ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

地域水産資源を活用した高度加工商品の新開発及び新たな生産体制の確立

フードパック株式会社

この事例のポイント

  • 三陸沿岸の水産業の被災と少子高齢化・人口減少により海藻加工品の需要が縮小し、既存商品を既存ルートで販売するだけでは売上の維持が困難になっていた。
  • 岩手で「イサダ」と呼ばれる三陸産の「ツノナシオキアミ」に着目し、食用油脂の香味油「オキアミ香海油」を開発した。
  • 専用設備の導入により油脂加工品の生産体制が構築され、調味から充填までの全工程が安心・安全な環境で行われるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名フードパック株式会社
所在地岩手県 宮古市
業種食料品製造業
従業員数15人
資本金1,200万円
設立1999年

事業の背景

当社は三陸産わかめや昆布などの海藻類を中心に商品開発から製造、販売までを行い、自社商品やOEM商品を全国に発送している。主力は「茎わかめ」や「おつまみ昆布」である。三陸沿岸は東日本大震災で壊滅的な被害を受け、地域の水産加工事業者は再興に努めているが、少子高齢化や人口減少により需要は縮小している。原料の調達や消費量の減少も懸念材料である。一方で国産原料や無添加、健康志向の商品への関心は高く、節約志向から自宅で手軽に調理できる調味料も求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力三陸沿岸の水産業の被災と少子高齢化・人口減少により海藻加工品の需要が縮小し、既存商品を既存ルートで販売するだけでは売上の維持が困難になっていた。
  • 新製品・新技術これまでにはなかった高い付加価値を持つ商品を生み出し、売上の確保につなげる必要があった。
  • 新製品・新技術油脂加工品の生産にあたり、既存商品と共用できる設備がなかった。

やったこと

岩手で「イサダ」と呼ばれる三陸産の「ツノナシオキアミ」に着目し、食用油脂の香味油「オキアミ香海油」を開発した。香味油はツノナシオキアミの風味を残しつつ水分を取り除くため香味油温の調整が鍵となり、試作を重ねて香味油を加温する最適温度と加温時間を導き出し商品化した。油脂加工品の生産には既存設備と共用できないため、専用設備として蒸気ボイラー、練機付き回転釜、賞味期限を印字するインクジェットプリンター、熱収縮フィルムで包装物全体を密着包装するシュリンク包装機、半自動液体充填機、エアコンプレッサー、液体輸送ポンプを新たに導入した。これにより調味から充填に至るすべての工程が安心・安全な環境下で行われるようになった。

その他蒸気ボイラー
加工機練機付き回転釜
その他インクジェットプリンター
加工機シュリンク包装機
加工機半自動液体充填機
その他エアコンプレッサー
その他液体輸送ポンプ

新しい製品・サービス:油脂調味料「オキアミ香海油」(ツノナシオキアミを使った食用油脂の香味油)

事業の効果

専用設備の導入により油脂加工品の生産体制が構築され、調味から充填までの全工程が安心・安全な環境で行われるようになった。展示販売会では100本を準備し初日で完売するなど大きな手応えを得た。既存の小売ルートに加え外食産業との業務用取引が拡大しつつあり、調味料カテゴリーでの新規顧客獲得と売上拡大につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の海藻加工から調味料カテゴリーへ活路を見出す流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は具体性が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    少子高齢化による需要縮小や既存ルートだけでは売上維持が困難という外部環境と、食品製造ノウハウを活かす方針は読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    既存商品の売上減少という課題に対し、高付加価値の香味油を開発し外食産業との取引拡大を図る具体的な方向性が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値向上の目標値や賃上げ目標の数字は示されておらず、わずかに売上拡大を目指す旨がうかがえるonly。

  • 事業を進める体制3

    設備導入や試作を重ねた経緯は読み取れるが、事業遂行の人材や事務体制についての記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    少量で風味が出る点や、国産原料・無添加を求める消費者ニーズへの対応など、製品価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作を経て最適温度と加温時間を導き商品化した経緯は読み取れるが、今後のスケジュールや課題解決方法は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    香味油に海産物を使うものはほとんど販売されていないと記載され、ツノナシオキアミを使った高付加価値商品として位置付けられている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用3

    震災で壊滅的被害を受けた三陸の水産業再興に努める旨が書かれ、地域復興への寄与がうかがえるが、波及効果の数字は薄い。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    地域の未利用資源を活用した新商品開発とあるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記載されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    三陸の未利用資源ツノナシオキアミを活用し地域水産業の再興に取り組む点が具体的に書かれ、地域特性を活かした事業と読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も原料や製造方法にこだわった調味料の開発に取り組み、蓄積した食品製造のノウハウを活かして水産品にこだわらない商品開発に挑戦していきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。