ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

製造環境整備による杜氏のノウハウ継承と生産性向上及び高付加価値商品の開発

日の丸醸造株式会社

この事例のポイント

  • 醸造工程の設備更新と高度化が遅れ、製造環境の整備に課題があった。
  • 蒸し上げた酒米を適正温度まで冷やす高性能冷却機を導入し、従来の人海戦術でこなしていた工程を機械化した。
  • 高性能冷却機により放冷ムラがなくなり衛生面も向上して、より高品質な酒造りが可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名日の丸醸造株式会社
所在地秋田県 横手市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境,測定計測
従業員数18人
資本金2,980万円
設立1925年

事業の背景

当蔵は1689年創業の横手市の酒造メーカーで、「まんさくの花」をメインブランドとし、純米酒・吟醸酒のほとんどを無調整で造っている。酒米や酵母にこだわりコンセプト別に多様な商品を展開しており、秋田県内でも断トツの一升瓶換算14万本の低温瓶貯蔵量を持つ。取引は全国の地酒専門店を中心としたBtoB(企業向け)が中心だが、コロナ禍で専門店から飲食店向けの販売が大きく落ち込んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力醸造工程の設備更新と高度化が遅れ、製造環境の整備に課題があった。
  • 人手・技能杜氏の経験的な官能評価に頼る造りが多く、ノウハウを定量的に蓄積しにくい状況だった。

やったこと

蒸し上げた酒米を適正温度まで冷やす高性能冷却機を導入し、従来の人海戦術でこなしていた工程を機械化した。これにより放冷ムラがなくなり、衛生面も向上して、より高品質な酒造りが可能になった。ピーク時に30~40検体/日行うアルコール分析に瞬時に結果が出る分析システムを導入し、若い蔵人でも定量的かつ再現性の高い製造ができる環境を整えた。麹造りには、オーダーメイドの自動製麹機「ゆりかご」も活用した。

その他高性能冷却機
検査測定アルコール分析システム
加工機自動製麹機「ゆりかご」

新しい製品・サービス:酒米の特徴を飲み比べできる「巡米酒」シリーズ(現在6種類の酒米を使用、商標登録済)

事業の効果

高性能冷却機により放冷ムラがなくなり衛生面も向上して、より高品質な酒造りが可能になった。分析システムの導入で若い蔵人でも定量的かつ再現性の高い製造ができるようになり、熟練杜氏のノウハウを早期に継承できる体制が整った。人海戦術だった工程が機械化されたことで省人化と生産性の向上につながった。「巡米酒」シリーズは他社と差別化した高付加価値商品として、現在では当蔵の基幹商品になりつつある。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の低温瓶貯蔵への切替や瓶詰・貯蔵設備投資の流れが書かれ、醸造工程の設備更新を課題として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    多様な酒米14種・酵母10種と巡米酒6種類の商品化、他社との差別化に触れ、強みが具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    醸造工程の設備更新遅れと杜氏の官能評価依存を課題として挙げ、分析システム導入で定量化する方向が示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    販売比率を30%へ引き上げる計画が示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    若い蔵人への技術継承や増田高校生の就職に触れるが、補助事業を遂行する体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    巡米酒シリーズの商品コンセプトや、BtoCの通販・オンライン販売強化による顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の販売強化の方向は示されるが、遂行スケジュールや課題解決方法の記載は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    酒米の違いのみで差別化する取組は国内で大規模な例がないと記載され、高付加価値化の方向が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地元産米の使用率向上や地元高校生の就職など地域への波及がうかがえるが、経済波及効果の数値はない。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す投入額や付加価値増加額の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    バーチャル酒蔵見学モニターの設置などデジタル活用がうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は示されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    横手市増田町の地元産米、地元高校の農業実習、地元就職など地域資源を活かした取組が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

コロナ禍で落ち込んだ飲食店向け販売の回復に加え、通販やオンラインによるBtoC(一般顧客向け)の販売をさらに強化し、売上比率を30%まで引き上げる計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。