ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

全自動金型交換/角度センサ装置活用した複雑曲げ加工の軽作業化

伊東板金工業株式会社

成果総リードタイム削減率 32.3333分→13.1333分

この事例のポイント

  • 複雑な曲げ加工は熟練工しかできず、人手不足の中で経験の浅い作業者でも高品質な曲げ加工ができる体制が必要だった。
  • 当社のニーズに合う最新鋭の曲げ機としてアマダ製HG1003ATCを選定し、本事業で導入した。
  • 総リードタイム削減率 32.3333分→13.1333分。全自動金型交換と角度センサにより、複雑な曲げ加工が経験の浅い作業者でも高精度に行えるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名伊東板金工業株式会社
所在地京都府 京都市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数88人
資本金1億円
設立1950年

事業の背景

当社は1950年に京都市で創業し、精密板金加工を主な事業としてきた。主要製品は精密板金部品、半導体製造装置、搬送用ロボット、基板検査装置、鶏卵非破壊検査装置などである。キャッシュレス化や電子化の進展により、主力の駅の券売機に代表される板金筐体の需要減が予測されていた。そのため新たな時代に合った製品を、短納期・高品質・小ロットで対応できる生産体制が必要とされていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能複雑な曲げ加工は熟練工しかできず、人手不足の中で経験の浅い作業者でも高品質な曲げ加工ができる体制が必要だった。
  • 生産能力従来の曲げ工程では角度出しや試し曲げに熟練作業者のスキルが欠かせず、多品種少量生産ゆえに金型交換が頻繁に発生していた。
  • 納期・工程穴あけ加工から曲げ工程の間に仕掛品が滞留し、在庫増や必要スペースが経営課題となっていた。
  • コスト・採算サプライチェーンのボトルネックは曲げ工程であり、工程全体の生産性向上が求められていた。

やったこと

当社のニーズに合う最新鋭の曲げ機としてアマダ製HG1003ATCを選定し、本事業で導入した。全自動金型交換装置により人的な金型交換をなくし、V底高さを統一して交換回数も削減できるようにした。角度センサにより機械上で瞬時に角度出しを行い、試し曲げを不要にした。AI・IoTの活用によりプログラムを自動作成する仕組みとし、保護ゾーン内にLEDで手などをさえぎると機械が即座に停止する安全装置を備えた。アマダから技術指導を受け、経験の浅い作業者が繰り返し使いこなせる体制を構築した。

加工機アマダ製HG1003ATC(曲げ機)
加工機全自動金型交換装置
検査測定角度センサ装置
ソフトプログラム自動作成システム(AI・IoT活用)
その他保護ゾーン安全装置(LED)

新しい製品・サービス:複雑形状の曲げ加工を経験の浅い作業者でも高精度に行える新工法

事業の効果

  • 総リードタイム削減率 32.3333分→13.1333分
  • 段取り回数 7回→3回

全自動金型交換と角度センサにより、複雑な曲げ加工が経験の浅い作業者でも高精度に行えるようになった。穴あけと曲げがデジタルで繋がったことで工程間の仕掛品がなくなり、在庫撲滅と工場内スペースの有効活用で経営面の成果も上がった。短納期かつ多品種で少量から大口ロットまで対応でき、次世代の板金加工業へ前進した。総リードタイムは59.4%削減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    取組のきっかけとして精密板金の品質維持や生産体制の高度化が示され、過去の改善活動や工法の流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けの明記は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    キャッシュレス化で券売機板金筐体の需要減が予測されると市場変化を述べ、一貫生産や多品種少量対応を強みとして示している。

  • 課題の認識と解決5

    曲げ工程がボトルネックと課題を特定し、総リードタイムを32分20秒から13分8秒へ59.4%削減したと数字で成果を示している。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    リードタイム59.4%削減を実証測定で達成し、当初想定の50%減を上回ったと数字つきで目標と結果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    アマダによる技術指導や経験の浅い作業者への教育に取り組んだと書かれているが、人材体制や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高品質なリピート品を確実につくる提供価値と、短納期・小ロット対応による顧客要望への対応が具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋4

    アマダ技術指導の後に実証測定を行い、全自動金型交換や角度センサの導入手順と効果検証の流れが示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    精密板金の一般的普及度には触れていないが、同分野で多品種少量の高品質曲げを実現し国内トップシェアと述べている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    次世代の板金加工業として人手不足対応を掲げ、雇用維持にも触れているが、波及効果の定量的な記述は少ない。

  • 費用対効果4

    仕掛品在庫撲滅と工場スペース有効活用の成果、リードタイム59.4%削減など投資効果の一部が具体的に示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    穴あけ加工と曲げ工程をデジタルで繋ぎ、AIとIoTでプログラムを自動作成する先端技術の活用が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    搬送用ロボットや基板検査装置など新しい成長市場に取り組むとあるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    京都市の事業者として地域に触れているが、地域特性を活かした雇用創出や経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

券売機において国内トップシェアの企業に到達した。今後は生産体制の高度化やデジタル化に取り組み、高品質で大量受注にも対応できる体制を構築するとともに、搬送ロボットや基板検査装置など新しい成長市場に取り組む。将来のパンデミックにも対応できる現場づくりや働き方改革を進め、社員の雇用を維持する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。