ものづくり補助金平成26年度製造業宮城県

宮城県指定伝統的工芸品「玉虫塗」ナノコンポジット塗装の商品化

有限会社東北工芸製作所

成果清掃時間(1日あたり) 60分→15分

この事例のポイント

  • 既存の塗装ブースが老朽化しており、水はねやゴミの付着によって塗り面に不良が生じていた。
  • ものづくり補助金を活用して塗装ブースを刷新し、清掃時間の短縮と塗り面の不良低減を図った。
  • 清掃時間(1日あたり) 60分→15分。新設の塗装ブースにより、清掃時間が月16時間程度削減され、その分作業時間が確保された。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社東北工芸製作所
所在地宮城県 仙台市青葉区
業種その他の製造業
技術分野表面処理
従業員数6人
資本金300万円
設立1941年

事業の背景

同社は仙台を地場として製品の開発や販売を行い、玉虫塗は宮城県指定の伝統的工芸品である。玉虫塗はもともと外貨獲得のための輸出品として開発され、近年は国内外の需要を喚起する新ブランドの設立に注力していた。平成24年にはドイツの展示会に2度出展したが、海外展開の拡大には漆器を食洗機で使えるようにする要望への対応が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度既存の塗装ブースが老朽化しており、水はねやゴミの付着によって塗り面に不良が生じていた。
  • 生産能力シャワーノズルや水洗ブースに塗料カスやゴミが詰まるため、毎日1時間程度の清掃が必要で、作業時間が減っていた。
  • 品質・精度塗り面の不良率は10%程度だった。
  • 新製品・新技術ナノコンポジット塗装の量産には通常より1工程多く作業効率に課題があり、塗膜を硬化する際の技術の確立も必要だった。

やったこと

ものづくり補助金を活用して塗装ブースを刷新し、清掃時間の短縮と塗り面の不良低減を図った。同社は産業技術総合研究所東北センターと共同で玉虫塗の高耐久表面処理技術を3年かけて開発した。通常の工程後にナノテクノロジーで開発した材料を重ね、表面の美しさを損なわずに高耐久を実現した。この技術は平成27年に第6回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞した。

その他塗装ブース

新しい製品・サービス:ナノコンポジット塗装を施したワイングラス(TOUCH CLASSIC)

事業の効果

  • 清掃時間(1日あたり) 60分→15分
  • 塗り面の不良率 10%→5%

新設の塗装ブースにより、清掃時間が月16時間程度削減され、その分作業時間が確保された。塗り面の不良も大きく減り、品質が向上した。ナノコンポジット塗装製品は生産量が3倍以上になり、量産体制が整った。海外バイヤーからの要望にも応えやすくなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成24年の海外展示会出展、欧州展開、ナノコンポジット塗装の継続開発など、過去の取組と一貫した方向性が事例に示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外バイヤーの食洗機対応要望や、ハイブランドとのコラボ実績など市場動向と自社の強みを結びつけた記述がある。

  • 課題の認識と解決4

    1ロット5組から3倍以上生産できるようになったなど、塗装ブース課題の解決と量産化の成果が数字で示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    不良率10%から5%以下への改善や清掃時間月16時間削減は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員6名で人員を着実に増やし体制強化を進めると書かれているが、具体的な人数計画は示されていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    食洗機対応と高耐久性、ダイアルな人気、納品まで半年待ちという需要の裏付けが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    1工程多い作業効率や塗膜硬化技術の課題が挙げられ、特許取得や高効率化の方針は示されるが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性100%
  • 新しさ・高付加価値5

    玉虫塗の銀粉技法と、ナノコンポジット塗装は希少性が高く、食洗機対応の高耐久塗装で高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用3

    宮城県指定伝統的工芸品としての地域への還元や、伝統工芸産業の盛り返しへの寄与が語られているが、雇用数の創出計画は示されていない。

  • 費用対効果4

    ブース刷新で清掃時間が月16時間削減、不良率10%から5%以下に改善と、投資効果が具体的な数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    ナノテクノロジーを用いた高耐久表面処理を産総研と共同開発した点は示されるが、サプライチェーンへの波及は具体的でない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    伝統工芸の海外展開や国内外での需要喚起が語られるが、日本経済の構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及5

    仙台・宮城の地場産業として伝統的工芸品の玉虫塗を発展させ、地域への還元を目指すことが明確に記載されている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

ナノコンポジット塗装は現在ワイングラスのみだが、今後さらに量産体制を整え、いずれは全製品に展開する方針である。そのために人員を増やし体制の強化を進めている。今後も高効率で不良率の少ない技術を確立するため開発を続け、特許取得も行う予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。