ものづくり補助金平成26年度製造業福島県

介護食用ひき割納豆開発に係るスティックタイプ容器への小分け製造用注入機の導入とその開発・試作評価。

有限会社ナコソフーズ

この事例のポイント

  • 介護施設では、安価なパック納豆にタレを加えて要介護者一人分ずつ分ける作業に手間がかかり、手が汚れたりゴミがかさばったりして後片付けが大変だという声が多い。
  • 特別養護老人ホームやデイサービス施設に勤務する栄養士20名の要望を聞き、味付け(塩分濃度)や粘度(柔らかさ)、量などのレシピを作成した。
  • パック納豆と比べて味付けの手間がかからず、スティックタイプ容器に小分けされているため手を汚さず食べやすく、ゴミも少ない試作品を作ることができた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ナコソフーズ
所在地福島県 福島県いわき市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数10人
資本金300万円
設立1988年

事業の背景

当社は明治38年の創業以来100年以上にわたり納豆を製造している。近年は人口の高齢化が進み、介護の現場では人手不足が深刻化している。特別養護老人ホームやデイサービス施設では、食事に納豆を出す際の手間と後片付けの負担が課題になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能介護施設では、安価なパック納豆にタレを加えて要介護者一人分ずつ分ける作業に手間がかかり、手が汚れたりゴミがかさばったりして後片付けが大変だという声が多い。
  • 新製品・新技術介護施設の栄養士から、味付け済みで食べやすく後片付けの簡単な介護食用の挽き割納豆を作ってほしいという要望が寄せられていた。

やったこと

特別養護老人ホームやデイサービス施設に勤務する栄養士20名の要望を聞き、味付け(塩分濃度)や粘度(柔らかさ)、量などのレシピを作成した。レシピは国産大豆を使い、醤油をメインに塩を少々加えて味付けし、粘度は通常の半分で攪拌でき歯茎でつぶせる硬さ、量は20〜30g程度、食べやすく捨てやすい柔らかいチューブ状とした。試作には上皿型重量秤、デジタル防水台秤、挽き割納豆をスティックタイプ容器に入れる挽き割納豆袋詰め機、プレハブ冷凍庫一式を導入した。納豆専用の袋詰め機がなかったため、ドイツ製の手動式ソーセージスタッファー(ソーセージの肉を詰める機械)2台で代用した。プレハブ冷凍庫は要介護者の健康に配慮し、完成した製品を冷凍保存するために導入した。

検査測定上皿型重量秤
検査測定デジタル防水台秤
加工機挽き割納豆袋詰め機
加工機ドイツ製手動式ソーセージスタッファー(2台)
その他プレハブ冷凍庫一式

新しい製品・サービス:手を汚さず食べやすいスティックタイプ挽き割納豆(介護食用)

事業の効果

パック納豆と比べて味付けの手間がかからず、スティックタイプ容器に小分けされているため手を汚さず食べやすく、ゴミも少ない試作品を作ることができた。介護施設の職員7名による評価では、粘度は全員が適度と回答し、味付けの塩分濃度も6名が良いと回答した。使用を検討したい、試してみたいという良好な意見も得られた。一方で、挽き割納豆袋詰め機が手動式のため注入に時間と手間がかかり、商品単価を抑えるには量産化の改善が必要で、商品化にはもうしばらく時間がかかる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    明治38年創業で100年以上納豆を製造し、量より質にこだわる方針が書かれているが、介護食をどう経営戦略に位置付けるかは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    介護施設の栄養士20名の要望を集め、施設ごとに味付けを変えられる点を自社の強みとして挙げ、市場の要望と自社の経営資源を結び付けている。

  • 課題の認識と解決3

    手間やゴミ、人手不足といった課題は具体的に示されているが、商品化の見通しは時間がかかるとされ、実効性の高い計画までは読み取れない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    人件費削減に触れているものの、付加価値額や賃上げの具体的な目標値は書かれておらず、わずかにうかがえる程度にとどまる。

  • 事業を進める体制2

    従業員10名で機械を導入し試作を進めたことは書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け5

    介護施設の栄養士20名への聞き取りや職員7名の評価など数字つきで、味付け・粘度・量の要望と、ゴミが少ない利点が明確に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    袋詰め機の手動による時間のかかる問題と、量産に向けた改善の必要性が示されるが、改善の具体的な方法や時期は明確ではない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    介護食市場には複数の食品メーカーが参入しているとあり、一般的な認知は高いと読み取れるが、高付加価値化の水準は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    高齢化と介護現場の人手不足が深刻化している社会課題に応えるものとして位置付けられており、国が支える社会的な意義はうかがえる。

  • 費用対効果2

    投資額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、人件費削減に触れる程度で費用対効果はわずかにうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの記述はなく、地元の福島県産大豆を使う地産地消の取組がうかがえる程度である。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    介護食という成長が見込まれる分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換に資するという記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及3

    福島県産大豆の利用や、いわき市の直売所での販売など地域の特性を活かす取組が書かれているが、雇用創出や地域成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

介護食市場には多くの食品メーカーが参入しているが、施設ごとの要望に合わせて味付けを変えられることを強みとして、単価を下げる努力を続け、利点をアピールして介護施設へ営業し販路を開拓する。新しい袋詰め機の導入も検討している。さらに、健常者向けの食材として当社の通常商品の販路拡大にもつなげたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。