ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

高性能自動三方断裁機の導入による無線綴じ・アジロ綴じ製本の生産性向上事業

ナショナル製本協同組合

成果160ページの文庫本を1回18冊まで断裁できるようになった。

この事例のポイント

  • 旧式の三方断裁機は一度に断裁できる量が少なく、切り替えの手間もかかり、少部数・短納期の発注元の要請に応えきれなかった。
  • 製本機械メーカー芳野㈱製の三方断裁機を導入し、A6判からB4判まで対応する並製本設備ラインの3号機グループに設置した。
  • 160ページの文庫本を1回18冊まで断裁できるようになった。厚み150mmまで対応する三方断裁機により、文庫本1回の断裁冊数が増え、従来機に比べ生産性が20%向上した。

事業者のプロフィール

事業者名ナショナル製本協同組合
所在地東京都 東京都板橋区
業種印刷・同関連業
技術分野機械制御,測定計測
従業員数59人
資本金3,310万円
設立1967年

事業の背景

当組合は小規模製本会社10社が集まり、書籍の製本作業を専門に行う団体として設立された。並製本5ラインと上製本1ラインの計6ライン体制で、大手・中堅の出版社や印刷業者60〜70社と取引があり、主要先は約15社である。業界全体の出荷額は平成25年が平成20年比30.5%減と減少が続き、組合の製本売上も平成25年は平成21年に比べ10%以上減っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力旧式の三方断裁機は一度に断裁できる量が少なく、切り替えの手間もかかり、少部数・短納期の発注元の要請に応えきれなかった。
  • 人手・技能製本工程は本づくりの最終段階で作業時間に余裕がなく、仕上断裁の効率化が必須となっていた。
  • 生産能力従来は機械対応が困難だった付録付きの本の断裁ができず、多品種への対応範囲が限られていた。
  • コスト・採算業界の出荷額・製本売上が減少する中で、採算を確保しながら受注の維持・拡大と生産効率の向上が喫緊の課題となっていた。

やったこと

製本機械メーカー芳野㈱製の三方断裁機を導入し、A6判からB4判まで対応する並製本設備ラインの3号機グループに設置した。この機械は天・地・小口の三辺に刃があり、本を自動的に送り込んで断裁する。三方向の刃で断裁するため紙回しが不要で、正確かつ速く仕上げられる。旧式機に代えて導入し、ライン全体の生産性向上と付録付き本への対応を図った。

加工機三方断裁機(芳野㈱製)

事業の効果

  • 160ページの文庫本を1回18冊まで断裁できるようになった。
  • 従来の断裁機に比べ20%の生産性向上が実現した。
  • セット替えや修理の時間が以前に比べて約9%改善された。

厚み150mmまで対応する三方断裁機により、文庫本1回の断裁冊数が増え、従来機に比べ生産性が20%向上した。大型タッチパネルと調整箇所の自動停止により、セット替えや修理の時間が約9%短縮された。本の量に応じて速度を自動調整するため流れ作業が滑らかになり、動いてはすぐ止まる「チョコ停」が減った。女性の作業者も扱いやすくなり、1ライン6名のうち5名が女性となって、従来の8〜9名から6〜7名に人数を減らせた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    取引先や業界減少の背景は書かれるが、三方断裁機導入を経営戦略に位置付ける記述は薄く、過去の取組との一貫性は読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    業界出荷額が平成25年は平成20年比30.5%減とあり、少部数・短納期の要請に旧式機では応えられない強み弱みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    付録付き製本の断裁不可という課題を明示し、三方断裁機で対応範囲を広げる解決策が書かれているが、事業計画の数値目標は見当たらない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    断裁作業で生産性20%向上、セット替え時間約9%改善が実績として書かれ、目標値の実現性は高い。ただし付加価値額の目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    1ライン6名の人員体制や製本研究室での人材育成が書かれ、遂行体制の一端はうかがえるが、補助事業の事務処理体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    少部数・短納期の顧客ニーズや付録付き製本への対応が書かれ、選ばれる理由の一部は読み取れるが、ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    補助事業終了後の取組みとして効率化や人材育成が述べられるが、遂行スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    製本業は一般的な業種であり、三方断裁機の新市場性や高水準の高付加価値化を示す記述は読み取れない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域密着で労働集約的な製本業の労働力不足や業界の減少が書かれるが、波及効果や雇用創出の国の関与理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    20%の生産性向上や人員が1ライン8〜9名から6〜7名になったことは書かれるが、補助金投入額に対する費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術の活用は書かれず、本の断裁機の導入が中心で、サプライチェーンのイノベーションへの貢献はうかがえない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    東京都板橋区の組合で地域の製本業として記載はあるが、地域特性を活かした付加価値や雇用創出の牽引は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

小ロット・短納期の受注は今後さらに増える見込みで、組合は効率化を進め利益を確保できる体制を整えていく。自動化だけでは差別化が難しいため、製本研究室で人にしかできない作業を担う人材を育て、機械と人の作業を組み合わせて同業他社との差別化を図る方針である。

事業者の声

正確で、より丈夫できれいな本

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。