ものづくり補助金平成26年度製造業神奈川県

薄肉高精度製品加工を可能とした航空機部品生産ラインの構築

株式会社由紀精密

この事例のポイント

  • 海外製品との価格競争や市場の縮小により、電機業界向け部品の売上が減少し、経営危機を迎えた。
  • 旋削加工とマシニング加工の設備を導入した。
  • 薄肉で真円度の高い航空部品を製作できる生産ラインが整い、航空関連部品の受注を伸ばしている。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社由紀精密
所在地神奈川県
業種電気機械器具製造業
技術分野精密加工
設立1950年

事業の背景

創業は1950年で、創業時から金属切削加工に特化し、顧客からの特注部品を製造してきた。主力は、カード式公衆電話や光ファイバーなどの電機業界向け部品だったが、海外製品との価格競争や市場縮小で売上が減り、バブル崩壊後に経営危機を迎えた。2006年に入社した大坪正人社長は、顧客アンケートで高品質と信頼が自社の強みであることを確認し、成長が期待される航空宇宙・医療機器分野へ進む方針を取った。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信海外製品との価格競争や市場の縮小により、電機業界向け部品の売上が減少し、経営危機を迎えた。
  • コスト・採算新規参入する企業が増え、顧客からのコスト要求が厳しくなっている。
  • 品質・精度薄肉形状で真円度の高い航空部品を量産する生産ラインがなく、航空機部品の受注を広げられなかった。

やったこと

旋削加工とマシニング加工の設備を導入した。独自に油圧チャックを開発し、旋削加工とマシニング加工を組み合わせることで、薄肉形状(極限まで薄く削り込む加工)で真円度の高い航空部品が製作できる生産ラインを構築した。補助事業で構築した生産ラインを活用し、コスト面での競争力を高めている。

加工機旋削加工設備(NC旋盤)
加工機マシニング加工設備
その他油圧チャック(自社開発)

事業の効果

薄肉で真円度の高い航空部品を製作できる生産ラインが整い、航空関連部品の受注を伸ばしている。航空関連部品では品質保証を強みとして、要求規格(SABRe)を2014年に取得した。2015年にはフランスのリヨンに子会社を設立し、現地での部品の受注獲得を進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の金属切削加工を基盤に、顧客からの高品質と信頼の強みを航空宇宙・医療機器分野へ進出する方針として位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    新規参入企業によるコスト要求が強まる中、高品質と信頼、SABRe取得を強みに航空関連部品の受注を伸ばしていると書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    海外製品との価格競争や市場縮小による売上減少を課題と認識し、薄肉高精度の航空部品ラインで対応すると述べている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性を判断する数字が示されていない。

  • 事業を進める体制2

    社内の体制や人材、事務処理能力に関する記述はなく、社長の経歴のみ紹介されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    薄肉形状で真円度の高い航空部品を製作できる強み、SABRe取得、リヨン子会社の設立など、顧客に選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    ライン構築の内容は書かれているが、中長期の課題検証や遂行スケジュール、課題解決の方法の記述は見当たらない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    薄肉形状で真円度の高い航空部品の生産という高水準の加工を行うと書かれているが、市場内での数値比較はない。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    航空関連部品の受注拡大は示されているが、雇用創出や川上・川下への経済波及効果についての記述は読み取れない。

  • 費用対効果1

    補助金投入額や付加価値額、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は判断できない。

  • イノベーションへの貢献2

    独自開発の油圧チャックで高精度加工を実現したと書かれるが、デジタル技術や地域・サプライチェーンへの波及は読み取れない。

政策面60%
  • 成長分野への進出4

    成長が期待される航空宇宙・医療機器分野へ進出し、航空部品の受注を拡大する方針が示されている。

  • 地域経済への波及2

    地域特性を活かした雇用創出や地域経済の牽引に関する記述は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

航空機部品の受注拡大を続けるとともに、エンジンやベアリングの部品の受注獲得を進めている。実績のあるブッシュなどの機構部品の受注拡大にも取り組んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。