ものづくり補助金平成24年度京都府

低騒音・室内用ハンディタイプ コンプレッサーの開発

株式会社坂製作所

成果騒音値 78デシベル→53デシベル

この事例のポイント

  • 実験室や医療・介護現場では市販のコンプレッサーがうるさく、大きく、重いため、圧縮空気を手軽に使えない。
  • スクロール式コンプレッサーの渦巻状部品の噛み合わせのすき間を均一に調整するため、多数の組み合わせからトライ&エラーを繰り返し、圧縮率の最も高い組み合わせと素材の組み合わせを選んだ。
  • 騒音値 78デシベル→53デシベル。騒音値は目標の53デシベルを達成し、最新モデルでは43デシベルまで下がった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社坂製作所
所在地京都府 京都市
業種はん用機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数11人
資本金4億円
設立1973年

事業の背景

創業は昭和35年の個人事業で、部品加工を手掛けてきた。大手企業からの継続的な取引を受けてきたが、グローバル化や過当な価格競争で厳しい状況となった。平成21年の三代目社長就任時も会社は厳しい状況で、自社製品を世に出したいという思いがあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術実験室や医療・介護現場では市販のコンプレッサーがうるさく、大きく、重いため、圧縮空気を手軽に使えない。
  • 生産能力部品加工の技術力はあるが、自社製品がなく、加工技術を展示会で来場者に示すことが難しい。
  • コスト・採算工場全体に送る集中管理方式の大型コンプレッサーは、ランニングコストが嵩み、使わない時も無駄なエネルギーを使う。

やったこと

スクロール式コンプレッサーの渦巻状部品の噛み合わせのすき間を均一に調整するため、多数の組み合わせからトライ&エラーを繰り返し、圧縮率の最も高い組み合わせと素材の組み合わせを選んだ。試作段階で最も圧縮率の高い組み合わせを見つけたが、製品化では歩留まりが悪く、細かな設定値を把握して安定した品質で量産できるようにする必要があった。気温が高いと膨張するため冷却装置も加え、試作品の再現に約1年を要した。ピストンを使わないフローティングスクロールの構造により小型化と静音化を図った。シール材を必要としない微細加工技術により、摩耗による交換の消耗品を排除した。

加工機マシニングセンター(森精機 NVX5060 HSC)

新しい製品・サービス:低騒音・極小型・軽量のハンディタイプのフローティングスクロール式コンプレッサー(SAKA パーソナルコンプレッサー「mote con」)

事業の効果

  • 騒音値 78デシベル→53デシベル
  • 騒音値(最新モデル) 53デシベル→43デシベル

騒音値は目標の53デシベルを達成し、最新モデルでは43デシベルまで下がった。他社製品と比べて非常に静かで、事務所の中に置いてもうるさく感じないレベルになった。展示会や研修所などでの利用が増え、海外の教育機関や医療機関からの引き合いもある。お客様製品への組み込みの要望も届いている。コンプレッサーは売上の1割程度だが、今後は割合を高めたいと考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業60年の部品加工技術を基に自社製品を作る方針が示されているが、経営戦略上の位置付けは文章から明確でない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手取引先からの依頼で培った加工技術を強みとし、他社にまねできない技術で競争優位を狙うと具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    ランニングコストや無駄なエネルギーの課題を示しているが、高付加価値化・成長につながる事業計画の数値は薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    騒音78デシベルから53デシベル、最新43デシベルへの目標達成は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社長を中心にベテラン社員のノウハウを取り入れた実施体制を構築したと書かれるが、人員や事務体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    小規模工場向けの分散方式で省エネ効果があると価値を示し、医療・教育機関からの引き合いも具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    試作に約1年かかったこと、歩留まりや冷却装置など課題と解決の流れが示され、今後の展開として介護・医療分野への用途拡大も書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の大型で騒音の大きいコンプレッサーに対し、極小型・静音のフローティングスクロール製品で高付加価値化を図る点が読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の中小製造業による新規製品開発という点はうかがえるが、波及効果や雇用創出の数字は書かれていない。

  • 費用対効果3

    補助金がなければ100%自己負担では挑戦できなかったと述べられ、費用対効果の定量データは書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    分散方式による省エネや静音化は書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    環境配慮や介護・医療、ロボット分野への展開が述べられており、構造転換との関係はわずかにうかがえる。

  • 地域経済への波及2

    京都の中小製造業による製品開発だが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はコンプレッサーの用途を多くの企業へ提案し、売上の割合を高めたい。介護・医療やロボットの分野での用途も考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。