ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

竪型ロータリー成形機導入による車載向け高品質成形部品供給体制の確立

和田工業株式会社

成果リードタイム 5日→3日

この事例のポイント

  • インサート成形を外注しており、金属端子を協力会社へ送って戻すまでの輸送に各1日かかり、受注から出荷検査完了まで最低5日のリードタイムが必要だった。
  • インサート射出成形機及び必須付帯装置3機(樹脂の水分を除去する脱湿乾燥機、成形時の不要な樹脂を除去するランナー取り出し機、冷却水を安定して供給する金型冷温調機)を導入した。
  • リードタイム 5日→3日。社内でプレスからインサート成形までを一貫生産できる体制が確立され、外注時の輸送がなくなったことでリードタイムが大幅に短…

事業者のプロフィール

事業者名和田工業株式会社
所在地岩手県 下閉伊郡山田町
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野精密加工
従業員数120人
資本金9,500万円
設立1962年

事業の背景

当社は創業以来、プレス精密金型の製作とプレス製品の製造を行っている。これまでは主に携帯電話、スマートフォン、パソコン、テレビなどに使われる民生用部品を供給してきたが、近年は自動車の重要保安部品であるEPS(電動パワーステアリング)など、自動車部品用コネクタの受注も増加している。自動車部品用コネクタは金属端子のプレス加工の後、インサート成形で完成させるが、当社はインサート成形の設備を持たず、外部の協力会社に外注していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程インサート成形を外注しており、金属端子を協力会社へ送って戻すまでの輸送に各1日かかり、受注から出荷検査完了まで最低5日のリードタイムが必要だった。
  • 納期・工程顧客の要求する納期や品質に対応するため、インサート成形を含む全工程を社内で一貫して行う体制の整備が必要だった。
  • 品質・精度プレス後に金属端子の錫めっき皮膜が変色(腐食)するリスクが、送り戻しの時間とともに懸念されていた。

やったこと

インサート射出成形機及び必須付帯装置3機(樹脂の水分を除去する脱湿乾燥機、成形時の不要な樹脂を除去するランナー取り出し機、冷却水を安定して供給する金型冷温調機)を導入した。導入機は竪型ロータリー射出成形機で、社内でインサート成形が可能となった。平成28年2月に機械装置一式を設置後、試作テストを行い諸条件の最適化を図り、顧客による妥当性評価を経て5月より生産を開始した。機器導入から2年後、金属部品の供給と完成品の取り出し・収納を自動で行う装置を取り付け、インサート成形工程を自動化した。これにより製造時間は1サイクル50秒から38秒に短縮され、現在は2台体制で2アイテムの自動車部品用コネクタを製造している。並行して従業員1名を協力会社に派遣し、約1ヵ月間のインサート成形製造技術者の研修を行った。

加工機竪型ロータリー射出成形機(インサート射出成形機)
その他脱湿乾燥機
その他ランナー取り出し機
その他金型冷温調機
ロボット金属部品供給・完成品取り出し収納の自動装置

新しい製品・サービス:自動車部品用コネクタ(インサート成形による一貫生産品)

事業の効果

  • リードタイム 5日→3日
  • リードタイムを約40%削減
  • 製造時間(1サイクル) 50秒→38秒

社内でプレスからインサート成形までを一貫生産できる体制が確立され、外注時の輸送がなくなったことでリードタイムが大幅に短縮された。送り戻しがなくなったため、金属端子の錫めっき皮膜の変色リスクもゼロになり、製品性能の向上にもつながった。従来より低コストかつ高品質な製品を短納期で製造でき、顧客の要望に高いレベルで応えられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    プレス精密金型の製作から民生部品供給を経て、自動車部品用コネクタへ受注を広げる流れが書かれており、既存事業の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    EPSなど自動車重要保安部品のコネクタ受注が増加していると書かれ、精密プレス技術が強みとして挙げられている。市場動向の数字は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    外注の送り戻しで最低5日のリードタイムがかかっていた課題を示し、内製化後は受注から出荷検査完了まで最短3日になったと具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    リードタイムを約40%削減し、1サイクル50秒を38秒に短縮したとの実績が示されており、目標の実現性は読み取れる。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    協力会社へ従業員1名を約1カ月派遣して製造技術者を育成したと書かれ、人材面の体制整備がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客の納期・品質要求に応えること、顧客の妥当性評価を経て生産開始したことが書かれ、選ばれる理由の一端は読み取れる。ターゲットの定量的な裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    平成28年2月に設置、試作テストと条件最適化、顧客評価を経て5月に生産開始と、スケジュールと進め方が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    自動車部品用コネクタの一貫供給体制という特定分野での取組が書かれているが、普及度や高付加価値化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    自動車産業での受注拡大や地域の製造業の取組が示されるが、川上川下への波及効果や雇用創出の具体的記述は見当たらない。

  • 費用対効果3

    リードタイム短縮や製造時間短縮の効果は書かれているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    インサート成形の自動化や一貫生産体制が書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に述べられていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車部品分野への進出が書かれているが、日本経済の構造転換への言及は読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県山田町の企業であることはわかるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も機器の追加導入や自動化をさらに推し進め、安定した製品供給を実現することで、自動車部品分野への販路開拓と受注拡大を図っていきたい。

事業者の声

プレス加工からインサート成形まで一貫生産できることは、顧客の信頼感獲得にもつながっている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。