ものづくり補助金平成26年度製造業新潟県

塑性疲労を抑えた新加工技術で、安全の実現とインフラ輸出を促進

フジイコーポレーション株式会社

この事例のポイント

  • 板材の板厚のバラツキが原因で曲げ角度がずれ、角度を修正する作業が発生していた。
  • 角度センサーを搭載したベンディングマシンを導入した。
  • 新加工技術により材料の板厚バラツキによる角度修正作業をなくし、安定した曲げ角度の品質を得られるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名フジイコーポレーション株式会社
所在地新潟県 燕市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数145人
資本金1,200万円
設立1950年

事業の背景

同社は1950年creation設立の金属プレス加工・板金加工の会社で、除雪機、乗用草刈機、高所作業機を製造・販売している。現在の板金部品は、すでに十分に安全を考慮して作られている。さらなる安全性の向上と、航空・宇宙分野への事業展開を目指していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度板材の板厚のバラツキが原因で曲げ角度がずれ、角度を修正する作業が発生していた。
  • 人手・技能手作業による角度修正が必要で、その修正によって材料に塑性疲労が加わっていた。
  • コスト・採算検査工程が修正作業と分かれており、検査時間と手修正時間の負担が大きかった。

やったこと

角度センサーを搭載したベンディングマシンを導入した。導入機の機能を使い、角度センサーで測定可能な金型サイズを調査した。試作品の加工寸法を調査し、試作用金型を製作して試作を行った。新加工技術による生産上のメリットを検証し、曲げ角度センサーのインライン化を実現して、センシングベンド法(図1)を確立した。

加工機角度センサー搭載ベンディングマシン
金型試作用金型

新しい製品・サービス:センシングベンド法による新加工技術を採用した移動手段用の乗り物部品および大型除雪機の部品

事業の効果

新加工技術により材料の板厚バラツキによる角度修正作業をなくし、安定した曲げ角度の品質を得られるようになった。手作業による修正がなくなったことで材料への塑性疲労も生じなくなり、より高い安全性と耐久性の試作品を作ることができた。検査工程のインライン化により、検査時間と手修正時間で約50%の工数が削減され、生産性は295%向上した。コストは低減するが、その分は売価に反映せず社内の付加価値増加に充てる計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    除雪機・草刈機など既存の板金・プレス事業の延長上で、新加工技術を航空・宇宙分野へ展開すると記載があるが、経営戦略上の位置づけの詳細は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    航空機分野は高精度・軽薄材料が必要で新加工技術が参入を容易にし比較優位を確保すると述べるが、市場規模や競合比較の数字はない。

  • 課題の認識と解決4

    板厚バラツキによる角度修正作業を削減し、検査のインライン化で手修正時間約50%削減、生産性295%向上と課題解決の効果を数字で示している。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性が295%向上、工数約50%削減という目標値に近い実績が示されており、付加価値の向上も見込まれる。賃上げ目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    導入機の機能を使い調査・試作・検証を行ったとあるが、人材や事務体制など遂行体制についての記載はわずかである。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    従来価格で安全性が高い部品を顧客に訴求するとあり、ターゲットや選ばれる理由の方向性は読めるが、ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋2

    今後の活動として航空分野への展開や大型除雪機への適用は触れられているが、スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    高精度の曲げ加工で均一な部品を製造でき、他産業より高い精度を要する航空機分野で比較優位を確保すると、高水準の高付加価値化が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    航空宇宙分野の拡大による雇用拡大の見込みに触れているが、波及効果や社会インフラとしての国の関与理由は具体的でない。

  • 費用対効果4

    生産性295%向上、工数約50%削減、コストは低減しつつ安全性が向上すると記載され、費用対効果を数字で示している。

  • イノベーションへの貢献2

    新加工技術によるセンシングベンド法やインライン検査はデジタル的な工夫だが、サプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    拡大する航空宇宙分野への参入を目指す記載があり、成長分野への進出は読み取れるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    燕市の地域特性への言及は読み取れず、雇用拡大の見込みは書かれているが地域経済への牽引効果は具体的でない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

新加工技術を航空機分野などの高精度加工に展開し、競合に対する比較優位を確保する。軽くて薄い材料を使う航空機分野で有効とされ、拡大する航空宇宙分野への参入により雇用の拡大も見込む。高収益企業を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。