ものづくり補助金平成26年度製造業岩手県

人工心肺手術の際に血管を繋ぐために使う刃物(ブレード)の量産に向けた試作加工

有限会社 プロフィット

この事例のポイント

  • 研削機のマグネットチャックではブレードの吸着が弱く、加工中に動いて不良品が発生していた。
  • ブレードを真空状態で固定するエアーチャックを導入し、吸着を高めて揺らぎのない固定で研削できるようにした。
  • エアーチャックの導入により加工中のブレードの揺らぎがなくなり、不良品の発生を抑えて量産化への道筋がついた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社 プロフィット
所在地岩手県 平泉町
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,製造環境
従業員数11人
資本金1,000万円
設立1983年

事業の背景

当社はプレス用金型パーツ、プラスチック成型用金型パーツ、自動機用部品、アクリル樹脂等の加工、ガラス・セラミックス・超硬材・サファイアなどの脆性材加工など、精密部品の生産を得意としている。新たな事業分野として医療分野に注力しており、いわて医療機器事業化研究会に入会して展示会などで自社製品を積極的にPRしてきた。2014年開催のMEDTEC JAPAN 2014で、海外の医療機器メーカーから当社の精密加工技術が評価され、人工心肺手術用ブレードの試作を依頼された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度研削機のマグネットチャックではブレードの吸着が弱く、加工中に動いて不良品が発生していた。
  • 品質・精度熱処理工程で生じる歪みを研削で除く必要があるが、ブレードを密着させて加工できる固定方法がなかった。
  • 生産能力ブレードの量産体制を構築する必要があったが、刃先の研磨を一度に複数枚行う治具がなかった。

やったこと

ブレードを真空状態で固定するエアーチャックを導入し、吸着を高めて揺らぎのない固定で研削できるようにした。エアーチャックが求めるバキューム容量に対して既存のコンプレッサーでは能力が不足していたため、大型のコンプレッサーを同時に導入した。ブレードの品質保証のため、ミクロン(1/1,000mm)単位で測定できる測定顕微鏡を新たに導入した。刃先の角度に合わせてブレードを着けられる角度成形用治具を開発し、複数枚の刃先研磨を同時に行えるようにして作業の効率化を図った。これらにより精度は約10倍向上し、品質保証が確立された。対象ブレードは幅6mm、長さ25mm、穴径0.3mmの人工心肺手術用ブレード(薄刃)である。

加工機エアーチャック(真空装置内蔵)
その他大型コンプレッサー
検査測定測定顕微鏡
その他角度成形用治具

新しい製品・サービス:人工心肺手術用ブレード(薄刃)の量産

事業の効果

エアーチャックの導入により加工中のブレードの揺らぎがなくなり、不良品の発生を抑えて量産化への道筋がついた。角度成形用治具によって複数枚の刃先研磨が同時にでき、作業の効率が向上した。測定顕微鏡と組み合わせて精度が約10倍向上し、品質保証が確立された。受注後は長期にわたる安定した売上と、医療分野での当社の技術力の訴求が期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    既存のプレス金型・精密部品加工から医療分野へ進出する方針が明記され、展示会参加など過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ブレードの試作を依頼されたのは世界で数社のみ、と市場の希少性と自社の精密加工技術の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    マグネットチャックの吸着不良による不良品発生という課題を特定し、エアーチャック導入と約10倍の精度向上で解決した流れが書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    量産化により安定した売り上げが見込めると期待は示されるが、具体的な数値目標や付加価値額の目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    量産試作を重ね、代表取締役が事業を率いる体制は読めるが、人材や事務処理体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ブレードの寸法や穴径、海外医療機器メーカーからの試作依頼と評価など、ターゲットとニーズの裏付けが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    量産試作を継続し海外メーカーの発注を待つ段階とされるが、中長期の遂行スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ブレードの試作を依頼された事業者は世界で数社のみとされ、高水準の高付加価値分野であることが読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    医療機器分野への進出という記述はあるが、経済波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    精度向上や不良品削減の効果はうかがえるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    真空炉や真空エアーチャックなど技術導入はあるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療分野という成長分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県の医療機器事業化研究会に関わる記述はあるが、地域の特性を活かして雇用や成長を牽引する内容は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

海外の医療機器メーカーに製品サンプルを送付し、量産発注の回答を待っている。受注すれば長期にわたり安定した売上が見込まれ、医療分野でも大きなセールスポイントになると考えられる。

事業者の声

「ブレードの試作を依頼されたのは世界でも数社のみ。受注した折には安定的な売り上げが見込める」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。