ものづくり補助金平成24年度大阪府

塗装環境のクリーン化技術の開発によるカーボンナノチューブ複合塗膜の高品質化事業

株式会社竹中製作所

成果製造プロセスの全6ヵ所で高機能フィルター膜や微細濾過膜を通過させる不純物除去装置を完成させた。

この事例のポイント

  • カーボンナノチューブ複合塗料は、大気中の不純物が被膜に混入すると被膜性能が低下し致命的な欠陥になる現象が起きていた。
  • 京都大学化学研究所と共同で開発したカーボンナノチューブ複合塗料「ナノテクト」の高品質化に取り組んだ。
  • 製造プロセスの全6ヵ所で高機能フィルター膜や微細濾過膜を通過させる不純物除去装置を完成させた。塗料液と塗装環境のクリーン化により大気中の不純物を除去し、ナノテクトの被膜を高品質化した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社竹中製作所
所在地大阪府 東大阪市
業種金属製品製造業
技術分野塗装
従業員数155人
資本金4,680万円
設立1935年

事業の背景

同社は1935年創業のボルト・ナットメーカーで、ボルト事業部、表面処理事業部、電子機器事業部の3分野で事業を展開している。主力の防錆防食ボルト「タケコート1000」は、京都大学化学研究所と共同開発して米国石油メジャーに認められ、世界の約半分のシェアを獲得した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度カーボンナノチューブ複合塗料は、大気中の不純物が被膜に混入すると被膜性能が低下し致命的な欠陥になる現象が起きていた。
  • 品質・精度塗料の製造と塗装がすべて開放系設備で行われているため、不純物を除去しきれず、クリーンな塗料製造とクリーンな環境での塗装が課題となっていた。

やったこと

京都大学化学研究所と共同で開発したカーボンナノチューブ複合塗料「ナノテクト」の高品質化に取り組んだ。塗料液のクリーン化として、多層マイクロフィルターと強制濾過装置を設置して塗料溶液を濾過するシステムを確立し、塗装ロボットの吐出ガン先端にも多層フィルターを導入した。製造プロセスの全6ヵ所で高機能フィルター膜や微細濾過膜を通過させる不純物除去装置を完成させた。塗装環境のクリーン化として、塗装ロボットと塗装ブース間を遮断する壁を設け、内部をブースの吸引力を上回る圧力に設定して外部エアーの吸引を防いだ。内部へ送る外部エアーは多層マイクロフィルターで浄化する設計とした。さらに被膜硬化後の強制冷却装置を導入し、塵やゴミの付着を防止した。

  • その他多層マイクロフィルター強制濾過装置
  • ロボット塗装ロボットの吐出ガン先端の多層フィルター
  • その他塗装ロボットと塗装ブース間の遮断壁強制冷却装置

新しい製品・サービス:カーボンナノチューブ複合塗料「ナノテクト」

事業の効果

  • 製造プロセスの全6ヵ所で高機能フィルター膜や微細濾過膜を通過させる不純物除去装置を完成させた。

塗料液と塗装環境のクリーン化により大気中の不純物を除去し、ナノテクトの被膜を高品質化した。耐圧試験後も被膜は健全で、極限荷重や極限耐圧環境下でも被膜内部からの破壊がなく、実用レベルに達したと考えられる。大深度海底探査艇の耐圧容器や海底資源掘削パイプ締結部などの表面処理市場への進出が見込まれ、オイルフリーによる海洋汚染防止やメンテナンス・コスト削減にも貢献できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ナノテクトは2006-08年度の戦略的基盤技術高度化支援事業を活用して開発され、過去の取組との一貫性が読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    タケコート1000で世界シェア約50%を獲得し、海底油田用ボルトで米国石油メジャーに認められた強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    塗装環境の不純物混入という課題を明示し、表面処理市場進出を計画しているが、事業計画の数値や実行の詳細は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    市場規模は石油メジャー1社あたり年間数十億円、大深度海洋機器で年間1億円とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    京都大学化学研究所や素材メーカーとの連携体制が書かれており、体制の一部はうかがえるが、人材や事務処理能力の記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ナノテクトの高い衝撃耐久性や防食性などの特長と、大深度海洋・海底資源掘削という顧客ターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    開発工程として多層フィルター設置や強制冷却装置の導入など課題解決方法は読み取れるが、中長期のスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    CNT複合塗料は従来の高分子塗膜にない新機能を持ち、世界特許を取得した高付加価値製品として具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    海底資源掘削やシェールガス関連の表面処理市場への波及が述べられるが、雇用創出や地域経済への効果は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値が示されておらず、費用対効果はわずかにうかがえるのみである。

  • イノベーションへの貢献3

    オイルフリーによる海洋汚染防止やクリーン環境の塗装システムという新しい取組が書かれ、イノベーションの方向性は読み取れる。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    大深度海洋エネルギー事業など海洋分野への進出が述べられ、構造転換への関連はうかがえるが、政策的な位置付けは明確でない。

  • 地域経済への波及2

    東大阪の企業であることは示されるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はわずかである。

今後の展望

極限環境への適用を最重要項目として性能をさらに高めたナノテクトにより、大深度海洋エネルギー事業にかかわる各種金属製品の表面処理市場への進出を目指す。塗装システムおよび塗料液販売も視野に入れている。

事業者の声

価値ある企業と評価されるよう、自信を持って他社にない新製品に挑戦していきたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。