ものづくり補助金平成30年度製造業福井県

伝統技術を生かし多種多様な製品を製造する革新的な塗装装置の導入

成果作業効率 1倍→1.8倍

この事例のポイント

  • 木だけでなく合成樹脂などの素材にも高品質の塗装が求められているが、これまでの装置では大型製品への塗装に対応できなかった。
  • 塗装装置メーカーと共同研究を重ねて新たな塗装装置を開発し、クリーンポンプレス・ブース(PLB-3S)を導入した。
  • 作業効率 1倍→1.8倍。塗装装置の導入により作業効率が従来の1.8倍となり、これまで逃がしていた受注に応じられるようになった。

事業者のプロフィール

所在地福井県 鯖江市
業種その他の製造業
技術分野製造環境
従業員数5人
設立1930年

事業の背景

漆工芸はやしは漆器の生産工程のうち塗装と加飾の2工程を担当している。時代の変化に合わせ、ウレタン塗装への転換を早くから進め、堅調な業績を維持してきた。近年は取引先企業が食器以外の家具・住宅建材等にも進出し、大型製品への塗装を求められることが増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術木だけでなく合成樹脂などの素材にも高品質の塗装が求められているが、これまでの装置では大型製品への塗装に対応できなかった。
  • 生産能力塗装工程は熟練技術者による手作業が中心のため生産性が低く、受注に応じきれていなかった。
  • 人手・技能作業環境が悪く、熟練技術者の技術の継承が危ぶまれていた。

やったこと

塗装装置メーカーと共同研究を重ねて新たな塗装装置を開発し、クリーンポンプレス・ブース(PLB-3S)を導入した。高速気流による水の吸引作用を利用して作業を容易にし、装置の幅3メートルまでの多種多様な大きさの製品に対応できるようにした。気流・水の吸引制御などを自動化し、塗装の粉塵を含んだ空気を洗浄室内で吸引して清浄な空気にして排出する仕組みとした。小物であれば2カ所に分けて作業できる。

  • 加工機クリーンポンプレス・ブースPLB-3S

事業の効果

  • 作業効率 1倍→1.8倍

塗装装置の導入により作業効率が従来の1.8倍となり、これまで逃がしていた受注に応じられるようになった。3メートルまでの大きなサイズの製品にも塗装が可能となった。装置の稼働が簡易化されたため非熟練者でも高品質の塗装ができ、熟練技術者が指導する時間も確保できるようになった。作業環境の改善により人材の確保も見込める。製造環境の整備で塵等の混入がなくなり不良率の低減にもつながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性熟練者による手作業中心で生産性が低いという弱みを踏まえ、3mまでの多様なサイズに対応する装置を共同開発し、競争優位を図っている。
  • 4
    課題の認識と解決手作業の生産性の低さや技術継承の危機を課題として認識し、作業効率1.8倍と受注機会の拡大につながる実効性のある計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け取引先の家具・住宅建材への進出に伴う大型製品への塗装ニーズと、受注を逃がしていた事実が裏付けとして示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業化までの道筋装置導入後の効果は述べられているが、中長期の課題検証やスケジュール、導入後の遂行方法の具体的記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    ウレタン塗装への早期転換や取引先の分野進出への対応など、過去の取組と一貫して塗装・加飾事業を強化する流れが書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    熟練者による手作業中心で生産性が低いという弱みを踏まえ、3mまでの多様なサイズに対応する装置を共同開発し、競争優位を図っている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の生産性の低さや技術継承の危機を課題として認識し、作業効率1.8倍と受注機会の拡大につながる実効性のある計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    作業効率1.8倍、不良率低減などの成果を示しており、付加価値向上の見込みは示されているが、賃上げ目標の数値は記載がない。

  • 事業を進める体制3

    代表者の経験と熟練技術者の指導体制、メーカーとの共同研究の実績があり、補助事業を遂行する体制は一定程度確認できる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先の家具・住宅建材への進出に伴う大型製品への塗装ニーズと、受注を逃がしていた事実が裏付けとして示されている。

  • 事業化までの道筋2

    装置導入後の効果は述べられているが、中長期の課題検証やスケジュール、導入後の遂行方法の具体的記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    漆器の塗装で木以外の合成樹脂素材や大型製品への対応を進め、伝統技術を新分野へ転用する点で高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    伝統的な漆器産業の技術継承が危ぶまれる中、作業環境改善で人材確保につなげ、地域産業の発展を支える意義が示されている。

  • 費用対効果2

    作業効率1.8倍は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数値的な裏付けは記載がない。

  • イノベーションへの貢献3

    気流・水の吸引制御など自動化された装置を共同開発し、伝統工芸の技術を新分野に転用するイノベーションにつながる可能性がある。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    家具・住宅建材など新分野への進出に触れているが、日本経済の構造転換への寄与という観点での記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    鯖江の地域特性である漆器産業を生かし、地元産業の発展を支え、雇用確保にもつながる事業として位置づけられている。

今後の展望

伝統工芸技術を生かし、様々な製品への塗装や模様を施す技を磨いて地元漆器産業と共に成長を続けていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。