ものづくり補助金平成26年度製造業栃木県

海外市場を視野に入れた「低アルコール・発泡性純米酒」の開発

菊の里酒造株式会社

成果瓶詰め生産能力 300本/時間→600本/時間

この事例のポイント

  • 乾杯で日本酒が選ばれにくいため、炭酸による発泡感があり低アルコールで飲みやすい日本酒への需要に応えられていなかった。
  • 糖化と発酵を独立させた「糖化後発酵法」を採用し、日本酒本来の風味を保ちつつ酸味を高めてすっきりした後味を実現した。
  • 瓶詰め生産能力 300本/時間→600本/時間。瓶詰めのオートメーション化により、手作業の1時間300本から600本へと生産性が格段に向上した。

事業者のプロフィール

事業者名菊の里酒造株式会社
所在地栃木県 大田原市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野バイオ,製造環境
従業員数8人
資本金1,125万円
設立1955年

事業の背景

2003年に自社ブランド「大那」を立ち上げ、販路を拡大してきた。近年は海外への販路も広げ、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアなどへ輸出している。日本酒の輸出は堅調に伸びており、那須山系の伏流水や田園風景といった地元の強みを打ち出している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術乾杯で日本酒が選ばれにくいため、炭酸による発泡感があり低アルコールで飲みやすい日本酒への需要に応えられていなかった。
  • 新製品・新技術従来の低アルコール清酒は味が清酒の領域から大きく変わらず、すっきりした味わいを実現できていなかった。
  • 品質・精度水を加えてアルコール度数を下げると米の旨味が失われ水っぽくなり、酸味もほとんどなく味にメリハリがなかった。
  • 生産能力瓶詰めは手作業で1時間300本のペースしか出せず、必要な人手も4人かかっていた。
  • 品質・精度手作業による瓶詰めでは異物混入やカビの発生の防止など衛生面に課題があった。

やったこと

糖化と発酵を独立させた「糖化後発酵法」を採用し、日本酒本来の風味を保ちつつ酸味を高めてすっきりした後味を実現した。その結果、アルコール度数10%前後で高酸味の低アルコール日本酒を製造できるようになった。瓶詰めには充填機、打栓機、キャップ供給機の一連の瓶詰めラインを自動化した「フィラSキャッパー SFO-8型」(新宅工業株式会社)を導入した。これにより充填から打栓までの時間が短縮され、炭酸ガスを逃さずに瓶詰めできるようになった。また小瓶(720ml)にも対応し、女性層などに向けたデザイン性を加味した商品化の可能性が広がった。

新しい製品・サービス:赤いラベルが印象的な発泡性純米吟醸「大那」

事業の効果

  • 瓶詰め生産能力 300本/時間→600本/時間

瓶詰めのオートメーション化により、手作業の1時間300本から600本へと生産性が格段に向上した。瓶詰めに必要な人手も省力化された。自動化により人の手に触れる機会が減り、異物混入やカビの発生防止など衛生面が向上した。小瓶にも対応できるようになり、新たな市場の獲得を目指せるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    1866年創業で2003年に自社ブランド「大那」を立ち上げ、海外販路を拡大してきたとあり、過去の取組との一貫性はうかがえる。経営戦略上の位置付けは明記なし。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    日本酒輸出の追い風や和食人気を背景に、那須山系の伏流水という自社の強みを挙げ、低アルコール発泡性の製品で差別化している。

  • 課題の認識と解決3

    従来の低アルコール清酒は味が清酒領域から大きく変わらず、アルコール分も1前後と高いという課題が示されている。解決後の高付加価値化の数値は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    瓶詰め作業が1時間300本から600本へ倍増し、人手も4人から人数が減ったと示される。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員数8名という記載はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制について具体的な記述はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    乾杯向けの発泡性・低アルコール日本酒という製品価値と、和食人気や海外市場拡大という需要の裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    白麹やワイン酵母を用いた新ジャンルの発泡性清酒の開発という今後の展開が示されるが、スケジュールや課題解決方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    低アルコール・発泡性の日本酒は一般的な普及度が低く、糖化後発酵法で高酸味を実現した点で高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    地元ローカル色や酒米づくりへの挑戦が挙がるが、地域経済波及や雇用創出の数値・記述は乏しい。

  • 費用対効果4

    瓶詰め生産性が倍増し人手が4人から減るなど、設備投資に対する生産性向上の効果が具体的な数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献3

    糖化後発酵法や自動化ラインによる衛生向上は読み取れるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明記されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    那須山系の伏流水や田園風景を活かした地元ローカル色の打ち出しが示されており、地域特性の活用は読み取れる。

今後の展望

白麹やワイン酵母などを用いた新ジャンルの発泡性清酒の開発製造に取り組んでいく予定。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。