ものづくり補助金平成26年度建設業岩手県

コンクリート構造物の重層的調査診断方法の確立による新市場進出

株式会社 栄組

この事例のポイント

  • 建設投資が急激に減少し、建設工事の売上げが低迷していた。
  • 補助事業では、コンクリート劣化調査の重層化と劣化部処理の高度化のため、7種の機械設備を導入した。
  • 劣化調査、劣化部処理、補修施工、補修評価を一元管理できるようになり、コンクリート構造物の補修情報をデータとして集積するマネジメントシステムを構築できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 栄組
所在地岩手県 遠野市
業種総合工事業
技術分野測定計測
従業員数31人
資本金5,000万円
設立1955年

事業の背景

当社は1955年(昭和30年)の創業以来、主に岩手県発注の土木、舗装、建築工事を手掛けてきた。建設投資が急減して建設工事の売上げが低迷したため、2006年(平成18年)にひび割れ補修に着目し、新規事業としてコンクリートひび割れ補修に進出した。自社開発した圧力調整注入工法という独自の補修技術を持つ。コンクリート補修市場は拡大傾向にあり、特に劣化調査診断の市場は成長が期待された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑建設投資が急激に減少し、建設工事の売上げが低迷していた。
  • 品質・精度コンクリート構造物の劣化調査の測定結果を重層的に見る方法がなく、どの程度危険な状態かが分かりにくかった。
  • 品質・精度補修後にコンクリート構造物がどの程度回復したかを調べる方法がなく、補修後の品質にバラツキがあり施工不良の場合もあった。
  • 新製品・新技術従来のコンクリート工事の工法には改善の余地があった。

やったこと

補助事業では、コンクリート劣化調査の重層化と劣化部処理の高度化のため、7種の機械設備を導入した。既に導入していた超音波測定器、赤外線サーモグラフィー装置、鉄筋腐食探知器に加えて、ストラクチャスキャン(電磁波レーダー)でコンクリート内部の鉄筋、配管、空洞を探査する。電量滴定式塩分計(全塩分迅速測定器)でコンクリートに含まれる塩分量を測り塩害を診断し、コンクリートテスター(打音検査機)で非破壊によりコンクリートの圧縮強度を測定して健全性を判断する。アルカリシリカ簡易判断装置でアルカリシリカ反応を診断し、ひび割れ幅測定器でひび割れ幅を0.01mm単位で測定する。トレーラージェットは水圧で劣化部を取り除き、ダイヤモンドコアツールは既設コンクリートから供試体を採取する。

検査測定ストラクチャスキャン(電磁波レーダー)
検査測定電量滴定式塩分計(全塩分迅速測定器)
検査測定コンクリートテスター(打音検査機)
検査測定アルカリシリカ簡易判断装置
検査測定ひび割れ幅測定器
加工機トレーラージェット
加工機ダイヤモンドコアツール

新しい製品・サービス:コンクリート構造物の維持管理サイクル(劣化調査から補修評価までの一元管理)

事業の効果

劣化調査、劣化部処理、補修施工、補修評価を一元管理できるようになり、コンクリート構造物の補修情報をデータとして集積するマネジメントシステムを構築できた。劣化調査の結果が明瞭になり、構造物の危険度や補修による回復の程度を適切に診断して的確な対策を講じられるようになった。今後はこのシステムを長寿命化に生かし、補修品質の向上と構造物のライフサイクル経費の低減に貢献していく計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和30年創業の土木・建築会社が、建設投資の減少を受け平成18年に自社開発の圧力調整注入工法でひび割れ補修へ進出した経緯が明確である。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    建設投資の急減という外部環境に対し、独自の補修技術を強みに補修市場へ転換しており、外部環境と経営資源の関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    補修後の品質バラツキや劣化状態の分かりにくさを課題と認識し、7種の機械設備導入で対応する計画と結果が示されている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    補修市場の拡大傾向は示されるが、付加価値額や賃上げの数値目標は記載がなく、実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制2

    従業員31名や専務取締役の存在は示されるが、補助事業を遂行する人員配置や事務処理体制の具体的記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    補修後の品質バラツキ解消や補修情報の一元管理を価値として示すが、顧客ターゲットや選ばれる理由は整理されていない。

  • 事業化までの道筋2

    今後はマネジメントシステムを長寿命化に活用すると述べるが、スケジュールや課題解決の方法は記載されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    独自開発の圧力調整注入工法と拡大傾向の補修市場への参入が書かれるが、高価格化や数値的な優位性までは示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    コンクリート構造物の長寿命化や維持管理による社会インフラへの貢献がうかがえるが、波及効果や雇用創出の記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    補助金額や費用に対する付加価値増加の数値がなく、品質向上や低コスト化の効果は定性的にしか読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    補修情報を集積するマネジメントシステムを構築しデータ管理を行う点で、デジタル活用の方向性がうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    補修市場への進出は示されるが、日本経済の構造転換に資するという観点までは読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県発注の工事を手掛けてきた地域企業だが、地域の雇用や経済成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。