ものづくり補助金平成26年度製造業福島県

切るたびに絵柄が変化する革新的な羊羹「羊羹―MOVE-(仮称)」の製品開発と販路開拓事業

株式会社長門屋本店

この事例のポイント

  • 和菓子の定番である羊羹は近年、需要が減少傾向にある。
  • 量産化を見込み、高性能の餡練り機、今までにない形状の錦玉(和風ゼリー)および羊羹を作るための高性能の食品乾燥機3台、複雑な造形を可能とした羊羹金型、シリコン製の羊羹型を導入した。
  • 2017年4月に「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」として発売し、ブランドイメージを一新する商品に成長した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社長門屋本店
所在地福島県 会津若松市
業種食料品製造業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数23人
資本金1,000万円
設立1956年

事業の背景

当社は嘉永元年(1848年)に会津藩主の命を受けて創業した老舗で、会津の駄菓子(郷土菓子)を中心に作ってきたが、現在は和菓子の製造が中心である。和菓子の定番である羊羹は近年、「地味」「味が単一的」「切り分けるのが面倒」といったイメージから需要が減少傾向にあった。東日本大震災後は福島の食のイメージアップを図る「PONTE(架け橋)」シリーズを展開している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑和菓子の定番である羊羹は近年、需要が減少傾向にある。
  • 新製品・新技術羊羹は「地味」「味が単一的」「切り分けるのが面倒」というイメージがあり、若い世代や海外の顧客に響く羊羹を作って新たな顧客と需要を掘り起こしたい。

やったこと

量産化を見込み、高性能の餡練り機、今までにない形状の錦玉(和風ゼリー)および羊羹を作るための高性能の食品乾燥機3台、複雑な造形を可能とした羊羹金型、シリコン製の羊羹型を導入した。絵柄のモチーフは「流れ星」や「種から花」も検討したが、最終的に「鳥」と「月」の型を使い、「三日月では止まっていた鳥が満月に向かい羽ばたく物語」を描くことに決定した。餡練り機で作った羊羹餡と、鳥と月の羊羹シリコン型で作った錦玉を合わせて構成し、錦玉と合わせる羊羹の温度や錦玉を乾燥させる温度・時間などで試行錯誤を繰り返した。容器には中身の見えない銀セロではなく箱型容器を採用し、冷却時の歪みを抑えるとともに新しいイメージを狙った。その後、従業員と顧客へのアンケートをもとに餡部分を小豆羊羹で挟んだ淡いブルーのシャンパン風味の羊羹に改良した。

加工機餡練り機
加工機食品乾燥機(3台)
金型羊羹金型
金型シリコン製羊羹型

新しい製品・サービス:切るたびに断面の絵柄が変化する羊羹「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」

事業の効果

2017年4月に「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」として発売し、ブランドイメージを一新する商品に成長した。多くのメディアで取り上げられ、写真映えによりSNSで評判が広がり、国内外で大きな反響を得た。直接売り上げにつながっただけでなく、リーディングプロダクトとして新しいブランドイメージを築けたことが大きな成果である。同年にグッドデザイン賞や新東北みやげコンテスト最優秀賞を受賞し、令和元年にはトップアワードアジアのウィナーアワードも受賞した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    「PONTE」シリーズ第3弾として、既存の和三盆シュガーマドラーなど過去の伝統菓子の取組を発展させた新商品と明記されており、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    羊羹の需要減少という市場課題に対し、江戸時代からの伝統技術と福島の食のイメージを強みとして、若い世代や海外向けに新商品を打ち出している。

  • 課題の認識と解決4

    「地味」「味が単一的」などの課題を認識し、切るたびに絵柄が変わる新羊羹で解決を図り、リーディングプロダクトとして位置付けたと書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。売上や付加価値の数値目標は記載されていません。

  • 事業を進める体制3

    発売当初から量産可能な体制でスタートできたとあるが、人員や事務体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    若い世代や海外の方の琴線に触れる点、写真映えとSNSでの評判など、顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に記載されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から2017年4月の発売までの流れや、アンケートを用いた改良の経緯は書かれているが、今後の中長期スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。資金調達や財務状況の記載はありません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    羊羹の一般的なイメージを覆す切るたびに絵柄が変わる新商品で、2017年度グッドデザイン賞や新東北みやげコンテスト最優秀賞を受賞している。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    東日本大震災後の福島の食のイメージアップを目的とした取組で、地域貢献の意図はあるが、経済波及や雇用創出の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    補助金で思い切った設備投資ができたと書かれているが、投入額に対する増加額や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    SNSによる評判拡大は書かれているが、先端的なデジタル技術や地域・サプライチェーンへの波及は記載されていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    若い世代や海外の方への新市場開拓はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及4

    会津藩由来の伝統と福島の食文化を活かし、福島県の地域イメージ向上や会津クルミ文化の継承など地域貢献を行っている点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後も和菓子を通して福島の食を内外にアピールしていく考えである。

事業者の声

「福島だからこそこんなにおもしろい商品が作れたんだよ」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。