ものづくり補助金平成26年度製造業茨城県

新しい曲げ加工工法と設備によるパイプオイルジェットの試作開発

荻野工業株式会社

この事例のポイント

  • 自動車部品会社として競争力向上のためには、コスト低減が必要である。
  • 新たに開発した曲げ加工工法を用い、パイプ冷間鍛造後に熱処理(焼鈍)で曲げ加工に適切な硬度にしてから、3次元曲げ加工を2回に分けて行った。
  • 革新的なピストンクーリング用バルブ一体型オイルジェットが完成し、他製品と比べて高機能と低コストという優位性を持つことから、国内外の自動車メーカーや部品会社への販路拡大を目指してい…

事業者のプロフィール

事業者名荻野工業株式会社
所在地茨城県 守谷市
業種輸送用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数80人
資本金1,000万円

事業の背景

エンジンの小型化・複雑化が進む中、ピストンクーリング用オイルジェットはバルブとノズルが一体となった一体型への開発が進んでいる。自動車部品会社である同社は、冷間圧造および精密機械加工によるエンジン部品、油圧部品、航空機部品、医療機器部品を製作しており、特にピストンクーリング用パイプオイルジェットは設計・製作・機能保証まで一貫で行い、顧客より高い信頼を得ている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算自動車部品会社として競争力向上のためには、コスト低減が必要である。
  • 品質・精度顧客から要求されるコストや品質(オイル流量やオイルのピストンへの捕集率等)を満足させることが難しかった。
  • 新製品・新技術ピストンとエンジンブロックの隙間が狭く、3次元曲げ加工が必須となるが、パイプ曲げRの比率が2倍以下となるため従来の加工方法や設備では、パイプ曲げR部が潰れて変形しやすく、図面通りの寸法に加工することが困難であった。

やったこと

新たに開発した曲げ加工工法を用い、パイプ冷間鍛造後に熱処理(焼鈍)で曲げ加工に適切な硬度にしてから、3次元曲げ加工を2回に分けて行った。曲げ加工1では、パイプを曲面金型でプレス加工して塑性流動させ、1次曲げ形状を成形した。曲げ加工2では、曲げ加工1で成形したパイプの先端部をチャッキングし、曲げコマを回転させながら曲げ金型の上をなぞるように回転させ、パイプを塑性流動させて2次曲げ形状を成形した。基本方法は油圧プレスに、ボルスターおよび金型へパイプ曲げ加工機能としての回転機構を付加した構造である。試作品は、CNC3次元測定器によるR形状や端面の形状・寸法の測定、断面の硬さ分布の測定、引張強度試験などを行い、トライ&エラーを繰り返して新規一体型オイルジェットを完成させた。

加工機パイプオイルジェット曲げ加工機
検査測定CNC3次元測定器

新しい製品・サービス:ピストンクーリング用バルブ一体型オイルジェット

事業の効果

革新的なピストンクーリング用バルブ一体型オイルジェットが完成し、他製品と比べて高機能と低コストという優位性を持つことから、国内外の自動車メーカーや部品会社への販路拡大を目指している。すでに某自動車メーカーの次期ダウンサイジングエンジンの小型化・機能向上・コスト低減に寄与し、生産と販売が可能となった。今後は自動車産業以外(建設機械・船舶等の部品、航空機部品)や医療機器部品への進出も図る。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    冷間圧造・精密機械加工で顧客の信頼を得てきた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高機能と低コストという優位性や国内外の自動車メーカーへの販路拡大が書かれているが、市場動向の分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    顧客要求のコスト・品質(オイル流量、捕集率)を満たせない課題を認識し、一体型オイルジェットで解決する計画が具体的。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値増加や賃上げの数値目標は書かれておらず、販売と生産が可能になったとのみ記載されている。

  • 事業を進める体制3

    設計・製作・機能保証まで一貫で行う体制や従業員80名の規模はうかがえるが、人材や事務体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ダウンサイジングエンジン向けに高機能・低コストで選ばれる理由を整理し、国内外の自動車メーカーをターゲットとしている。

  • 事業化までの道筋3

    試作から加工手順、曲げ加工を2回に分ける工程などは示されるが、中長期のスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    一般的に3倍のR比率に対し本試作は2倍以下を実現しており、同分野で高水準の加工技術を示している。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    国内外の自動車産業や異業種への展開が述べられるが、雇用創出や波及効果の数値は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    曲げ加工工法の革新は読み取れるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    ダウンサイジングエンジンへの対応や異業種進出は触れられるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    茨城県守谷市の工場が事業の拠点として記載されるが、地域の経済成長への寄与は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車産業以外(建設機械及び船舶等の部品、航空機部品)への販路拡大、ステンレス素材パイプの曲げ加工への挑戦、新たな医療機器部品の開発による異業種進出を目指している。

事業者の声

『できそうにないこと』にトライし、『人が諦めた仕事』に挑戦し、『お客様の夢を事実に変える力』になって、お客様の信頼を得ることを目標としており、そのためには人材育成と福祉の向上に力を入れ、地域社会への貢献にも努めたいと考えております。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。