ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

燃料電池用電極触媒の低白金化を実現する白金ナノ粒子触媒の量産化のための設備導入

株式会社 ジュークス

成果白金使用量(市販触媒比) 1倍→0.5倍

この事例のポイント

  • 携帯電話の実機量産組み立てや検査は新製品の販売時期に受注が集中し、年間を通じて安定した受注稼働が難しい。
  • 岩手大学の竹口竜弥教授と出会い、同教授が取り組んでいた白金ナノ粒子触媒の共同研究に参加し、当社の従業員を同教授のもとへ派遣するなどして研究を重ねた。
  • 白金使用量(市販触媒比) 1倍→0.5倍。市販触媒に比べ約1/2の白金使用量で同等性能を発揮し、一酸化炭素耐性にも優れた白金電極触媒の量産化への道筋をつけた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 ジュークス
所在地岩手県 久慈市
業種情報通信機械器具製造業
技術分野機械制御,複合・新機能材料
従業員数72人
資本金1,500万円
設立2009年

事業の背景

当社は携帯電話の実機量産品の組み立てや検査、様々な組み立て製品の検査を主力事業としている。検査は新製品の販売時期に受注が集中し、年間を通じた安定稼働が難しく、受注先も限られていた。一方で家庭用燃料電池の市場規模は今後大きく拡大すると見込まれ、電極用白金触媒も2020年には75億円の市場規模になるとの予測があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑携帯電話の実機量産組み立てや検査は新製品の販売時期に受注が集中し、年間を通じて安定した受注稼働が難しい。
  • 販路・情報発信受注先が限られていたため、新規の業容拡大が難しい状況にあった。
  • 生産能力大学内にあった触媒の調整技術を工場に移転し量産するには、量産試作設備の導入が必要だった。
  • 新製品・新技術燃料電池の市場では安価であることが求められ、触媒に使う高額な白金の使用量を減らす低白金化が不可欠だった。

やったこと

岩手大学の竹口竜弥教授と出会い、同教授が取り組んでいた白金ナノ粒子触媒の共同研究に参加し、当社の従業員を同教授のもとへ派遣するなどして研究を重ねた。工場内に触媒製造部門を新設し、触媒調整法の習熟を図るとともに、原材料を熱する電気炉や攪拌装置、超音波洗浄器などの周辺機器を含む量産試作設備を長内工場に導入した。白金とルテニウムを混ぜ合わせた新規合金触媒を用い、多量合成を実現するため諸条件を変えて試作を繰り返し、市場価格の低減に応える平行連続調製技術を確立した。

加工機電気炉
加工機攪拌装置
その他超音波洗浄器

新しい製品・サービス:燃料電池用電極触媒(白金ナノ粒子触媒、低白金化)

事業の効果

  • 白金使用量(市販触媒比) 1倍→0.5倍

市販触媒に比べ約1/2の白金使用量で同等性能を発揮し、一酸化炭素耐性にも優れた白金電極触媒の量産化への道筋をつけた。市場価格の低減という要望に応えられる低白金化により、市場での競争力を備えたと考えられる。この製品により受注量の増加と安定的な売り上げが見込まれ、新規雇用や雇用の安定にもつながると期待している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従業員が検査を主力としてきた事業の延長で、燃料電池触媒への進出を経営の業容拡大として位置づけている。ただし過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    市販触媒に比べ約1/2の白金量で同等性能、一酸化炭素耐性に優れる点を強みとし、受注が限られる検査事業の弱みを踏まえて進出を説明している。

  • 課題の認識と解決3

    検査受注の季節変動や受注先の限定という課題を示し、量産体制で安定受注を図る方向は書かれているが、数値を伴う計画は乏しい。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    受注増加や新規雇用に触れているが、付加価値額の目標値や賃上げ目標の数字は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    大学の教授のもとへ従業員を派遣し触媒調整技術を工場へ移転した経緯が書かれ、体制の一端はうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    市販触媒の約1/2の白金使用量と同等性能、一酸化炭素耐性という価値を示し、低価格化による市場競争力を述べている。

  • 事業化までの道筋3

    試作を繰り返し量産への習熟度を上げる方針が示されているが、スケジュールや期間は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    家庭用・自動車用燃料電池の市場拡大を前提に、電極用白金触媒の2020年75億円市場予測や先行メーカーの独占状況を挙げている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    地域の活性化や沿岸地域の復興促進、関連事業者の岩手県進出、新規雇用の創出に貢献すると具体的に述べている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、わずかに受注増への期待がうかがえる程度。

  • イノベーションへの貢献3

    大学との共同研究による新技術の量産化で、燃料電池の部品産業への波及を述べているが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面80%
  • 成長分野への進出4

    市場拡大が予測される燃料電池分野へ進出し、検査組立中心の事業から新分野へ転換する構造転換が明示されている。

  • 地域経済への波及4

    岩手県久慈市の拠点で沿岸地域の復興と地域活性化に寄与し、新規雇用と業容拡大を牽引すると述べている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も試作を繰り返し、量産への習熟度と完成度を向上させる。関連事業者の岩手県進出も期待され、地域の活性化や沿岸地域の復興促進にも貢献できると考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。