ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

生味噌を主体として110年続く老舗味噌屋の「本格だし入り味噌」領域への本格進出

佐々長醸造株式会社

この事例のポイント

  • 生味噌に含まれる酵素がだしの旨味を分解するため、だし入り味噌の製造には酵素の働きを失わせる加熱処理が不可欠だった。
  • 生味噌を蒸気で加熱しながら攪拌し、冷却も行う蒸気加熱攪拌機「レオニーダー」を導入した。
  • 蒸気加熱攪拌機の導入により、だし入り味噌の加熱・攪拌・冷却が一台で行えるようになり作業が効率化した。

事業者のプロフィール

事業者名佐々長醸造株式会社
所在地岩手県 花巻市
業種食料品製造業
技術分野材料製造プロセス,製造環境
従業員数38人
資本金2,000万円
設立1951年

事業の背景

当社は1906年創業で、花巻市東和町の自然のなかで味噌や醤油を製造してきた。昔ながらの製法で加熱しない生味噌を作り、県内外で味にこだわる消費者から支持を得ている。共働き世帯の増加などで家事の時短が求められ、味噌にだしが入っただし入り味噌の需要が高まっていた。大口取引先のいわて生活協同組合からも製造の要望があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術生味噌に含まれる酵素がだしの旨味を分解するため、だし入り味噌の製造には酵素の働きを失わせる加熱処理が不可欠だった。
  • 品質・精度生味噌は繊細で、数秒間一定温度で加熱した後に緩やかに冷却しないと褐変する。
  • 生産能力取引先の要望に応えて、だし入り味噌の試作を重ね、商品として認定を得る生産体制を整える必要があった。

やったこと

生味噌を蒸気で加熱しながら攪拌し、冷却も行う蒸気加熱攪拌機「レオニーダー」を導入した。レオニーダーは生味噌を加熱後に釜内を減圧し、気化熱で味噌を冷却することで変色や味の劣化を防ぐ。また生味噌の気泡を除いて組織を密にし、なめらかな味と落ち着いた色合いを保つことも実証された。加熱、攪拌、冷却をこの機械で行うことで作業が効率化した。いわて生協の商品委員会の要望を取り入れて試作を何度も重ね、取引先との共同試作で高い評価を得て生産体制を整えた。

加工機蒸気加熱攪拌機「レオニーダー」

新しい製品・サービス:生味噌の風味を活かしただし入り味噌

事業の効果

蒸気加熱攪拌機の導入により、だし入り味噌の加熱・攪拌・冷却が一台で行えるようになり作業が効率化した。取引先との共同試作では高い評価を得て、生産体制を整えられた。だし入り味噌はいわて生協のプライベートブランドで販売され、組合員から高い評価を得て売上も好調である。自社ブランド品としても販売を始めた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    明治39年創業で生味噌にこだわり続けてきた経緯があり、だし入り味噌もその延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    共働き世帯の増加と家事時間短縮の需要、大口取引先からの製造依頼を背景に、生味噌の強みを活かした商品化を進めている。

  • 課題の認識と解決3

    家事時間短縮という需要の変化は示されているが、売上や利益の目標値がなく、課題解決の具体的な計画は薄い。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売り上げや利益の増加、雇用を押し広げることに触れているが、付加価値額や賃上げの目標数値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    取引先との共同試作や商品委員会の認定に向けて試作を何度も重ね、生産体制を整えたことが書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    若い世代を中心とした顧客ニーズに応えること、組合員から高い評価を得て売り上げが好調なことが示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の販路拡大や商品開発に努めるとあるが、スケジュールや課題の解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    杉樽で一年以上熟成させた生味噌を使う本格だし入り味噌という点が示されているが、市場での位置付けの数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    地域雇用の受け皿を強化すること、県産大豆と県産米を使い岩手の食文化を支えることが波及効果として書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術の活用や新しいビジネスモデルは書かれておらず、製造面の新規性も限定的にしか読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    共働き世帯の増加に伴う家事時間短縮の需要に対応する記述はあるが、日本経済の構造転換に触れる内容ではない。

  • 地域経済への波及4

    花巻市東和町の恵まれた自然のなかで、県産原料を使い地域雇用を広げる取組として地域特性が活かされている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

だし入り味噌の売上と利益の増加はプライベート商品や自社ブランド品の製造拡大と地域雇用の受け皿の強化につながる。今後も販路拡大と雇用の拡大、商品開発に力を注ぐ方針である。

事業者の声

こだわるのは県産大豆と県産米を使った商品づくり。岩手の食文化を支えていきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。