ものづくり補助金平成25年度製造業茨城県

新エネルギー素材向け試行検証用打抜き金型の開発及び設備導入による、金型開発力強化

株式会社野上技研

成果3D CAD導入により検図時間が3割ほど減少

この事例のポイント

  • 新エネルギー素材は金属箔に塗料が薄く塗布されるなど複雑な構成のため、打抜きや切断で表面がはがれたり不具合が生じやすく、加工条件の確立が難しかった。
  • 対象素材の材質や厚み、加工形状に応じた最適な加工条件を見つけるため、打抜き試行検証用金型を製作した。
  • 3D CAD導入により検図時間が3割ほど減少。3D CADとCNC画像測定機の導入で検図時間が約3割減り、設計工数や時間も少なくなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社野上技研
所在地茨城県 常陸大宮市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数61人
資本金1,000万円
設立2016年

事業の背景

同社は国内トップクラスの高精度研削加工技術を持ち、精密部品刃物、プレス部品量産加工、打抜き/切断金型の設計・製作・販売を主軸に事業を展開してきた。金属や樹脂フィルム、複合材など400種以上の素材に対し精密加工金型を製作してきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能新エネルギー素材は金属箔に塗料が薄く塗布されるなど複雑な構成のため、打抜きや切断で表面がはがれたり不具合が生じやすく、加工条件の確立が難しかった。
  • 新製品・新技術リチウムイオン電池の電極材を加工する高精度金型の要求が高まっていたが、新素材の精密打抜き・切断技術の開発は困難だった。
  • 納期・工程新たな素材の打抜きと切断加工を短納期で確実に達成するため、金型の開発力の強化が必要だった。

やったこと

対象素材の材質や厚み、加工形状に応じた最適な加工条件を見つけるため、打抜き試行検証用金型を製作した。設計の不具合を検証するため3D CADを導入し、3Dで見ることで検図時間が3割ほど減り、設計工数や時間も少なくなった。CNC画像測定機も導入し、従来不可能だったクリアランス(上刃と下刃のすき間)の可視化や測定時間の短縮を可能にした。部品精度を上げて組み上げ時のズレの累積を減らし、最終調整の時間を短縮した。圧力センサーとひずみセンサーを組み込み、金型のひずみをグラフで可視化し、クリアランスの違うユニットで同一形状の打抜き比較もできるようにした。本番とほぼ同じ大きさの金型で試行できるようになり信頼性が高まった。

ソフト3D CAD
検査測定CNC画像測定機
金型打抜き試行検証用金型

新しい製品・サービス:打抜き試行検証用金型による新エネルギー素材の打抜き・切断加工条件の検証と、比較検証テストのサービス化

事業の効果

  • 3D CAD導入により検図時間が3割ほど減少

3D CADとCNC画像測定機の導入で検図時間が約3割減り、設計工数や時間も少なくなった。クリアランスの可視化や測定時間の短縮も可能になった。部品精度の向上により最終調整の時間が短縮され、安定性が増した。圧力・ひずみセンサーによる金型のひずみの可視化と本番に近い大きさでの試行により信頼性が高まった。今後は比較検証テストを外部にサービスとして提供する取り組みも始まっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去に400種以上の素材の精密加工金型を製作してきた実績があり、新素材加工へ開発力を生かす流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内トップクラスの高精度研削加工技術や400種以上の素材の金型製作実績を強みとし、新エネルギー素材の打抜き加工という競争優位の方向性が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    新素材は打抜き時に表面がはがれる課題があると認識し、試行検証用金型や3D CADで解決に取り組んだことが具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    検図時間が3割ほど減ったという数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員数(茨城工場58人など)や研究センターの存在は書かれているが、補助事業を遂行する人材体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    リチウムイオン電池の電極材を加工する高精度金型へのニーズを背景に、顧客の要求に応える製品として位置付けられ、選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    最適加工条件の探索から比較検証テストのサービス提供へ進む流れは書かれているが、スケジュールや期間の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    新エネルギー素材の精密打抜き加工は困難で、同分野で高水準の加工技術を目指す内容として具体的に書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    リチウムイオン電池の電極材加工という新エネルギー分野に触れているが、波及効果や雇用創出に関する記述は乏しい。

  • 費用対効果2

    検図時間3割減や測定時間短縮などの効果はあるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3D CADやCNC画像測定機を導入し、製品開発の初期から支援する体制を作ったと書かれ、サプライチェーンへの貢献がうかがえる。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    新エネルギー素材という成長分野への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

培った加工技術を活かし、製品開発の初期段階から顧客を支援できる体制を整え、研究開発・提案を新たな柱として事業拡大を図る。

事業者の声

企業は、社会から生かされていると考えている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。