ものづくり補助金平成26年度製造業東京都

航空機用エンジン部品のめっき処理技術の確立及び新規参入

増幸クローム精鍍株式会社

成果めっき皮膜の厚さ 5ミクロン→150ミクロン

この事例のポイント

  • 航空機用エンジン部品はめっき皮膜を従来の5倍以上の厚さにする必要があり、従来の設備では処理に多くの時間を要した。
  • めっき皮膜を従来の5倍以上とし、安定して加工するため、めっき処理の心臓部にあたる整流器に容量の大きい設備を導入した。
  • めっき皮膜の厚さ 5ミクロン→150ミクロン。めっき皮膜の厚さが150ミクロン以上、硬度が850Hv以上を実現し、エンジン部品への参入準備が整った。

事業者のプロフィール

事業者名増幸クローム精鍍株式会社
所在地東京都 大田区
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数30人
資本金1,600万円
設立1938年

事業の背景

当社はめっき処理を行い、防衛や航空機関連の製品が多く、以前は通信・情報機器が主要品目であったが、現在は7割が航空宇宙・防衛産業となった。めっき素材は以前は鉄が中心だったが、最近はアルミが多い。航空機用エンジン部品では、機体部品の5〜10ミクロンに対して20ミクロン以上、部品によっては100〜200ミクロンが求められる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空機用エンジン部品はめっき皮膜を従来の5倍以上の厚さにする必要があり、従来の設備では処理に多くの時間を要した。
  • 品質・精度従来の設備では多品種小ロットのラインで品質を安定させることが困難であった。
  • 新製品・新技術エンジン部品への本格参入には、更なる設備投資と技術の確立が不可欠であった。

やったこと

めっき皮膜を従来の5倍以上とし、安定して加工するため、めっき処理の心臓部にあたる整流器に容量の大きい設備を導入した。整流器の導入で精度の高いめっき皮膜生成を安定させるため、新たな治具の作成や処理技術の確立を図った。部品の形状に応じて電流のバランスを取り、部品面に均一にめっきが生成されるよう治具を開発した。設備導入後は顧客の承認を得るため、検討から試運転、承認申請を経て受注開始まで約半年を要した。

加工機整流器(容量の大きい設備)
その他めっき用治具

新しい製品・サービス:航空機用エンジン部品のめっき処理

事業の効果

  • めっき皮膜の厚さ 5ミクロン→150ミクロン
  • 硬度850Hv以上を実現した

めっき皮膜の厚さが150ミクロン以上、硬度が850Hv以上を実現し、エンジン部品への参入準備が整った。高い品質を担保できる強みが増え、納期が厳しい業界での受注につながると見込んでいる。航空宇宙分野の実績は社内の品質改善の取組みに支えられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    航空機体部品のめっき実績を基に航空機用エンジン部品へ参入するという一貫した流れが読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    航空宇宙・防衛が売上7割、多品種小ロットの経験や特殊工程のNadcap認証など、強みと外部環境の関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    皮膜を従来の5〜10ミクロンから20ミクロン以上へ高める課題と、整流器導入・治具開発による解決策が具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    皮膜150ミクロン以上、硬度850Hv以上を実現したと成果が数値で示されており、目標達成の根拠が読み取れる。

  • 事業を進める体制3

    社内の改善提案の掲示や毎月の表彰、不具合発生率0.05%以下の維持など体制はうかがえるが、補助事業の遂行人材は具体的に書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    エンジン部品の耐熱・耐磨耗ニーズや、注文者の厳しい規格要求への対応は読み取れるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    設備導入から設計、開発、試運転、顧客承認を経て受注開始まで約半年を要するという工程と期間が具体的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    エンジン部品では皮膜20〜200ミクロンと機体部品の5〜10ミクロンに比べ高水準の高付加価値化を図る点が数値で示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    航空宇宙・防衛の国際競争や日本の航空機産業への貢献が述べられているが、波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は書かれておらず、費用対効果はわずかにうかがえる程度である。

  • イノベーションへの貢献2

    整流器の導入や治具開発は示されるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    今後発展が見込まれる航空宇宙産業への進出が述べられており、構造転換への寄与がうかがえるが具体性は薄い。

  • 地域経済への波及2

    大田区の立地には触れているが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長への言及はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

日本の大手メーカーの航空機エンジン参入は少ないが、参入予定企業もあり需要拡大が見込まれる。航空宇宙分野以外にもクロムメッキの需要が高まる見込みである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。