ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

潤滑塗装の内製化による一貫生産工程の確立

磐田電工株式会社

この事例のポイント

  • 潤滑塗装を県外の協力会社に全て外注していたため、コスト対応力に課題があった。
  • 小物部品に対応した独自仕様の潤滑塗装用自動塗装装置を導入し、潤滑塗装技術の確立を目指した。
  • 潤滑塗装を内製化したことで塗装費用が大幅に削減された。

事業者のプロフィール

事業者名磐田電工株式会社
所在地秋田県 由利本荘市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数180人
資本金5,000万円
設立1943年

事業の背景

当社は昭和18年創業で、精度の高いプレス加工とステンレス材の深絞り技術に定評がある。かつてはコンパクトデジタルカメラ等の外装で業績を伸ばし、現在はデジタル一眼レフカメラ等の精密機構部品や、自動車から医療関連まで様々な業界と取引している。プレス加工から塗装までの一貫生産を強みとしてきたが、細かな機構部品の潤滑塗装は外注に頼っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算潤滑塗装を県外の協力会社に全て外注していたため、コスト対応力に課題があった。
  • 品質・精度外注での潤滑塗装は品質管理にも課題を抱えていた。
  • 人手・技能潤滑塗装は高い技術が要求され、自社では対応できていなかった。

やったこと

小物部品に対応した独自仕様の潤滑塗装用自動塗装装置を導入し、潤滑塗装技術の確立を目指した。フッ素系やモリブデン系の塗料を使うため通常より焼成時間を長くする必要があり、設計・プレス段階から塗装後の膜厚を加味した寸法にコントロールする技術が求められた。塗装装置は4本のガンの位置、向き、塗出量のバランスを調整して部品の端や中央に均等に塗料を塗布する仕組みで、安定した技術を確立するまでには相応の時間を要した。社内製作の塗装治具(マスキング)も用いた。

加工機潤滑塗装用自動塗装装置(4本のガンで塗布)
その他塗装治具(マスキング)

新しい製品・サービス:小物部品に対応した独自仕様の潤滑塗装ラインによる、高い摺動性・遮光性・意匠性を備えた塗装加工

事業の効果

潤滑塗装を内製化したことで塗装費用が大幅に削減された。これまで培った金型製造技術との相乗効果により、外注では対応できなかった高い意匠性と寸法精度を求められる製品を受注できるようになった。摺動性、遮光性、黒塗りやクリア塗装による艶感など顧客の要望に応じた一貫した品質管理の下で製品を提供できるようになった。プレス加工、ショットブラスト、潤滑塗装を組み合わせた高い密着性と耐食性の塗装方法を提案し、アウトドア・レジャー系メーカーのVA案として採用され量産に至った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来のプレス加工と潤滑塗装の一貫生産を強みとし、外注依存だった塗装を内製化する方向性は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けは記載が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高い摺動性や遮光性、黒塗りやクリア塗装の艶感など顧客要望に応じた品質管理を強みとし、外注ではできない意匠性と寸法精度の受注につながったと書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    外注によるコスト対応力や品質管理の課題を認識し、潤滑塗装の内製化で塗装費用の大幅削減と受注拡大につなげた点が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    塗装費用の大幅削減とあるが、付加価値額や賃上げの目標値、数値は示されておらず目標の実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制3

    安定した技術確立に相応の時間を要したとあり、工場長の取組や社内の技術蓄積には触れているが、人材や事務体制の具体的記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    摺動性向上、遮光性、黒塗り、艶感など用途別の価値と顧客要望への対応が示され、選ばれる理由も整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    安定した技術確立まで時間を要したことや、ショットブラストとの組み合わせ提案が書かれているが、今後の遂行スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    フッ素系・モリブデン系塗料を用いた潤滑塗装で、外注中心の業界内で差別化する高付加価値の取組とうかがえるが、水準を数字で示す記述はない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    国内で主に実施される高い技術の潤滑塗装の内製化とあり、国内の技術維持はうかがえるが、波及効果や雇用創出の記載は乏しい。

  • 費用対効果3

    塗装費用の大幅削減とあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ショットブラストと潤滑塗装を組み合わせた提案や量産化が書かれ、サプライチェーンへの貢献がわずかにうかがえる。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    秋田県由利本荘市の地域企業として、外注を内製化し地域の製造業で受注を増やしたことが読み取れるが、地域特性への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

コロナ禍で厳しい情勢にあるが、補助事業を通じて当社の強みや顧客ニーズを再認識し、貴重なビジネスチャンスを得られたと感じている。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。