ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

高精度スーパー二相ステンレス鋳鋼の製造技術開発

株式会社小西鋳造

成果窒素の分析精度の誤差 20%→5%

この事例のポイント

  • スーパー二相ステンレス鋳鋼を製造するうえで鋳造欠陥が発生しやすい。
  • 設計図をもとに生成した鋳型の3次元モデル上で、溶解金属の流入状況や凝固過程をパソコン上でシミュレーションできる鋳造CAEシステムを導入した。
  • 窒素の分析精度の誤差 20%→5%。鋳造CAEシステムにより試作回数が減り、人的コストや原料コストの削減と開発時間の短縮につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社小西鋳造
所在地岩手県 宮古市
業種金属製品製造業
技術分野材料製造プロセス
従業員数30人
資本金1,000万円
設立1933年

事業の背景

当社はステンレスやアルミニウム、鉄など様々な金属を原料とした工業用鋳物の製造を行っている。近年、一般的な鋳物製品は価格の安い海外製品が増えており、業界で生き残るには付加価値の高い製品の製造が不可欠となっている。当社は腐食に強い新素材であるスーパー二相ステンレスに着目した。塩分に強く海洋開発や化学プラントなどで需要が見込まれるが、新素材のため国内のどの工場でも製造技術は確立されておらず、当社でも職人の経験や勘に頼って製造することが多かった。

課題と取り組み

抱えていた課題

やったこと

設計図をもとに生成した鋳型の3次元モデル上で、溶解金属の流入状況や凝固過程をパソコン上でシミュレーションできる鋳造CAEシステムを導入した。鋳型設計の微調整や金属の適正な流し込み速度などを事前に検証できるようにし、従来必要だった試作鋳型の製作と調整を減らした。併せて、放電により発生する光で含有成分を分析する発光分光分析装置を導入し、窒素の分析精度向上を図った。

ソフト鋳造CAEシステム(3次元鋳造シミュレーションソフト)
検査測定発光分光分析装置

新しい製品・サービス:スーパー二相ステンレス鋳鋼品

事業の効果

  • 窒素の分析精度の誤差 20%→5%

鋳造CAEシステムにより試作回数が減り、人的コストや原料コストの削減と開発時間の短縮につながった。発光分光分析装置の導入で窒素の分析精度が向上し、安定した金属組織と機械的性質が得られるようになった。その結果、高品質で低コストのスーパー二相ステンレス鋳鋼品を製造できるようになり、鋳鋼製品全般の品質向上とロスの低減にも貢献している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は職人の経験や勘に頼り製造していたと書かれ、新素材の鋳鋼品製造に取り組む方針は読み取れるが、過去の取組との連続性の説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    新素材スーパー二相ステンレスは海洋開発や化学プラントで需要が見込まれ、価格の安い海外製品が増える中で付加価値製品を目指すと書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    品質・歩留まりの悪さ、試作によるロスという課題を挙げ、シミュレーション導入で試作回数低減や開発時間短縮につなげる方針が書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    窒素分析の誤差を20%から5%に減少したことは確認されていると書かれるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    ベテラン職人の経験を活かしつつソフトをカスタマイズする体制がうかがえるが、人材や事務処理体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高品質・短納期・低コストを前面に出し、他社との差別化を図る方針が示され、新規受注拡大という狙いも書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    ソフトを使いながら精度を上げ、データ補正を重ねてカスタマイズする進め方は示されるが、スケジュールや中長期の検証内容は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    スーパー二相ステンレスは新素材で国内工場に製造技術が確立されていないと書かれ、高付加価値化の取組として位置づけられている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    腐食に強い新素材の需要増が見込まれると書かれるが、雇用創出や波及効果への言及はほぼない。

  • 費用対効果3

    試作回数低減や原料コスト削減、開発時間短縮に結びついていると書かれるが、投入額に対する効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    鋳造CAEという3次元シミュレーションを導入し、他の鋳鋼品製造にも利用できると書かれ、デジタル活用の要素はある。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    新素材の製造技術を確立する取組であり、成長分野への進出の意図はうかがえるが、構造転換への言及は少ない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県宮古市の工場での事業とは書かれるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高品質、短納期、低コストを前面に押し出し、他社との差別化を広くアピールしながら新規受注の拡大につなげたい。また、ベテランから若手への技術継承にもつながるとみている。

事業者の声

シミュレーションソフトを使っても、最終的に判断するのは私たちベテランの職人。当社仕様にソフトをカスタマイズしながら、システムの精度を上げていく必要がある

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。