源を活かした付加価値創出や雇用拡大の記述は乏しい。

今後の展望

大量ロットの価格を少し低めに設定でき、短納期化を図ることで受注拡大を目指す。中綴じ冊子製本を取引先の印刷会社へ売り込んでいく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。